マンションのインテリアの色合いも時代とともに変化していきます。今回は、会社員時代にマンションの商品開発をしていたときの経験から、マンションのインテリアカラーの流行がどのように変化し決まっていくのかの説明をしたいと思います。
今から35年くらい前ですが、私が最初に商品開発を担当していたときは、床のフローリング・室内ドアとも、オーク柄が主流でした。オーク柄とは柾目の木目柄です。オーク柄で濃い茶系が、ほとんどのマンションの内装だったと思います。ドアも床のフローリングもキッチンの扉も、すべてがオーク柄で、濃色・単色・中間色の濃淡だけで、インテリアが構成されていました。オーク柄は、日本でいえば楢の木のことで、針葉樹特有の細かい木目です。
その後、ナチュラル系の淡いオーク柄に流行の主流が変わってきました。またオーク柄だけでなく、メープル柄等の広葉樹の木目がその後はやり、いまでは抽象柄を含めて、石目調や錆びた金属・古いレンガ調等、木目以外の柄も広く使用されるようになってきました。
服の流行と同じように、これらのインテリアカラーも、最初はヨーロッパから発信されます。年に1回イタリアで開催されるミラノサローネという展示会で、その年に流行るであろうインテリアが提案され、それをもとに印刷会社(大日本印刷・凸版印刷)が、新色のシート柄を発売します。
「何で印刷会社?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、マンションで使われている床フローリングや、木製ドア、キッチン等の扉は、無垢材ではなく、ほぼ100%、印刷された化粧シートで覆われた工業製品です。これら以外にも、ユニットバスの壁や、キッチンの扉・壁紙も同じく印刷会社の化粧シートを基に作成されています。
印刷会社が作った色柄見本帳をもとに、各建材メーカーや住設機器メーカーが、新商品を開発し、その商品をもとにインテリアコーディネーターが、新しいインテリアコーディネーションでモデルルームを作ります。
インテリアの流行の流れとしては、まずは高級ホテルで新しいインテリアカラー等が採用され、その後にマンションに展開される傾向が強いです。会社員時代には、出張時に、赤字覚悟で、高級ホテルに泊まって最新インテリアの勉強をしたこともありました。
最近は、壁のクロスにしても一面だけ違う色柄を使うアクセントカラーが標準になり、また古いレンガ調や木目調等のフェイク模様も普通に使われるようになってきました。昔は壁紙は白一色のシンプルモダン一辺倒だったのが、使う素材が豊富になったためか、一つの住戸でも、部屋毎にインテリアトレンドが変わるケースも増えてきたように思います。
手間暇はかかりますが、入居者が壁紙等インテリアを自由に選べるマンションも今後、増えてくるのではないでしょうか?
Comments