タワマンの街・武蔵小杉で町内会が解散へ 人口増でも「地域の崩壊」
- 快適マンションパートナーズ 石田
- 4月10日
- 読了時間: 5分

2025年2月3日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。
「タワーマンションが林立する川崎市中原区の武蔵小杉駅近くの町内会が、3月末で解散する。町内の人口は15年で2.5倍に増えたのに、会員が激減したからだという。いったい何が起きているのか。
1月3日、JR南武線の高架下にある小杉町3丁目町会会館で獅子舞が披露され、町会としては最後の舞に親子連れなど約50人が集まった。
町会長の五十嵐俊男さん(81)はこうつぶやいた。「この中には町会の子はほとんどいないんだよな」
タワマンが3棟、人口は2.5倍に
武蔵小杉駅の南西にある小杉町3丁目には区役所や警察署、郵便局などが並ぶ。
市によると、2009年に2214人だった町内の人口は、24年に約2.5倍の5508人に増えた。駅周辺の再開発で高さ140~160メートルのタワマンが3棟(計約1400戸)できたためだ。
一方、町会の会員はかつての850世帯から650世帯に減った。このうち半分ほどは、入居世帯すべてが会員になる古いマンションの住民で、町会活動に関わることはほとんどない。事実上退会している商店などもあって、実際の会員はもっと少ないという。
五十嵐さんによると、戸建て住宅は30戸を割り、町工場も1カ所だけ。タワマンの住民で会員になっているのは10世帯程度。主に以前から町内に住んでいた人たちだという。
こうした中、町会が開いていた盆踊りは10年以上前から実施できなくなった。新型コロナが流行する前後には、神社のお祭りなどに出す子どもみこしや地域の清掃、防犯パトロールなども中止。活動の縮小を受け、会費の徴収をやめた。
「いつか引き継いで」と願ったが
一方、現在も活動が続くのは区役所や学校などの会議や式典に役員が出席することくらいという。役員約15人の大半が70代以上と高齢化したうえ、新たな担い手もおらず、24年5月の総会で解散が決まった。異論は出なかったという。
会員に配布した文書には「近年のタワーマンション増加、国道409号拡幅工事に伴う住人の転出などで会員数が激減し、町会活動が困難な状況となりました」と記した。
五十嵐さんが会長に就いたのは11年前。「いつか引き継いでくれる人が出てきてほしいと期待していたが、だめだった」
「タワマンができるとき、市は『地域のためになる』と説明したが、これでは地域の崩壊だ」と憤る。
副会長の野上隆明さん(74)は9年前に区外に引っ越したが、町会を支えるために副会長を続けてきた。「町会がなくなるのは、やはり寂しい。役員は私よりも年上の人が多いので、集まる機会がなくなると体が弱ってしまわないか心配」と話す。
総務省によると、全国の町内会や自治会は23年現在で29万5838団体と10年前より2862団体減った。人口約155万人の川崎市内で世帯数が一定規模以上ある地域でみると、解散は小杉町3丁目町会のケースが把握している限りでは初めてという。
タワマンの「自治会的組織」も苦境
武蔵小杉では、市の主導で07年にNPO法人「小杉駅周辺エリアマネジメント」(現・一般社団法人武蔵小杉エリアマネジメント)が設立された。タワマン内で自治会と似た役割を担いつつ、町内会や商店街、行政とのつなぎ役にもなる組織だ。しかし、このエリマネもいま苦境に陥っている。
当初はタワマンの管理組合が全ての入居世帯から月300円の会費を集め、エリマネに活動資金を拠出していた。だが、16年に国土交通省がマンションの管理規約の「ひな型」を改定したことを受け、管理組合からエリマネに資金を拠出することが難しくなり、活動に賛同する住民だけが会費を払う方式になった。エリマネの代表理事・松尾寛さん(74)によると、約5千世帯だった会員はいまでは約70人になり、収入も激減。イベントやサークル活動も大幅に縮小せざるを得なくなった。現在は、マンションの防災活動に特化しようとしているほか、収益を上げられるように組織の抜本的な見直しを模索しているという。
地元の自治会と同様に役員の担い手も不足している。松尾さんは「代表理事を引退したいのだが、後継者がいない」。
識者「災害に備え、関係組織が連携を」
武蔵小杉の状況に詳しい法政大学人間環境学部の小島聡教授(地方自治論)は、戸建て住宅を中心とした町内会とタワマンとでは、住民の価値観や抱える課題が異なり、一つの地縁組織にまとめるのは簡単ではない、との見方を示す。
そのため、タワマンの住民は増えていながら、町内会の会員は増えず、人口減少と高齢化で解散している各地の町内会や自治会と同じ状況に陥っていると指摘する。
今回の事態について「共助機能の弱体化」とみる。人口密度が高い都市で災害が起きると、町内会や自治会の役割として想定されている住民の安否確認や避難所の運営は「行政だけでは対応しきれない」。その上で「自治体は災害時に備えてエリマネや町内会、地元企業などの関係組織が連携するネットワークづくりを責任を持って進めるべきだ」と警鐘を鳴らす。
一方で、自治体がこれまでに町内会や自治会に頼ってきた業務の内容が適切なのかを検証する必要性があるとも指摘。「町内会・自治会も自らが何のために存在しているのかを問い直すべきだ」と話す。」
マンションの管理組合は、マンションを購入した人の集まりですが、自治会は賃借人も含め実際に住んでいる人の集まりです。
災害起こった時や、地域のお祭り、地域の清掃等は、本来自治会が中心になって進める必要があります。自助・共助・公助の部分の共助の部分を担うのは、やはり自治会の役割です。
私の住んでいるマンションには、理事会と自治会の2つの組織がありますが、自治会は希望者のみの入会であり強制ではないために、自治会費を払いたくない人や、地域活動に参加するのが面倒と加入率は高くありません。
ただ、そのような人に限って、災害に会った時の援助や、地域コミュニティーの活性化を声高に訴えるのは、とても違和感があります。権利を言う場合には、義務を果たす必要もあるということをわかって欲しいと思います。
他のマンションでも、自治会の活動に苦慮しているマンションは多いです。対象としている人は確かに違いますが、杓子定規には考えずに、管理組合が自治会を兼ねることが一番良いように思います。
Comentários