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執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

「都心のタワマン」の修繕積立金、ここへきて値上がりしている「怖すぎる理由」

更新日:2022年1月14日



 2021年11月29日の週刊現代の表題の記事を紹介します。


全国で、修繕積立金の増額が相次いでいる。保全は必要だが、大規模修繕に絡んで儲けを企む業者は多い。一方、管理が行き届かないマンションはスラム化する。大切な不動産をどう守ればいいのか?


10年で5割も高くなった

「管理組合で修繕積立金の増額の話が出たのが2年前。築10年目のことでした。それからずっと、組合の総会では激しい議論が続きました。とりわけ高齢者世帯の何人かが、強硬に値上げに反対していました。その理由が『年金暮らしなので、経済的に苦しい』『次の修繕まで自分が生きているかわからない』というもの。1戸あたり平均して月額5000円ほどの値上げでしたが、意見をまとめるのに理事たちはとても苦労していたようです。


 議論が長期化するうちに、『ペットのマナーが悪い』『夫の留守に男が上がり込んでいる』なんて噂を流される理事もいて、管理組合はかなりギスギスした雰囲気になってしまいました」

 こう語るのは、東京都23区に建つある高層マンションの住人だ。この物件に限らず、修繕積立金の高騰に悩まされているマンションが急増している。


 国土交通省が今年9月に改訂した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を見ると、1平方メートルあたりの修繕積立金は(20階未満・建築延床面積5000平方メートル未満の物件の月額)、335円で、10年前から5割以上も増額されている。

 仮に80平方メートルのマンションであれば、月に9000円も値上がりしているのだ。20階建て以上のタワマンに限って言えば、60%以上値上げされている。言うまでもなく、マンションには寿命がある。一戸建てであれば自分の意思でリフォームしたり、建て替えたりすることができるが、区分所有のマンションであればそうもいかない。

 修繕を重ねて物件の寿命を延ばすか、高い費用を払って建て替えるか。いずれにせよ、Xデーは必ずやってくるが、それに十分に備えている管理組合はほとんどないといっていい。だから修繕積立金が急に値上げされ、住民たちが混乱するという事態が日本各地で頻発している。


 マンション管理の現場で、いったい何が起こっているのか。積立金値上げの一因には鉄やコンクリートなどの資材、そして職人の人件費が高騰していることがある。

 少子高齢化でますます人件費は上がり、円安が続けば資材費も高止まりするだろうから、今後も修繕費用は上がり続ける可能性が高い。冒頭の住人がぼやく。

「今回は5000円の値上げで済みましたが、この額で済んだのは強硬な反対派の意見を汲まざるをえなかったから。管理会社が提案してきている大規模修繕を実行するためには、さらに1戸平均で3000円ほどの値上げが必要になることがわかっています。『タワーマンションの修繕は、特殊な足場を組まなければならないのでカネがかかる』というのが管理会社の言い分ですが、そんなことは最初からわかっていたはず。正直、これほど値上げが続くと、ローンの返済計画も狂ってきます」


管理会社の思惑

 実は、修繕費が高騰している理由は、人件費高騰のような経済的要因だけではない。そもそもマンションが販売される新築の時点で、修繕積立金が低めに設定されていることが問題なのだ。マンション管理組合のコンサルティングを行うシーアイピー代表の須藤桂一代表が語る。

「デベロッパーがランニングコストを安く見せかけたいがために初期の修繕積立金を過少に提示する例が多く、いざ大規模修繕の話になると積立金が足りなくなるのです。わずか築5年ほどで、積立金の増額が管理組合の総会に上がってくることも少なくない」

 さらに、管理会社の思惑もある。慢性的な人手不足で管理人の人件費は高騰している。その一方で、住人側はなかなか管理費を値上げしたがらない。マンション管理自体から得られる利幅が小さくなっているため、管理会社は修繕を儲けの機会にしようとしているのだ。

 とりわけタワマンのような大規模物件になると、積み上がる修繕費も数十億円単位で、プロジェクトに絡みたい管理会社や工事会社が手ぐすね引いている。マンション評論家の榊淳司氏が語る。

「優良な管理で知られていた港区のタワマンの管理組合でクーデタが起き、理事長がクーデタで解任されたことがありました。その理事長はしまり屋でなかなか大規模修繕を進めようとしないので、修繕ビジネスに絡みたい組合員が解任を仕組んだと言われています。

 マンションの住人には管理組合に興味のない人も多い。しかし、管理や修繕は実はものすごく大きな利権でもあります。しかも性善説に基づいて運営されているので、腐敗があっても見逃されやすい。少々の悪事なら、『悪評が立つとマンションのブランド価値が下がる』という理由で不問に付されてしまうのです。

 広尾にある有名な高級マンションでも、高齢の理事たちが持ち回りで理事長を務めており、管理会社との癒着がひどいと噂されています」


 修繕ビジネスとはどのようなカラクリなのか。

 修繕計画を管理会社任せにしていると、関連企業である工事会社に発注して、直す必要のあるなしに関わらず、予算消化ありきのプランを立てられてしまう。管理会社はマンションにどれほどの修繕費用が積み上がっているかも細かく把握して、絶妙な金額を提示してくるので厄介だ。

 別所マンション管理事務所の別所毅謙氏がこう説明する。

「大規模修繕や設備更新は、管理会社の提案に従って行われるケースが多い。当然、管理会社のマージンを含む高額な見積もりが出てきます。もし住民が管理や修繕計画に無関心だと、非常に割高な工事を行うことになります」

 修繕費用をおさえれば、いつのまにか価値は下がりスラム化する。では大事な不動産を守るためにはどうすればよいのか」


 この記事にもある通り、新築販売時の修繕積立金は低く抑えられています。私が会社員だったころの販売時の修繕積立金は専有㎡あたり80円でした。この修繕積立金を2~3年おきに見直して、最終的には専有㎡あたり160円まで見直すような計画でした。国が出している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、20階未満で専有床面積5000㎡未満のマンションの修繕積立金は平均で335円(3分の2が包含される金額で235円~430円)、専有面積5000㎡~10000㎡のマンションの修繕積立金は平均で235円(3分の2が包含される金額で170円~320円)になっています。新築時に80円だった修繕積立金を4倍にしなければ、国の目安を満足できなくなっています。特にマンションが高経年化してきたマンションでは入居者も高齢化しており、年金暮らしのお年寄りにとっては、当初の修繕積立金の金額から1万5000円も増額することは、ほとんど不可能な現状です。


 大規模修繕工事のサイクルを12年から延ばすことや、自分の持ち家を担保にお金を借りる住宅金融支援機構のリバース60等の活用で、マンションの資産価値の維持をはかることが、今後より重要になってくるように思われます。


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