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「家を買っても大丈夫?」不動産価格にまつわる“真っ赤な嘘”ワースト7

執筆者の写真: 快適マンションパートナーズ 石田快適マンションパートナーズ 石田

更新日:2024年7月31日



 2024年2月15日ダイアモンドオンラインの表題の記事を紹介します。


まことしやかな嘘が多い不動産価格「定説」を専門家が徹底検証

 自宅は誰にでも必要で、その価格の動向は気になるところだ。これから購入する人はもとより、すでに持家に住んでいる人にも関心が高い分野である。しかし、この不動産価格についてのまことしやかな嘘は非常に多い。色々な説があるので、それぞれ検証してみよう。


【説1】日本は人口が減っているのだから、価格は長期的に下がるしかない

 日本の総人口が減り始めたのは2008年頃で、すでに15年経過している。出生人口から死亡人口を引いた減少幅は2022年に過去最大の78万2305人となっており、かなり減っている。外国人人口の流入があるものの、これを補えるような数ではないので、確かに人口は減っていると言える。

 しかし、住宅の対となるものは人口ではなく、世帯数である。その世帯数は、一世帯あたりの世帯人員が減り続けているため、逆に増え続けている。社会保障人口問題研究所の予測で、は2030年まで増え続けることになる。

 ちなみに、私も世帯数予測をしているが、増加は2040年までとさらに先になる。いずれにしても、需給バランスの対象が間違っているので、話として意味がない。また、2013年以降、すでに11年もマンション価格が上がり続けていることの説明がつかない。


【説2】空き家が増えるから、価格は下がる

 野村総合研究所が2013年のデータを基に「2018年以降、空き家が急増する」と予測したことで一躍有名になったが、すでに2018年実績が発表され、決着はついている。野村総研の空き家率推計は、2013年の13.5%から2018年に16.1%へ増加するものだったが、実績ではわずか0.1%増の13.6%となった。また、空き家の増加数は野村総研の推計が206万戸に対して、実際は26万戸しか増えなかった。わずか5年先の話なのに、桁違いの外れ方である。

 私はビジネスでの必要上、これについても予測しているが、単純に解体・取り壊しになる戸数の計算を間違えているだけだ。私がより正確な実態を言い当てられるのは、日本一と自負する不動産ビッグデータを使って、多面的に予測値の確度を検証しているからである。空き家率は賃貸であれば空室率、持ち家なら売り出された戸建の成約状況として現れるから、5年後の実績を待たずして、途中経過で把握できる。外れない予測を作るには、それなりの方法があるのだ。

 ちなみに、国土交通省が別途調査した『空き家所有者実態調査』によると、55%が相続で取得され、空き家のうち6割は物置として利用されており、特段の使い道がない状況にある。このため、空き家は不動産市場に大挙して出てくることもなく、価格への影響はほぼない。だから、「空き家が多いから需給は緩む」という話にもならないのだ。


【説3】供給過剰となり、需給バランスで価格が崩れる

 これについては、「『不動産暴落』を煽る本は捨てなさい。信じると“まともな家”を買えない理由」で詳しく説明した。簡略化すると、新築分譲マンションは財務体力のある大手デベロッパーが多く、原価が高いものを値引きしてまで売らないことに加え、新築の棟数は首都圏で年間300棟しかない状況で、競合物件が少ないために需給バランスがそもそも働かない。中古マンションは新築価格に連動するので、これも需給の影響は限定的だ。


いよいよ始まる金利上昇への不安 そのとき不動産価格はどうなる?

【説4】そろそろ金利が上がるので、価格が下がる

 金利が上がると、住宅ローンの返済総額が増えるため、買主が買い控えすることにより、不動産は売れなくなると言われる。長期固定の住宅ローン金利は確かに上がった。しかし、短期変動の金利は上がっていない。それぞれ、長期プライムレートと短期プライムレートと連動するが、長プラは日銀が金利上昇を容認したことで、上がった経緯がある。

 日米の長期国債利回りの金利差と円ドルレートをこの1年間で比較すると、ほぼ同じ動きを見せる。統計的には相関係数0.9なので、金利差が為替レートを決めていると考えられる。つまり、運用に困った資金は長期国債利回りが高い国の通貨に替わるために、他国通貨よりも強くなる。日銀の容認も円安を止めるためとも考えられる。

