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執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

「正論」は議論の場を委縮させることもある

更新日:2021年9月29日



 2021年3月16日の廣田信子さんのマンションブログを紹介します。


「いろいろな地域活動に参加していて、今期、管理組合の理事長もしている知人から、「正論」って何だか疲れるね…と珍しく弱気なメールがあり、気になって電話をしました。管理組合の理事長になって、管理組合の理事会での何が目的かわからない「正論」の主張の応酬にかなり疲れているようでした。それぞれが自主的に参加して目的を持って活動しているグループとは大きく違う…と。彼の言う「正論」とは、自分の正しさを、いろいろな権威の裏づけで補強し、周りに主張すること…だとわかりました。


自分たちのマンションの管理規約の役員資格について話し合っているのに、「標準管理規約」には書いてある…いや、〇〇先生はこう言っている…と、突然、主張合戦が始まる。それによって、それまでささやかに積み重ねてきた

・役員の仕事を減らして誰もが引き受けやすくしよう

・オンラインで参加できるようにしたら 外部組合員も理事になることができるのでは…

というような前向きの議論が吹き飛んじゃって、

・標準管理規約には、どれほどの拘束力があるか…

・標準管理規約と違う定め方をしていたら、 管理組合の評価でマイナスにならないか…というような後ろ向きの議論になってしまう。

国のマニュアルとか評価基準…みたいな話になると、それを無視できないし、一般の理事の自由な議論は委縮してしまう。で、一番腹が立つのは、そんな権威(に見えるもの)を全面に出した「正論」をなぜ振りかざすのか、目的がわからないこと。

 現状を把握し、組合員の事情や公平感を考慮して、自分の考えをまとめる…ということをしないで、権威を振りかざすことに何の意味があるのか… 悪いけど、自分の考えがなくて、それでも自分の存在感を示したいための言動としか思えない…と。

 さらに、公平性を担保するための手段として、役員報酬を出すことを検討し始めたら、

・理事はボランティア精神でするもの

 そもそもボランティアとは…〇〇にこう書いてある

・「利己心」ではなく「利他心」で生きるのが自分の信条、 その精神で理事は努めなければならない

なんて、立派な正論を言うので、そこで議論はストップ。 じゃあ、あなたは、その精神で理事の仕事をやっているのですか?理事会に出て言いたいことを言っているだけじゃない?

 その「利他の精神」を誰がどうやって組合員に自覚させられるのか…と言いたくなるのをこらえたけど、なんか、どっと疲れてね。

 まだ、自分勝手な主張の方が、対処方法があるので、こんなに疲れない。 否定できない「正論」を無自覚に主張される方が、消耗するよ…と。

 私は、「わかる~」と思って聞きながら、同時に、自分は大丈夫かな…とも思いました。

 私も、読んだ本に感化されやすく、心に響いたことは実践したくなり、それを誰かに伝えたくなるところがありますから。 そう言うと、知人は、でも、理事会でそんなこと言わないでしょう?…と。

もちろん、会議の席では言いません。自由な議論に水を差すようなことは…。

と、言いながら、ほんとうに大丈夫かな…と自信がない自分もいます。

 私は、ブログ等に自分が感じたままを書きますが、それは自分がどう向き合うかと言う問題で、読まれた方に強要するつもりはまったくない…と書きながら、でも、できれば理解してほしいっていう欲はあるな…と、 少し頭の中が混乱していますが、「正論」の主張は、自由な議論の場を委縮させてしまうこともある…ということは覚えておきたいと思いました。」


 私が大規模修繕工事のコンサルをしているマンションでも、エントランスにあるステンレスのドアが重たいので、重量の軽いアルミドアに変更しようという話が出ました。ドアが重いということで、管理員さんがいる間は、つっかえ棒をしてドアが閉まらないように開け放しになっていました。この提案をしたところ、サッシメーカーにお勤めの入居者から、今のステンレスドアは防火設備になっており、ステンレスの枠に、防火設備のアルミドアでは防火認定が下りないはず、枠からやり替えて欲しいとの要望が出されました。たしかにおっしゃる通りですが、枠から撤去してやり替えるとなると、エントランスの壁の石張りもすべて撤去する必要があり、膨大な価格の交換費用になります。また、屋外階段の避難中にエントランスで火災が発生するおそれもほとんどなく、今でも日中は開け放しで防火性能がないと話しても、法令順守で認められないとしか言われませんでした。

 おっしゃることは確かに正論ですが、結局何の解決にもならず、見送りになった経緯があります。正論だけに、管理組合も反論が出来ず、何ともモヤモヤした気持ちだけが残ったものです。


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