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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

「1億円ないと東京23区で新築マンションは買えない」と思う人の大誤解



 2023年8月17日のダイアモンドオンラインの表題の記事を紹介します。


「一般消費者の中には、「1億円ないと東京23区で新築マンションは買えない」と思っている人がいるかもしれない。確かに首都圏新築マンションの平均価格は高騰しているが、それは「好立地の2つの高額物件」に引っ張られているからだ。他の物件は、必ずしも高くても売れているとはいえない。その高額物件の実名と、新築マンション市場の実態を詳しく解説する。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)


首都圏の新築マンション販売が低迷中それでも売れる「2つの物件」とは

 不動産経済研究所の調べによると、2023年上半期(1~6月)における首都圏の新築マンション供給戸数は1万502 戸(前年同期比17.4%減)に落ち込んだ。22年の実績は2万9569戸だったため、今後も2割減のペースが続けば、23年の新築供給戸数は2.4万戸ほどになるだろう。

 首都圏の新築供給戸数は、18年は3万7132戸、19年は3万1238戸、20年は2万7228戸、21年は3万3636戸という水準だった。そのため、23年の新築供給戸数がこのまま低調に推移すれば、近年では類を見ないほど少なくなってしまう。

 新築マンションが絶滅危惧種になりそうだという話は『新築マンションが「絶滅危惧物件」になりつつある理由』(本連載で19年8月29日に掲載)で書いている。筆者が約4年前からそう予測していた要因は、この記事を読んでみてほしい。

 その一方で、今年3月には首都圏新築マンションの平均価格が1億4360万円に達し、初めて1億円を超えたことが大きなニュースになった。新築供給が減少している状況下で、平均価格は上昇しているわけだ。

 不動産市場は、価格が上がると供給戸数が減るメカニズムなので、この現象そのものは理にかなっている。買える人が少なくなるからだ。

 そして上半期の新築マンション平均価格を見てみると、首都圏は8873万円、都区部(東京23区)は1億2962万円と高額になっている。そのため一般消費者は「都心全体でマンションの需要増が続いている」「東京23区では1億円出さないと新築物件を買えない」というイメージを持っているかもしれない。

 だが、こうした印象は「数字の中身」を見ると変わるだろう。実は、都区部の新築マンション平均価格は「好立地の2つの高額物件」に引っ張られて高くなっているのだ。


浜松町駅直結の高層マンションに「三田綱町」の高級物件

 その一つは、JR山手線の浜松町駅に直結するWORLD TOWER RESIDENCE(東京・港区)。「世界貿易センタービル」の建て替えに伴う再開発によって誕生した高層マンションだ。

 この3月の販売実績を見てみると、平均価格は2億4933万円。169戸供給され、平均倍率4.8倍で即日完売している。

 駅直結のタワーマンションはこれまでも全物件値上がりしており、その資産性の高さは業界では知らない人はいないだろう。山手線の駅直結であるWORLD TOWER RESIDENCEは値上がり必至の鉄板商品であり、投資用として業者も多数買いに来たことは想像に難くない。

 この物件の一般販売対象戸数は376戸で、8月中旬時点で残っているのが88戸。かなりの高額にもかかわらず、288戸がすでに売れているということだ。

 もう一つの高額物件は三田ガーデンヒルズ(東京・港区)。三田綱町(みたつなまち)という、都心の高台に隣接するエリアの再開発物件だ。この地域の物件は以前から「億ション」ばかりだったが、その中でも極めて高額な物件である。

 筆者が主宰する無料会員制サイト「住まいサーフィン」の会員に集めてもらった価格表では、その平均価格は3億6219万円となっている。にもかかわらず、8月中旬時点で、総戸数1002戸のうち754戸がすでに売れているようだ。

 新築マンションの売れ行きは「総販売額」(価格×供給戸数)という指標でも評価できるが、この2物件は23年上半期だけで計1042戸を供給し、合わせて3357億円の総販売額を上げている。

 首都圏全体の23年上半期における総販売額は、前述した価格(8873万円)と供給戸数(1万502戸)を掛け合わせた約9318億円(前年同期比12.6%増)だ。このうち上記2物件の総販売額は約36%を占めている。いかに両マンションの売れ行きが突出しているかが分かるだろう。

 だが裏を返せば、この2物件以外の新築マンションはあまり売れていないという話になる。筆者の試算では、これらを除いた首都圏の23年上半期実績は平均価格が6302万円、供給戸数が9460戸、総販売額が約5961億円となる。

 首都圏における22年上半期の平均価格は6510万円、供給戸数は1万2712戸、総販売額は約8276億円だった。前提条件が異なるため単純比較はできないが、23年以降、好立地ではない普通の物件が売れているとは必ずしも言い切れないだろう。

 こうした実態を見ると、「東京23区のマンションは全て人気で値上がりしている」とはいえないことが分かるはずだ。WORLD TOWER RESIDENCEや三田ガーデンヒルズの存在を知らないまま、販売価格の上昇というニュースの表面だけをなぞって誤解している人が多いような気がする。

 ちなみに14年以降、首都圏全体の年間総販売額は2兆円前後で大きな変化はない。


「首都圏の新築物件は全部人気」という誤解は捨てるべき

 この他、売れ行き不振を象徴するニュースとしては、23年上半期における近畿圏の新築分譲マンション供給戸数は前年同期比15.9%減の 6075戸にとどまっている。首都圏の投資用マンションの供給戸数も同23.3%減の2820戸に沈んでいる。

 マンションは立地が最も重要で、価格水準も資産性(値下がりの仕方)も立地でほぼ決まる。新築マンションにおいては、好立地の物件が出れば売れるのは当たり前だ。

 そして、WORLD TOWER RESIDENCEや三田ガーデンヒルズのような好立地の高額物件は、今後も年に3~5件ほど出てくるはずだ。それらは両マンションと同じく、大規模再開発の一環で建設されるだろう。オフィス・商業・ホテルなどの複合開発が行われる場合、分譲マンションも同時に企画されることが多いからだ。

 だが、これは好立地に限った話だ。新型コロナウイルス禍が落ち着き、リモートワークの割合が下がり、オフィスが復権し、インバウンド需要も含めたホテルのニーズが急回復した今、マンションは相対的に採算が良くない不動産に成り下がってしまっている。まとまった土地が出てきても、マンションにならないことが多いのだ。

 好立地とはいえない新築マンションは、竣工から1年で中古扱いになる。その際には、周辺の中古価格相場に足を引っ張られ、値下がりリスクを抱える。一般消費者は首都圏の不動産について、「好立地の新築マンションは売れているが、そうでないものは供給が減るほど苦戦している」といった認識に切り替えた方がいいと筆者は考えている。」


 この記事を読むと、都内のマンションが一律に人気という訳でもないようです。中国や韓国でもマンションの価格が暴落し、バブルがはじける予兆が出ています。日本においても注意深く見ていく必要がありそうです。



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