私が大規模修繕工事のコンサルタントを行う場合の業者選定方式は「入札」ではなく「見積合わせ」方式を採用します。
「入札」とは、工事金額が一番低い会社に施工を頼む方式です。工事費の減額には有効な方法ですが、コスト削減に励むあまり「安かろう悪かろう」ということになりかねないデメリットもあります。
一方「見積合わせ」とは、価格以外にも、会社の信用度や、現場担当者の人柄等を総合的に判断して、最終施工会社を決める方法です。フィギュアスケートの採点方法は「技術点」と「芸術点」に分けて採点され、その両方を足した「総合点」で最終順位が決定しますが、見積合わせは、それに似た決定方法です。価格=技術点、会社の信頼度・現場担当者の人柄=芸術点と考えればわかりやすいでしょうか?
「見積合わせ」方式で決定するのであれば、最終数社によるプレゼン会の開催は必須です。組合員全員を対象としたプレゼン会を開催し、その後参加者からアンケートを徴収し、そのアンケート結果を参考に、最終施工会社を内定します。
見積もりを取れば解るのですが、地場の小さな会社のほうが見積もり金額は安いです。全国的な大企業のほうが見積もり金額は高いです。社員の給料や会社経費等を考えれば当然といえば当然です。その折に、組合員の方に言うのは、「コストを優先して安い地場の会社に発注しますか?」「高くても信用のある大手の建設会社に発注しますか?」ということです。
両社の見積もり金額が、修繕積立金の範囲内にあり、価格差が建築費総額の10%以内の差であれば、どちらを選ばれても、管理組合の決定として尊重するというのが、今の私のスタンスです。
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