2024年3月19日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。
「
中国地方に住む50代の男性は約20年前、新築の分譲マンションを購入した。総戸数は約10戸と小規模のマンションで、管理組合には住民らによる理事会はなかった。清掃や設備点検といったマンション管理は専門の管理会社に任せていた。
「役員業務から解放される」「時間の無駄が一切なくなってラク」
男性は営業担当者がそんな売り文句を口にしていたのを覚えている。初めての分譲マンション購入で、役員の負担を心配していた男性は「こんなラクな話があるのか」と驚いた。住民が集まるのは年1回の総会くらいだ。
管理を住民でなく管理会社が担う仕組みは「第三者管理」と呼ばれる方式だ。
男性のマンションでは、建物の修理の多くは管理会社の提案通りにしてきた。
だが、男性は住み始めてから10年を過ぎたころ、おかしなことに気づいた。
調べてみると、周囲のマンションと比べて修理費用が割高だったのだ。第三者管理では、管理会社が自社の関連会社に発注し、費用が高くなるケースが多い。男性はこの動きを疑った。
「このままでは大変だ」
男性はほかの住民に呼びかけて話し合い、約7年前に住民らでつくる理事会が運営する方式に変えた。その結果、管理費を引き下げることにつながったという。男性のように、新築時から第三者管理を導入しているマンションのほか、理事会による運営から変更する事例も広がっている。
住民が高齢化したり、若い世代でも仕事や子育てで役員をする時間が取れなかったりして、管理組合の理事のなり手不足が背景にあるとみられる。
マンション管理業協会の2023年の調査では、第三者管理を受託する管理会社は103社あり、3年前から約3割増えた。そして、比例するようにトラブルも増えている。
不動産コンサルタント会社、さくら事務所(東京)の土屋輝之さんによると、第三者管理を採用する管理組合からの相談がここ数年、増えているという。多いのが修繕工事費用が高いといった住民から集めた修繕積立金の使い方だ。
第三者管理にすると、管理会社の業務負担は増えて本来なら管理費が値上がりするはずだが、破格の安値で提案するケースもあるという。ただ、管理会社はどこかで利益を確保しようとする。その結果、大規模修繕工事を割高で契約しようとしたり、管理を引き受けた後に管理費を値上げしたりする動きがあるという。
土屋さんは「プロが管理するメリットは大きいが、安いからと、住民も安易に飛びつかず、慎重に検討する必要がある」と話す。
実際、第三者管理を請け負う、ある管理会社の関係者はこう打ち明ける。「導入時は安く見せておいて、大規模修繕工事などを割高に請け負うことで回収すればいいというスキームだ」
その上で、「管理会社は修繕工事を自社グループで受注したり、発注先の業者からバックマージンを受け取ったりすることで、利益率を向上できる」と話す。」
この記事では、第三者管理の採用によって、管理会社のコストが上がると書かれていますが、実際は年に数回開かれている理事会がなくなることにより、その為の資料作成や、運営補助等の業務がなくなり、実際はフロントマンの業務軽減につながりコスト減になります。管理会社としては、社員の働き方改革の推進にもなり、また業者に対して高値発注しても、理事会の牽制機能が働かないので、可能であれば第三者管理を推進したいのが本音です。
最近は、管理のわずらわしさがないことを売りに、新築時から第三者管理になっているマンションも増えているようです。しかし、この記事のような問題もあるので、管理会社に第三者管理を委託するのであれば、管理会社の言いなりにならないためにも、マンション管理士を顧問として、同時に採用することも、是非検討して欲しいと思います。
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