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「晴海フラッグ」東京五輪マンションの行方

最終更新: 3月23日



 延期や中止が取りざたされている東京オリンピックの選手村跡地の分譲マンションについて、住宅ジャーナリストの榊淳司さんのネットの記事を紹介します。


「いまだ収まらない新型コロナ感染拡大で、東京五輪の開催が危ぶまれている。それに伴い、マンション業界では、選手村の建物をマンションに改装して分譲される「晴海フラッグ」がどうなるかに注目が集まっている。

 このマンションは分譲住戸が4145戸。東京都心近辺で開発された物件の中ではかなりの規模である。「中央区」というアドレスでは、過去最大クラスと言っていい。販売開始は2019年。莫大な広告費をかけて募集が行われ、第1期1次600戸の登録が行われたのは同年の8月の上旬だった。登録抽選や、その後の契約などはお盆の期間をまたいでいた。

 お盆期間は多くの人が休暇中であり、国内外への旅行で自宅から離れる人も多い。それゆえ、通常はこの期間には募集はもちろん、買い主側に多額の支払い義務が生じる契約業務などを行うことはほとんどない。つまり、マンション業界ではあり得ないスケジュール設定だったのだが、それには理由があったはずだ。このマンションが広告デビューしたのは18年の秋。当初の販売開始予定は19年の5月だった。それがずれにずれて、業界ではタブーとされるお盆時期の契約。おそらく、当初のもくろみ通りに購入見込み客が集まらなかったのではないか。こうした話題性のある大規模物件は、大量の広告費をかけてムードを盛り上げて「第1期●●●戸即日完売!」と謳い、超人気物件を装うのが業界のセオリーである。

 ところが、晴海フラッグは盛り上げるには盛り上げたが、第1期600戸の販売を約3カ月も後ろ倒しした揚げ句に、「即日完売」すらできなかった。抽選倍率が70倍などの人寄せ「パンダ住戸」を作っても、なお即日完売と表示できなかったのだ。業界の常識としては「販売不振」と言う他ない。もくろみ通りに「即日完売」できなかった理由は、やはり価格の高さにある。売り主である大手10社のデベロッパーは、この土地を東京都から破格の値段で買っている。あまりにも安すぎて、17年8月に市民団体から「都民に損害を与えた」という訴訟を起こされているほどだ。裁判の結果はまだ出ていない。

 だから、仮に今の販売価格よりも2割安かったとしても、売り主10社は十分に利益を確保できたはずだ。市場も一時的にそれを期待した。ところが、販売が始まってみれば結構なお値段になっていた。それでも、このマンションの最寄り駅である大江戸線「勝どき」駅近辺のタワマン中古価格に比べれば、いくぶん安い。少なくとも、そう見えてしまう。

 しかし、それにも理由がある。晴海フラッグは駅からやたらと遠いのだ。不動産広告の表記で「駅徒歩16分」から「20分」。マンションの玄関を出て駅のホームに立つまでには、おそらくこの表示からプラス4~5分はかかるだろう。毎日駅まで20分以上歩かなければならないマンションなんて、「選手村跡地」というフレーズが使えなければ、中古では買い手がつかないのは目に見えている。築10年の中古になった時には市場から見放されているはずだ。勝どき駅の徒歩10分以内には多くのタワマンがあり、それらは中古となった晴海フラッグともろに競合するはずだ。駅まで20分も歩かなければならない晴海フラッグが、中古となっても人気を維持できるとは思えない。

 つまりこのマンション、冷静に眺めれば資産価値を評価できない。その晴海フラッグが、唯一のウリである「選手村跡地」でさえなくなるかもしれないのである。

 東京五輪は、すでに2020年の開催が1年延びている。これによって、そもそもが「2023年4月引渡予定」だったのが、現状では「未定」になっている。1年延びたことを考えれば、「2024年4月」と予測することもできるが、正式には決まっていない。売り主側の広報によると、19年に行われた第1期1次と2次の販売で、900戸以上の販売契約が締結されたとしている。五輪の開催延期で「手付金返還でのキャンセルは可能」となったのが昨年の春。それ以降、どれほどの人がキャンセルしたのかは発表がない。

 しかし先日、約20人の購入契約者が「2024年以降に引き渡しが延びたことによる補償」を求める民事調停を申し立てた、との報道があった。子どもの小・中学校への入学や転勤の予定、その他の人生設計を立ててこのマンションの購入契約を結んだ人にとって、一方的な引き渡し遅延は確かに経済的損失につながるはずだ。しかし、私は調停がうまくいくとは思えない。

 実際の購入契約書の文言によるが、通常、新築マンション購入契約書には売り主側の免責事項に「天災や戦争など売り主側の責に帰されぬ事象が発生」という項目が入っている。今回の新型コロナは「天災」に近いものと解釈するのが、法律家たちの多数意見ではないか。つまり、契約者側から見たこの調停の見通しは暗い。

 それよりも、今なら手付金返還によるキャンセルが可能である。ぐずぐずと調停や無理めの訴訟などを期待せずに、ノーペナルティーのキャンセルで手付金を取り戻して、人生の次の展開を描くべきではないか。当初の引き渡し予定である2023年の4月でさえ、今から2年以上も先のことなのだから。」


 会社員時代に、他社の営業担当者に聞いた話ですが、大阪の1等地のタワーマンションが即日完売となり、「良かったですね。」と話したところ、「これから建物完成・引渡までの2年間、いかにお客様にキャンセルせずに待っていただくかが大変です。」と話していたのを思い出しました。このマンションの営業担当者は、購買者様宅への、定期的な訪問や、建設途中の見学会等、様々なイベントを実施して、顧客のつなぎ止めをはかっていくとのことでした。

 晴美フラッグは19年に売り出し、当初の入居予定は2023年。引渡までに4年もの年月がかかります。社会環境の変化や、家族関係の変化を考えても、建物引渡の4年も前に、販売をおこなったデベロッパーの経営判断は不明です。事前販売のリスクについて、どのように考えていたのかを、経営陣に聞いてみたいものです。

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