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「プロ」が説く移住成功の秘訣 お試しと譲歩、「でも東京風はNG」

  • 執筆者の写真: 快適マンションパートナーズ 石田
    快適マンションパートナーズ 石田
  • 3月21日
  • 読了時間: 5分


 2025年1月5日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。


「東京・有楽町駅前の東京交通会館には、各地の名産品を集めたアンテナショップが連なり、多くの人でにぎわっています。このビルの8階に20年あまりで月の訪問者が300倍超に跳ね上がった施設があります。NPO法人「ふるさと回帰支援センター」です。43都道府県と1政令指定市の窓口があり、「移住」に関する様々な相談に乗ってもらうことができます。移住の人気はコロナ禍を経ても変わらぬままだとか。背景に何があるのか、これから移住をめざす人の心構えは何か、理事長の高橋公(ひろし)さん(77)に聞きました。


 ――センターは移住をはじめとして、地方暮らしを検討している人を支援してきました。これまでの経緯と現状を教えてください。

 「2002年にセンターを設立したころは、移住の相談は月20~30件でした。ところが、24年は6500件を超えた月もあった。移住のニーズは底堅いです」


地方にも「仕事や活躍の場」

 ――ニーズが高まった背景に何がありますか?

 「団塊世代の私が55年前にふるさとの福島から東京に出たころは、いい学校に入って、まじめに働いたらこうなれると、明るい未来を思い描くことができた。東京には希望があった」

 「ところが、バブルの崩壊以降は、貧富の格差や都市と地方の格差が拡大しています。東京は一極集中が進んで競争が厳しくなっていて、努力しても成功するのはなかなか難しい。一方で、地方は人口が減少していて、その分だけ仕事や活躍する場があります」


 ――相談が増えたのはいつごろですか?

 「トレンドが変わったのは14年ごろ。政府が移住促進などを目標にする『地方創生』を打ち出して、補正予算を組むと、15年からセンターに窓口を置く自治体が急増しました」

 「相談件数も15年に2万件を超え、19年に4万9千件になりました。コロナ禍の20年は前年の4分の3に減りましたが、翌年にはコロナ前の水準に戻り、さらに23年は5万9千件まで伸びました。コロナ禍が落ち着いたことで、対面の移住セミナーも増えています」


 ――移住に関心を持つ世代のすそ野も広がっているのですか?

 「02年にセンターを立ち上げたのは、定年を迎える団塊世代の地方暮らしを後押しするのが狙いでした。それが、いまではセンターを利用する人の7割が40代以下です。テレワークなどが定着して、職場には週に1回顔を出せばいいとか、働き方が変わってきました」


綿密なシミュレーションを

 ――実際に移住を考える人たちが、気をつけなくてはいけないことは何でしょうか?

 「憧れだけで移住を成功させるのは難しい。誰と、どこで、何をして暮らすのか。しっかりシミュレーションすることが重要です。地域には、営々と築き上げてきた地域の生活があります。『東京風(かぜ)』なんか吹かせずに、教えを請い、譲るところは譲るくらいの感じがいい。地域でしっかり腰を据えてがんばっていくのが成功の秘訣(ひけつ)ではないでしょうか」


 ――逆に、地方が移住者を受け入れるために大事なことは?

 「持続可能なわがまち、わがむらをつくるために、東京でPRしていくことが重要です。地元の人たちが、地域の歴史や文化、気候を踏まえて、いい面も悪い面も含めて発信してほしい」

 「移住の相談件数は、全体として伸びています。ただ、受け入れ態勢が熱心な自治体と、そうではない自治体との間に、移住者数における『格差』も生まれています」


「地域になじめない」とならないために

 ――具体的にどんな取り組みが必要でしょうか?

 「まずは空き家バンクを整備して、移住者が住まいを確保できるようにすること。商工会議所などの協力を得て、地域に昔からある漬物やみそ、しょうゆ造りの仕事など、地域に固有の仕事の情報も提供していくことが大切です」

 「移住者が新生活を断念する一番のポイントは『地域になじめない』ということ。移住してきた人に、生活で困っていることはないかとか、仕事は見つかったかと、話を聞きながら支援する組織があれば、ばっちりです」

 「たとえば、町内会費が都会より高くてトラブルになったりする。なぜその会費が必要なのか、説明していくことも大切です」


地方移住を成功させるためのポイント

・「誰と」「どこで」「何をして」暮らすのかなど、具体的に移住後の生活をイメージする

・家族やパートナーがいる場合、じっくり話し合いの場を持つ。仕事や教育のことなど、5年先、10年先のことも検討する

・移住セミナー、現地訪問、「お試し移住」など段階を踏んだ準備が効果的。インターネット上の情報だけでなく、現地を訪れよう。特に気候の違いがはっきり分かる夏と冬の現地訪問がお勧め

・地方には濃厚な人間関係やそれぞれのしきたりがある。移住後は自分から溶け込む努力を。「受け入れてもらう」という気持ちを持ち、まずは「あいさつ」から始めてみる

・早くなじむため、信頼できる地元の先輩やコミュニティーを持つのもひとつの方法

・不便なことも楽しんでみる、といった心づもりも大切

・自分の価値観やこだわりを大切にし、新しいライフスタイルを見つけよう。出身地だけがふるさとではない。新たに自分で発見した場所もふるさと。自分や家族が豊かに充実して生きられる場所を見つけよう

(ふるさと回帰支援センターの資料から)」


 コロナ過以降、完全リモートで働ける職場が増え、東京から地方へ移住する人も増えてきました。私が借りているシェアオフィスにも、何人かリモートで仕事をしている人がいます。

 この傾向は今後も増えていき減ることはないでしょう。今こそ地方分散を国策に、政治や行政はそのための施策を考えて欲しいと思います。


 
 
 

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