 しかし、今や長期固定金利が2%近くで、変動金利が0.3%ほどなので、95%以上の人が変動金利を借りている状況にある。借り手にとって、金利の影響はほぼないのだ。

 これに対して、短プラは優良企業の最優遇金利である。対象となる企業が、長年の内部留保の結果として資金需要がないところに金利を上げたら、断られるだけだ。長期と違って、短期は上げ幅も非常に小さい。たとえ、0.1%上がったとしても、それが35年ローンの返済総額に与えるインパクトは1.8%でしかない。アベノミクス開始以降の物件価格の値上がり幅が180%を超える中、この程度のことで価格に影響が出るとは考えにくい。


【説5】日本のGDPが伸びないのに、不動産価格が上がるのはおかしい

 1984年以降のGDPと戸建住宅価格指数を比較すると、相関係数が▲0.47と出る。これは逆相関と言ってGDPと住宅価格は連動せず、逆の動きをすることを示している。こうなるのは、バブル期の価格が高く、そこから大きく下げたことが強く影響しているとはいえ、相関しないことに変わりはない。


築年数と物件価格は実は関係がなかった?

【説6】築15年のマンションが値下がりしにくく、お買い得

 2022年の首都圏の中古マンションの成約価格を5年おきの築年帯別に平均した価格で、「築11~15年から築16~20年の間が最も価格が下がらないのでお得だ」という人がいた。これはあまりに稚拙な話で、まず総額で比較してはいけない。

 今のように単価が高い時ときは、立地が悪くなり、面積が小さくなる。逆に16~20年前の2002~06年は単価が安いときで、立地が良く、面積は大きい。立地も面積も違うものを比較しても意味のある答えは出ない。

 そこで、面積補正のために総額を単価に変更し、首都圏では分布が変わるので都区部に変更して計算してみた。その結果は、どの築年でも同じ下落率になる。築年経過で価格が下がるというのは資産性の話であり、資産性で最も影響するのは立地である。日頃から不動産市場を分析している者にとって、物件価格に築年が関係ないのは常識の範囲だと思っている。


【説7】家賃から適正価格が判明する

 マンションの利回りは4%程度なので、物件の価格と賃料を比較すればお得な物件か分かるという話。賃料は参考程度にはなるが、それ以上でもない。立地と時期で利回りは2%台から4%台まで変わる。この利回りだけでほぼ2倍の価格差が出てしまう。

 そして、立地は都心ほど利回りが低くなる。これはキャピタルゲインが取れるという期待値の裏返しでもある。アベノミクス以降、マンション価格が1.8倍になる中、家賃は1.2倍に留まっているので、時期で家賃から算出する適正価格は1.5倍も違ってしまう。結局適正利回りが正確に分からなければ、家賃を調べても適正な価格など分からないのだ。


根拠のない話に惑わされると生涯資産に数千万円の差がつくことも

 いかがだろうか。不動産の専門家には、この程度の知見しか持たない人も多いのが実情だ。私は不動産の分析に関して、経験の長さ、用いている不動産ビッグデータの情報量、クライアントの数から言って圧倒的だとは思う。私はコンサル業界から不動産業界に入って来た異色の経歴だが、あまりに不動産に関する意見がまちまちなので、すべての不動産屋の意見を仮説として検証し、知見を積み重ねた。つまり、私の書くこと、話すことは自分の意見ではなく、すべて検証結果(エビデンス)に基づいている。

 検証結果は再現性があるので、それをやれば多くの場合、同じことが起こる。その結果は、スタイルアクトが運営するマンション価格情報サイト「住まいサーフィン」の会員の含み益に表れている。彼らが自宅を査定した結果は、平均で3000万円の含み益(=値上がり益+住宅ローンの元本返済額=売った際に得られる現金)が出ている。相場が上がったことは事実だが、それも随時予測し、当ててきた。

 読者諸氏には、検証が十分されていない根拠のない話に惑わされずに、不動産リテラシーを上げることをお勧めする。それは生涯において、数千万円の資産の差となって表れると思った方がいい。(スタイルアクト(株)代表取締役 沖 有人)」


 この記事では、マンションはまだまだ上がると強気な内容です。首都圏の好立地物件では、この記事に書かれているように、まだまだマンションの価格は下がらないかもしれませんが、それが全国一律かというと大いに疑問が残ります。首都圏と地方圏で、価格の二極化がおこるのではないか?と個人的には思います。


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