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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

「負動産」放棄へ、動き始めた制度 「子どもに引き継ぐわけには…」

更新日:3月14日



 2024年9月24日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。


相続土地の罠

 山形県西部の日本海に面した人口約10万人の酒田市。江戸時代から北前船の寄港地として栄え、いまも定期コンテナ航路が中国や韓国と結ぶ。ところが中心部の商店街は寂れ、シャッターが下りた店が多い。そんな中心部にある空き地が今年6月、相続土地を放棄する「国庫帰属制度」で申請の対象になった。

 同制度は今年4月に始まった。親などから相続したものの持てあましている土地を、10年分の管理費相当の「負担金」を支払って国に引き取ってもらう。

 JR酒田駅にも市役所にも、歩いて10分余りの場所にある約80平方メートルの土地。所有する千葉県松戸市の池田一彦さん(66)は数年前、処分しやすいように空き家を取り壊した。道路に面しておらず家が建てられないため、隣接する5人の所有者に「譲りたい」と持ちかけてきた。だが維持費を前払いする提案までしたものの、引き受け手は現れなかった。


固定資産税80年分を払ってでも

 昨年秋、国庫帰属の制度ができることを知り、利用することにした。

 負担金は原則として土地1筆あたり20万円だが、市街地や農業振興地域などは面積に応じて決まる。池田さんの場合、審査費用と合わせると50万円余りになる。毎年かかる固定資産税は年6千円程度なので、約80年分だ。それでも池田さんは「年に1~2回は様子を見に行き、除草費用もかかった。子どもに引き継ぐわけにいかないので、国庫帰属はありがたい」と話す。

 制度を利用するためには、具体的な状況を含めた事前相談をしてから、土地の所在地を管轄する法務局の本局に正式の申請をする。審査には1筆あたり1万4千円の手数料が必要だが、認められない場合も返還されない。池田さんの場合、公道に面していないことが気になり、事前相談で確認した。隣地の通行が認められていればよいとわかり、ホッとした。ただし、審査には8カ月かかるという。

 国庫帰属には条件がある。①建物がない②土壌汚染がない③土地の境界が明らか④他人の権利が設定されていない⑤土砂崩れの心配がない――などだ。


伯母のアパート、1000万円で解体

 大阪市の男性(70)は8月、制度を使うため、約1千万円をかけて三重県尾鷲市の尾鷲港の近くにある空き家を解体した。

 もともとは2012年に亡くなった伯母の貸家で、2階建ての12戸が「長屋」の形式で連なっていた。伯母は独身で、弟である父が相続した。その時点で築約50年の物件で、翌年には住む人もいなくなり、全部が空き家になったという。

 リアス式海岸にある尾鷲は天然の良港に恵まれ、漁業の街としてにぎわってきた。しかし、リアス式海岸は津波を増幅する。東日本大震災の後、資金力のある人が高台に移り住むなどして海岸近くに住む人は大きく減ったという。

 年に数回は見に行き、近所に迷惑にならないように木を切るなどの管理をしてきた。18年に父が亡くなった。そして昨年、市役所から空き家の所有者に来たアンケートが、真剣に考えるきっかけになった。

 調べるうちに国庫帰属制度が始まることを知った。母と2人の妹と話し合い、空き家を取り壊して制度を利用することにした。男性は「妹2人も同意したので進められた。制度があるので、条件を満たせば引き受けてもらえる安心感がある」。

 だが、現時点で制度の利用は広がりを欠く。

 8月末までに法務省が受け付けた制度の相談は約1万4千件だが、申請は885件にとどまる。男性が利用した解体事業者の比較サイト「クラッソーネ」(名古屋市)の担当者は「国庫帰属を検討している人からの相談は少しずつ入ってきているが、利用の条件を知って断念する人もいる」と話す。

 手放したくても手放せない「負動産」に困っている人は増えている。それなのに、制度の利用が広がっていないのはなぜなのか。」


 記事の内容のような土地は全国に数多くありそうです。特に、実家から出た子供が、実家の処分に困るケースが多いように思います。田舎の古民家に外国人が興味を示しているというニュースもテレビにありました。実際に古民家を外国人が購入し、リフォームして住んでいるケースも紹介されていました。なんとか有効活用できるように考えたいものです。


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