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執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

タワマンを買うパワーカップルは即座に生活が破綻する可能性も…!? 経済アナリストが明かす“賢い住居選び”

更新日:2023年9月12日



 2023年2月10日の文春オンラインの表題の記事を紹介します。


「新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、生活コストが高く、人口の密集する東京から地方への移住を検討する人が増加し、地方暮らしの魅力は広められた。しかし、最新の調査によると、一転して東京への流入人口が改めて増加していることがわかっている。果たして、都会と地方、どちらの生活が人々にとって魅力的なのだろうか。


 経済アナリストの森永卓郎氏はトカイナカ(都会と田舎の中間地)での暮らしをかねて推奨しているが、はたしてその根拠とは。ここでは、同氏の新著『 増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学 』(角川新書)の一部を抜粋し、生活拠点の“賢い選択”について紹介する。


定年してからでは遅すぎる

 リタイアしたら自給自足の生活をしてみたいと考えている人もいるだろうが、私のお勧めは現役時代から移住することだ。リモートワークが普及した今、仕事とトカイナカ暮らしの両立は可能だろう。

 地方で暮らすことを推奨する企業も増えている。

 たとえばNTTグループは全国どこに住んでも構わないし、ヤフーも同じだ。ここまで先進的な企業は限られているが、産業の中心は今後、そうした企業に移っていくはずだ。だから、多くの人にトカイナカ暮らしのチャンスがやってくると思う。

 反対に都会でタワマンを買うパワーカップルは、大きなリスクを抱えることになるだろう。目いっぱい住宅ローンを借りて、1億円を超えるような物件を購入しているが、今後金利が上昇したり、タワマンの価格が暴落したりしたら、即座に生活破綻だ。

 だからこそ発想の転換が必要で、ハナから住民税非課税を目指して豊かな暮らしをするのが、一番賢い選択と言える。一番よくない選択は、都心暮らしにこだわってやりたくない仕事をどんどんやって、疲労困憊した上に稼いだ金からごっそり税金と社会保険料を持っていかれることだ。


別荘を欲しがる人を待っている落とし穴

 なかには、リゾートに別荘を買って都会と行き来しながら2拠点暮らしを夢見る人もいるだろう。しかし、別荘には罠が潜んでいる。

 誰もが知る別荘地の1つが軽井沢だ。芸能人や経営者には軽井沢に別荘を持っている人が少なくない。高原だから夏は過ごしやすく、ゴルフ場もある。冬は冬でスキーやスノーボードを楽しむこともできる。

 新幹線に乗れば、東京駅から1時間ちょっとで着く近さもメリットであるし、何より「軽井沢」という地名はブランド価値も高い。

 あるとき、有名芸能人が軽井沢に建てたおしゃれな別荘がテレビで特集されていた。その後にご本人と番組でご一緒したときに「あの別荘はその後、どうなりましたか?」と訊ねたことがある。

 すると「実は、あのロケのあと一度も行ってないの」と言っていた。別荘を買った人が使う平均回数は、生涯を通じて8回しかないという調査結果を見たことがある。

 地方に別荘を建てたとしても、結局は年に1回、行くかどうかというオチになりそうだ。別荘より高級ホテルを利用したほうがコスパは高い

 そういう私もかつて別荘を買おうと思ったことがある。

 私は2019年まで群馬県の昭和村に畑を借りて体験農業をしていた。その近くにはバブル期に日立金属が造った別荘の分譲地がある。200坪と広さも十分な別荘地が300万円で売りに出されていたので、妻に「買いたいんだけど」と言ったら猛反対された。

 いつも妻は、冷静かつ客観的に物事を俯瞰している。そのときも、別荘など買っても1年に1回、行くかどうかだろう。リフォーム代や固定資産税、水道光熱費の支払いを考えれば割に合わない。それなら、行きたいときに高級ホテルを利用したほうがコスパは高い、そう見抜いていたのだろう。


越後湯沢の格安リゾートマンションを買った知人の顚末

 バブル期に建てられた越後湯沢のリゾートマンションはタダ同然で売られていたりする。私の知人もその安さにひかれてタワマンを買った。分譲時には4000万円以上したタワマンの一室を150万円で買い取ったのだ。

「さすがにこれ以上値崩れすることはない」と考えたようだが、その後、数年で50万円まで値下がりしたという。

 その理由は維持費がかかりすぎることだ。物件自体はタダ同然にもかかわらず、管理費は毎月数万円がかかったりする。越後湯沢にスキーをしに行くのは年に数えるほどだろう。しかし、タワマンを持っているだけで管理費と固定資産税を垂れ流さなければならないのだ。

 別荘の夢を見るくらいであれば、トカイナカ暮らしを真剣に考えたほうがよほど人生を豊かにしてくれるのは間違いない。


教養を身に付けなければ搾取される

 マルクス経済学の教科書に書いてあるが、最初の原始共産制の下ではみんな平等だった。共同で狩りをして、木の実を採る。

 それが分化していったのは、農耕が始まってから。何も考えていない人は、その年の生産物をすべて食べてしまう。一方で生産物を残している人、たとえば種もみを残して翌年の生産につなげる人が資本家になっていく。

 その資本家の人たちは、翌年どうするか。食うや食わずの人たちを労働者として雇う。そして、その人たちが作ったお米や小麦をごっそり持っていってしまうわけだ。種もみまで食べてしまうからずっと労働者のままなのだ。

 私が経済企画庁にいたときに労働者派遣法が成立した。そのときに製造業や建設業には絶対に派遣を認めては駄目だというのがコンセンサスだった。

 戦後に口入稼業があった。東京・新大久保などの公園に日雇い労働者がたくさん集まり、夜明けとともにトラックがやってくる。荷台に労働者を乗せて工場や建設現場に連れていくわけだ。


都心にこだわると生活費が足りなくなる

 1日働かせてまたトラックの荷台に乗せて、公園まで帰ってくるわけだが、日当の大部分はピンハネしてしまう。労働者の手に渡るのは2割、3割というひどい状態だった。それでも労働者はわずかなお金を握って酒屋へ行き、焼酎を買ってつまみを買って、飲んだくれて、また次の朝にトラックに乗り込む。

 そんな事態は絶対に繰り返してはならないと、「製造業と建設業には派遣労働を認めないでおこう」となっていたわけだ。結局は製造業の派遣労働が解禁されて、同じことが起こってしまった。

 2008年に秋葉原でトラックが交差点を横断中の歩行者に突っ込んだ事件があった。犯人は完成車の自動車工場で働いていたが、派遣切りにあってやけくそになってしまったのだ。そこまで極端ではなくても、今の都心にこだわっていると、生活費が足りなくなってしまって、夫婦でボロボロになるまで働いて、家事の時間がないからコンビニで高い物を買う。

 私の事務所の近くに町中華の店がある。そこにお母さんが小さな子どもを連れてきて、晩御飯のおかずをテイクアウトする姿をよく見かける。そうまでして働かなければ、都心の家賃は高くて支払いができないのだと思う。それはどんな人生なんだろうと心配になる。」


 最近、田舎暮らしがブームになっていますが、田舎には田舎の大変さがあります。若者が都会に出て過疎化が進むには、それなりの理由がある訳です。憧れて田舎暮らしを始めたものの、田舎暮らしが性に合わず、また都会に帰ってくる人も多くいると聞いています。

 この記事にあるように、現役の内に短期間移住するか、クラインガルテンのような施設に滞在し、実際に農業をやってみる等の準備をしてから移住をするほうが、失敗は少ないと思います。

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