「新築」とはもちろん、完成のあと誰も住んでいない新品の家という意味です。では、完成したけれども売れ残り、誰も住まないまま10年が経過した家は、「新築」といえるのでしょうか。それとも「中古」になるのでしょうか。
これはもちろん「新築」にはなりません。不動産公正取引協議会では、「建物の完成から1年以内」かつ「誰も住んでいない」だけを「新築」と定義しています。したがって、竣工して売り出して1年以上経過したものは、「新築物件」では売出せません。この場合「築後未入居」と書かれてあれば、「これは新築で売り出したけど、1年以上売れ残った物件なんだな」ということが分かるわけです。
マンション等でも、購入者が決まりオプション工事や壁紙等の変更工事を実施したけれど、何等かの状況により引き渡し後にキャンセルした住戸等で、「築後未入居」物件が発生することがあります。また購入後、未入居のままで転勤等になり「中古」で売り出される物件も稀にあります。
築後未入居物件購入のメリット
築後未入居物件購入のメリットは価格の安さです。中古物件になったとたんに新築物件から2割程度は価格が下がると言われています。またデベロッパー等も、前の購入予定者からキャンセル料等を受領しており、またマンション内の最終販売物件になることも多く、価格交渉に応じて貰える可能性も高くなります。
築後未入居物件購入のデメリット
・減税措置が受けられない
新築物件は「所有権移転の登録免許税」「固定資産税」が軽減されるなど税制面でもメリットがありますが、中古である未入居物件には適用されません。
・新築物件としての保証が受けられないケースがある
未入居物件は中古物件扱いとなるため、新築物件が対象となる「瑕疵担保責任保険」「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の適用が義務付けられていないため、物件の品質保証がないケースがあります。住宅メーカーから新築で購入した物件の場合は、売主である住宅メーカーが10年間の保証を負います。これにより、雨漏りなどが生じた場合、住宅メーカーに修理を請求することができますが、そのような保証がない物件の場合は、購入者が自分で修理する必要があります。また、事業主が提供しているアフターサービスも、引き継がれないケースが多いです。
建売物件が売れ残ってしまう理由はいくつかあります。例えば、物件の立地や敷地の広さ、近隣建物との位置関係が良くないといった周辺環境が原因といった場合や、住宅自体の構造や室内レイアウトが受け入れられにくいことが考えられます。
「未入居物件」は価格交渉がしやすいケースがあり、そこがメリットになるケースもありますが、なぜ1年買手がつかなかったのかを確認した上、慎重に選ばれることをお勧めします。
一方、購入した人が引っ越しする前に事情が変わって手放すことになってしまった物件や、物件価格の設定で競合他社より販売価格が高く、なかなか買い手がつかなかった物件など、物件そのものにはまったく問題がないケースもあり、本当に掘り出し物となっている物件もあります。
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