2022年10月20日の「施工の神様」に掲載された表題の記事を紹介します。
「「現場監督の仕事をリモート化したい!」
僕は、会社にこう主張したことがあります。しかし、全く受け入れられませんでした。ほとんどの人は鼻で笑い、聞く耳を持ってくれた数少ない人も、否定する前提で説得してきます。
ちなみに僕の主張はこういうものでした。
現場監督の業務の半分以上は、現地にいなくても可能
現地スタッフは基本的に現場業務に専念し、早く帰るよう努力する
リモートスタッフはデスクワークをメインとし、2現場以上兼務する
現場監督の多岐にわたる業務を、一度細かく洗い出し分割していくことによって、「現場でしかできない作業」以外を分業化してしまうというものです。実現するため、他にも条件があります。
現場には経験豊富なベテランスタッフと若い係員を基本に、常駐する
技術の中核となる主任クラスが、工程表も施工図も書類作成も会社で行う
これにより現場スタッフは、現場作業が終わってからのデスクワークはほぼなくなります。そして、主任クラスも現場への往復や安全点検、現地の管理業務の時間を廃除し、デスクワークに集中することができる状況を作れます。
人手不足、技術力不足を補える理想的な状態
時間に余裕が生まれた主任クラスは、他の現場の技術ケアを行うこともできます。例えば、小規模の現場に少し不安のあるスタッフが投入された場合、図面のチェックなどをやってあげるなどの、技術面のバックアップを行うことも容易になります。現地では馬力の弱くなってきたベテラン層が、未熟な若手職員をしっかりと教育することができます。
また、実力のある主任クラスを1つの現場で消費することなく、たくさんの現場で、その技術力を発揮してもらうことができます。ある程度の規模であれば、現地係員は派遣社員に置き換えても遂行が可能になるため、これが成功することで人手不足、技術力不足をうまく補うことができる「理想的な状態」だと考えたわけです。
ちなみに僕は、その会社を辞めました。現在は、この提案を別の会社に聞き入れてもらえて、試験的にですが、この手法を8割程採用する形で現場を運営しています。そして想定通り、現地スタッフはほぼ職人と共に帰ることができています。主任クラスのポジションに入る僕は、週に2~3日間は現場に行きますが、それ以外は自宅でリモートを行っています。
もちろん必要な設備や、現地を確認する施策は必要です。それにはきちんとした段取りとノウハウ、そして設備投資は必要です。ただ、多くの問題を解決する方法だと手ごたえを感じています。
もし、あなたの周りで突拍子もない提案をしてくる若者がいたとしたら、一度しっかりとその若者の主張を聞いてみて下さい。それが、将来の財産となる「業務改革の糸口」になるかもしれません。」
この記事の内容に私も全面的に賛成です。現場の職人さん達は、力仕事で疲れることもあり、大体8時~5時までで、ほとんどの場合は定時で帰ります。ところが、現場監督は5時以降に現場事務所に帰ってから、明日の工事の段取りのために、業者に電話したり、施工図を書いたり、請求書の処理をしたり、施工写真の整理をしたりと、デスクワークを行うため早くても7時位まで、遅い現場では10時位まで、現場事務所にいるのが当たり前です。月に換算すると100時間程度の残業は当たり前です。これら事務作業の軽減策として、事務員さんを雇ったり、施工図を外注したりしますが、建築の専門家ではないため、そのチェック作業は現場員がする必要があり、思ったほど作業が軽減化できないのが一般的でした。
この記事にもあるように、施工管理とバックアップ体制を明確にわけて業務することで、作業の効率化がはかれ、現場の長時間作業も減らされると思います。多くのゼネコンも参考にして欲しいと思います。
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