2022年7月12日のHint-Podの表題の記事を紹介します。
「低層階と高層階の坪単価差が一般的なマンションよりも大きいタワーマンション。投資目的の購入層は、可能な限り上層階を購入する傾向があるようです。また、こうした物件価格の差が住人の意識に影響を与えているという話も。その表れとして、近年は「タワマンカースト」という言葉も注目されています。果たしてその実態はどのようなものなのでしょうか? 解説とアドバイスは「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんです。
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エレベーターホールで女性から手厳しい洗礼
タワマンで高層階住人と低層階住人の間に発生するという「タワマンカースト」。これをテーマにしたテレビドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」(2016・TBS系)の放送からもうすぐ6年、今やすっかりおなじみの言葉になりました。
数百世帯が住む巨大な集合住宅だけに、住んでいる人に良い人もいれば悪い人もいるのが当たり前。しかし「タワマンに住んでいるのは、悪い人ばかりという気がしています」と語る女性もいるようです。
お話を聞かせてくれたのは、大阪府在住の神崎愛子さん(仮名・43歳)。雑誌のモデルとして活躍し、結婚を機に大阪へ。数年前に大阪市内でタワマンを購入し、家族揃って引っ越しました。
「実は昔からタワマンに憧れていたんです。東京では億単位になるので買えませんが、大阪は意外と低価格で推移しているので、思い切って貯金をすべて使い購入しました。住んでいるのは10階前後の部屋。周囲にそこまで高い建物がないので眺望が良く、『良い物件があったね!』と、夫や子どもたちと揃って喜んでいたんです」
そんな愛子さんがタワマンカーストの洗礼を受けたのは、入居して2週間ほど経った頃のこと。中学生の息子さんと買い物から帰宅した時、エレベーターホールで居合わせた女性に何気なく話しかけました。
「同世代の方だったのでお友達になれたらと思い『こんにちは。今日も暑いですね』と軽い気持ちで話しかけたんです。でも、相手から返ってきたのは驚きの言葉でした。『あなた、何階にお住まいの方?』と……」
愛子さんは思わず「え?」と動揺しましたが、気を取り直して「先日、○階に引っ越してきたんですよ」と答えました。しかし、驚きの展開は続きます。
「私が住んでいる階を告げると、女性はいきなり表情をなくしたんです。『え? 何があった?』と思って『あなたは何階ですか?』と話を続けると『私は上層階なの。あなたとはステージが違うので、今後は話しかけないでくださいね』って、いわゆるカットアウトをされてしまいました」
エレベーターの中は気まずい雰囲気に…
その後、エレベーターが到着。愛子さんと息子さんはその女性と乗り込みましたが、女性は話すことも視線を合わせることもせず、何とも気まずい雰囲気です。その短い間に状況を動かしたのは、息子さんでした。
「『早く家がある階に着かないかな』と思っていたところ、息子がこんなことを言い放ったんです。『ねぇ、お母さん。上層階に住んでると何が偉いの? 話しかけたらいけないって、そういうマンション規則でもあるの? 俺、気分悪いんだけど』
それを聞いた女性は、どうやら怒りでフルフルと体を震わせているようでした。でも、私はその姿を見て何だかおかしくなってしまい、笑いをこらえるためにフルフル。そして息子は、しれっとした顔で鼻歌を歌い始めていました。
普段いかにくだらないことをやっているのか、この一件で女性が気づいてくれたらうれしいのですが……残念ながらその後、その女性や他の上層階住人から見事に無視されています(笑)」
低層階住人に「コンシェルジュを使うな」という“注意”も
「タワマンカーストのようなものは、業界でよく聞く話ですね。同じタワマンでも低層階と上層階は1.5~2倍近く価格が変わることがあります。上層階をやっとの思いで買った層は、低層階を見下すことでストレスを解消している面があるのでしょうか」
不動産業界歴20年以上の経験を持つ姉帯さん。“ドロドロとした人間関係”は、すでに見慣れたトラブルになっているそうです。
「低層階住人に対する『コンシェルジュを使うな』といった“注意”や、保育園でのカーストなども問題になっているという話も耳にしています。好んで低層階に住んでいるハイソサエティもいますから、かなりくだらない行為だとは思うのですが。
こうしたトラブルは、そのタワマンから転居しない限りついて回るもの。購入する際は上層階と下層階の物件価格をざっと調べ、その差が大きい場合はこういうことがあるという心づもりをしておく方がいいかもしれませんね」
いざトラブルに遭遇した際、どのように対応するのか? 対応を間違えると、後々面倒なことになりそうですよね。愛子さんの場合は、息子さんの発言で溜飲が下がる展開に。そのまま笑い話として昇華し、マイナスの感情を引きずらないことも一つの手かもしれません。」
ドラマの中だけかと思ったら、実際にこんなこともあるのですね。タワーマンションの住民格差は、業界ではかなり前から言われていました。管理費や修繕積立金は、専有床㎡当たりで設定されるため、上階でも下階でも、住戸の広さが同じであれば、同じ料金を支払う必要があります。タワーマンションは、サービスの付加価値も高く、また共用設備も多く、修繕費も高額のため、管理費や修繕積立金は高額になります。また、値上げの決議でも、上階と下階の住民では、生活レベルも違い、もめるケースが多いようです。タワーマンションは購入価格だけでなく、住んでからの維持費も高いことに注意が必要です。
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