2000年頃から増え始めた、タワーマンション。最近徐々に大規模修繕工事の実施例も増えてきました。埼玉県川口市のタワーマンション エルザタワー55の例では、1回目の大希望修繕費用は12億円だったといいます。一戸当たりの負担は約185万円(大規模修繕まで17年)です。普通のマンションの大規模修繕工事の相場は戸当たり約100万円なので、やはり高額な印象があります。
タワーマンションの修繕費は高くなる理由には、一つには通常の仮設足場が使えないということがあります。地上45m(15階相当)までの物件であれば、地面からくみ上げる普通の枠組み足場が使えるのですが、超高層マンションではそういった足場が使えません。屋上から吊り下げて昇降させるゴンドラ、または建物にレールを設置し足場を移動させる移動昇降式足場、リフトクライマー等が必要になります。そしてこれらは、それぞれのマンションの形状に合わせて特注で作るため、費用も掛かることになります。この特殊足場は作業できる会社が限られるため、コスト競争力が及ばず、工事費が割高になってしまうようです。
エレベーターや立体駐車場の交換費用も高額 大規模修繕費用以外にもエレベターの交換や立体駐車の交換費用が高額となるケースが多いです。
エレベーターも、50階を超えるような超高層マンションであれば、ワイヤーの長さ・強度などが特別仕様なので、一基あたり数千万ともいわれています。 駐車場も自走式ではなく、タワーパーキング式が多いので、同じ大規模の中高層マンションより高くなる傾向になります。
機械式のパーキングは、必然的にメンテナンスや修繕費用も高くなってきます。 国土交通省ガイドライン資料によると、 機械式駐車場の1台あたり月額に換算した修繕工事費用は 2段(ピット1台)昇降式 7,085円/台・月 3段(ピット2段)昇降式 6,040円/台・月 3段(ピット1段)昇降横行式 8,540円/台・月 4段(ピット2段)昇降横行式 14,165円/台・月となっています。
工事期間が長い 一般のマンションの大規模修繕工事の工期は半年程度ですが、タワーマンションの場合は、「上まで足場を全部かけて作業する」ということが出来ないため、工期が長期化します。現状では、2~3年という期間を要することも珍しくないようです。
工期が長引くということは、それだけ人件費もかさみ高コスト化します。実例から言っても、総額10億円を超える工事となる場合もあり、住民の負担もそれだけ大きいものとなります。
修繕積立金の額の目安 国土交通省のガイドラインによると、 20階以上の建物での修繕積立金の平均金額は 170~245円/㎡・月(平均値は206円/㎡・月)。
以下の計算式で修繕積立金の目安計算ができます。
【修繕積立金額の目安の算出式】 Y=AX(+B) Y:購入予定のマンションの修繕積立金の額の目安 A:専有床面積当たりの修繕積立金の額 X:購入予定のマンションの専有床面積(㎡) (B:機械式駐車場がある場合の加算額 )
例えば、
25階建てで、専有床面積が80㎡住戸を購入する場合を、国交省ガイドラインの平均修繕積立金で試算してみると
目安の平均値 80 ㎡×206 円/㎡・月 = 16,480 円/月
【機械式駐車場がある場合の加算額(B)】 例えば、購入しようとするマンションに、4段(ピット2段)昇降横行式の機械式駐車場が 100台分あり、購入を予定する住戸の専有床面積が80㎡、マンション全体の専有床面積の合計が20,000㎡(負担割合が 80/20,000)の場合、14,165円(月額修繕工事費の目安)×100台 × 80/20,000 =5,666 円 となります。
つまり、機械式駐車場がついているタワーマンション(約80㎡のお部屋)を購入する場合、上記のような計算をすると、修繕積立金だけで最大月々約22,000円程度必要ということになります。一般のマンションよりもかなり高額です。
タワーマンションを検討するならば、管理組合が正常に機能しているか、修繕計画はきちんとなされているか、修繕積立金が予定通りに貯まっているか等、普通の中古マンションを購入する以上に、気を付けて検討しましょう。
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