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マンション「管理拒否」増加 前代未聞のはずが 管理会社の事情は



 2021年9月7日付けの朝日新聞デジタルの記事を紹介します。

「マンションの清掃や資金管理などを委託していた管理会社から管理を断られるケースが、都市部のマンションを中心に増えています。新たな管理会社を探すのも難しく、見つからなければ「管理不全」にも陥りかねません。

 背景には、マンション管理を巡る近年のある事情があるようです。今、現場で何か起きているのでしょうか。


築43年「うまみ」なくなった?

 「会社の事情もあり、もう契約の更新はできません」

 昨年1月、川崎市内にあるマンションの管理組合の理事長の男性は、管理会社の担当者にこう言われた。5年ほど前から契約しており、「青天のへきれき。かなりショックだった」と話す。

 更新拒否の理由について理事長は、築43年と古く、管理会社にとって「うまみ」がなくなったためではないか、とみる。

 このマンションの管理組合では、修繕工事の際、この管理会社からの見積金額が高いとして、他の業者に依頼することが多かった。また、修繕積立金の残高も少なく、今後の工事も見込めなかった。関係者は「こうしたことが更新拒否の理由では」と指摘する。

 理事長の男性も、「管理会社にとって利益になる工事を受注できず、もうからない管理組合との付き合いはしたくない、との意思表示だと感じた」と振り返る。

 解約された後、数社に打診し、なんとか別の管理会社が見つかった。

 「このまま見つからなければ自主管理になり、不安は大きかった」と話す。

 管理組合のコンサルタント業務などを行う、メルすみごこち事務所(東京)の社長でマンション管理士の深山州さんは、「大手・中堅の管理会社から契約の更新を拒否されたと相談を受けるケースが、ここ数年で急増した。これまでの業界常識からして前代未聞」と話す。全国的な傾向だが、特に都市部の郊外にあるマンションで顕著だという。

 業界紙「マンション管理新聞」が2019年に、管理会社30社を対象に調査したところ、約7割が採算が取れないことなどを理由に管理組合との契約を辞退したことがある、と答えている。


拒否が増える理由とは

 拒否が増える背景の一つには、管理にかかるコストの上昇がある。

 マンション管理人や清掃員の最低賃金が引き上げられたことなどで、人件費が上昇。管理費に転嫁しようとしても、組合側が値上げに応じられず、さらに修繕積立金の残高が少ないことなどから、解約に至るケースが多いという。

 大手管理会社の担当者は「清掃や警備などのコストが増え、日頃の管理業務では利益が出ない。その代わりに、日々の修繕工事や十数年ごとにある大規模修繕工事を請け負うことで埋め合わせる構造になっていることが多い」とし、「修繕費用の積み立てが少なく、収益を得るチャンスが少ない組合は、切り捨てることもある」と明かす。


増える管理費、背景にはある法律

 東京カンテイ(東京)によると、首都圏の新築マンションの管理費は、19年までの直近10年間で約18%上昇した。

 高騰の背景の一つに、管理人らの人材不足がある。

 かつて、マンション管理人は「シニアの第二の働き口」で、60歳前半で定年退職した人たちが多く採用されていた。ところが、13年に施行された改正高年齢者雇用安定法で、希望者全員を65歳まで雇うことが企業の義務に。定年退職者の採用が難しくなった。

 マンション管理業協会が管理会社を対象に実施した調査(17年)によると、回答した会社の8割が「(直近)3年以内で採用が難しくなってきた」とした。その理由として「給与や時給単価が低い」「売り手市場」「定年の引き上げ」が、いずれも6割を超えた。

 全国マンション管理組合連合会の元会長、川上湛永さんは「更新拒否されているのは、小規模で築年数を経たマンション。古いマンションほど、年金暮らしの住民も多いため管理費の値上げに応じにくく、管理会社が決まらなければ放置状態にもなりかねず、危険」と指摘。「建物も住民も老いる中、管理会社も利益を出しにくくなっており、更新拒否は今後も増える可能性もある。今後のマンション管理の大きな問題だ」と話す。


住民自らで管理の動きも

 管理会社に頼り切らずに一部を住民で運営するなど、管理方法を見直す新たな動きも出ている。

 横浜市内にあるマンションは、今年11月から会計業務や理事会の運営などを住民自らで担う予定だ。昨年ごろから、管理会社から管理費の値上げを打診されてきたが、年金暮らしの住民もおり、応じるのが難しいことなどから解約。三菱地所のグループ会社イノベリオスが提供するアプリ「KURASEL」で管理し、コストを抑える。

 80代の女性理事長は「自分たちでうまく管理できるかはこれからだが、管理方法を見直す良い機会だった」と話す。

 メルすみごこち事務所社長でマンション管理士の深山さんも5年ほど前、管理会社を設立。警備や設備保守では、管理組合が業者と直接契約する新たな仕組みを提案し、管理コストを抑える。通常の管理会社は、警備などの業務を専門業者に再委託する際に「中抜き」が発生するため、管理費が高くなる傾向にあるという。

 深山さんは「これまでのマンション管理は、住民が管理会社に管理を丸投げすること形が普通だった。住民でできるところは自分たちでしたり、契約方法を変えたり、管理のあり方を見直す転換点が来ている」と話す。」


 先日、管理会社の人と話していた折に、管理会社のリプレース依頼のあった管理組合が、最終的には自主管理で運営することになったという話を聞きました。この記事にもあるように、ITを活用することで、自主管理を行い管理費の削減を図っている組合もあるようです。

 私の個人的な見解では、自主管理には反対です。順調に運営されているうちはいいですが、管理費の滞納や、住まい方のルール違反者に対して、同じ入居者として管理組合が、強く指導できるのか、はなはだ疑問です。また、運営に関しても熱意のある方が中心になって自主管理されると思いますが、同じ人が長期間、組合運営に携わった結果、管理費や修繕積立金を個人的に流用していた事件は、過去から多く報告されています。

 また、自主管理当初は良かったが、時間の経過とともに、入居者の高齢化が進み、充分な維持管理もできないまま、再び管理会社へ、管理を委託した組合も多く知っています。

 目先の利益だけにとらわれず、長期的な視点をもって、自主管理の長所・短所を充分判断した上で、自主管理を検討されることをお勧めします。


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