マンション等の大規模修繕工事を手がける株式会社ヨコソーは、マンション居住者向け情報サイト「マンション・ラボ」のアンケート会員約15,500名を対象に大規模修繕工事に関するアンケート調査を実施しました。(調査期間2021年1月29日~2月15日)その結果が2021年5月27日の公表されましたので紹介します。
大規模修繕工事情報の共有は、マンション内の掲示と紙の配布が主流
大規模修繕工事中は、洗濯物が干せない日・大きな工事音が出る日・塗装の臭いが強い日などには、施工会社から居住者へ事前に 工事情報が提供されます。 これらの情報は、どの居住者も必ず目にする場所としてエントランス付近の掲示(82.3%)、および各戸に紙を配付(74.5%)が大多数でした。第三位にエレベーター内の掲示(28.9%)となっています。駐車場からエントランスを通らずにエレベーターに乗るマンションではエレベーター内の掲示は有効な手段です。
WEB やメールの活用はまだまだ少数。その他に、テレビの空きチャンネルを利用して工事情報を案内して いたマンションもありました。
工事期間中の困りごとN0.1は「ベランダの片付け」
一般的な大規模修繕工事は、共用部であるベランダも工事します。ベランダにある荷物やウッドデッキなどは、工事前にすべて撤去して移動しておく必要があります。また、工事内容によっては網戸を撤去することもあります。
困りごとの第1位はベランダの片付け(42.9%)でした。第2位は作業音がうるさい(20.2%)、第3位洗濯物がいつ干せるかわからない(15.1%)となっています。
施工会社によっては、ベランダの不用品回収サービスや、観葉植物の一時保存場所を設けてくれることがあります。工事開始前に事前確認しておきたい点です。
また、工事予定表に騒音や臭いの発生、洗濯物情報のこまめな更新も、お客様満足度のアップにつながります。
知りたいことのトップ3は「工事期間」「工事内容」「作業音」
エントランスの工事用掲示板には、全体工程表・週間工程表・今日の作業内容および、どのような音が発生するか等の掲示が必須です。
施工会社に対して不満を感じた点では、「特になし」という回答が約 76%と大多数でした。工事への満足度が高い理由は、施工会社 の対応力にあるようです。わずかですが、「プライバシー対策」「作業員の仕事ぶり」「作業員の対応・態度」について改善してほしいという声もありました。
工事情報の共有や連絡に紙はもう古い?PCやスマホでの希望は約67%
回答者 2,543 人全員に、パソコンやスマートフォンで工事情報がいつでも確認できるサービスについて聞いてみたところ、約 67%が利用を希望。スマホが主流となったいま、掲示板や紙での情報共有以外に、IT 利用も視野に入れていく必要がありそうです。
今後、スマホ等で簡単に掲示物を閲覧できるサービスが出てくることを望みます。
さらに大規模修繕工事の際に、同時にほしいサービスについて聞いたところ、「不用品の回収」「網戸の張替え」「共用部の改修」などがトップ 3 でした。
修繕積立金の見直し経験は約60%、うち85%が「不足」
大規模修繕工事は、マンションの修繕計画や予算を見直す重要なタイミン グです。今後の修繕積立金を見直したり、修繕積立金が不足していて一時金の 徴収を行ったりすることもあります。アンケートを見ると、約 60%近くのマ ンションが過去に修繕積立金を見直しています。 修繕積立金を見直した理由のトップは、「当初設定の修繕積立金では将来的 に不足することがわかったため(月額の増額)」(85.3%)でした。
見直しに伴った月額修繕積立金の増額は、「5,000 円未満」増額が最も多く、次に「5,000円~10,000 円未満」増額でした。毎月の出費なので、10,000円以上の値上げは居住者にとっては大きな負担です。
当初の計画が不十分だった、消費税の増税や物価・人件費の上昇など社会情勢が変化したということもあり、将来を見据えて修繕積立金計画を考えていく必要があります。
一方、積立金そのものが不足していたため、大規模 修繕工事実施に伴って一時金を徴収するマンションも あります。一時金を徴収したマンションでは、「20 万 円未満」の一時金が最も多いものでした。これはかなり大きな負担ですので、管理組合での十分な話し合いが必要です。
まとめ
マンションの大規模修繕工事は、施工会社の選定、予算、工事内容、工事期間中の居住者との情報共有やスムーズな進行など、理事会がやるべきことがたくさんあります。また、協力して長期間の工事を推進する施工会社との関係も重要です。 アンケートでは、修繕積立金について、「高いとは思うが資産維持のためには仕方がないと思う」(約 42%)、「資産維持のためには、 適正な金額だと思う」(約37%)と、大多数の居住者がその重要性を理解していました。
また「工事費の適正価格がわからない」という意見も多く、施工会社の選定方法も含め、 わかりやすく学ぶ機会が必要なのだと痛感しました。居住者全員で大規模修繕工事について、しっかりと学ぶ必要がありそうです。
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