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マンションの大規模修繕実施は法的に義務? 目的と義務について解説



 2022年4月28日の「マンションと暮らす」の表題の記事を紹介します。


大規模修繕の実施に法的な義務はない

 建築基準法第2条では、大規模修繕とは「壁、柱、床、梁、屋根又は階段」などの「主要構造物」のうち一種以上の箇所を半分以上修繕することであると定義されています。しかし実施義務についての記載は、同法だけではなく、他のマンションに関連する法律(区分所有法やマンション管理適正化法など)にもありません。実はマンションの大規模修繕に法的な実施義務はないのです。

 ただし賃貸マンションの場合は、マンションのオーナーに建物全体を修繕する義務があります。これは、民法第606条の「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」という記述に基づくものです。


大規模修繕の目的

 そもそも、大規模修繕は何を目的にして行われているのでしょうか。実施することで得られるメリットは大きく分けて3つあります。

 1つ目は「安全性の確保」です。築年数の経過による劣化や損傷を修繕し、居住者が安全かつ快適に生活できるように維持することを目的としています。

 2つ目は「資産価値の維持・向上」です。マンションの設備が劣化すると、居住者の安全性が脅かされるだけではなく、マンションの資産価値が低下してしまいます。大規模修繕を行い老朽化を防いだり景観を良くすることで、資産価値を維持・向上させることが狙いです。さらに、資産価値の向上によって、入居率がアップすることも期待できます。

 3つ目は「居住者の住環境の向上」です。劣化した箇所の修繕を行うだけではなく、耐震性を向上させたりバリアフリー化したりといった改良をあわせて行うことによって、居住者がより暮らしやすい環境を整えることができます。


分譲マンションが負う3つの義務

 マンションは大規模修繕を実施する義務はありません。しかし、他の義務は課されています。ここでは設備の管理や報告に関連する3つの義務について説明します。

【義務1】タイル外壁の調査

 国土交通省は平成20年に、建築基準法第12条第1項に基づく定期報告制度の見直しを行いました。その結果、現在は10年に1度マンション外壁のタイルの打診調査を実施し、特定の行政庁に報告するよう義務付けられています。調査はすべてのタイル面に対して行わなければならないため、マンションによっては足場を組まなければならず、相応の費用がかかってしまう場合も。

 しかし、この報告義務は3年以内に大規模修繕を行う予定があれば、大規模修繕のタイミングまで期限が延長が可能となっています。この制度に加え、調査と同時に各種設備の修繕を行う方が効率的であるという考えから、多くのマンションでは十年程度で大規模修繕を行うことになるのです。

【義務2】管理組合への加入

 管理組合とは、建物そのものだけではなく、敷地をはじめとした付属施設の維持・管理を行うために構成される組織です。区分所有法第2条で、分譲マンションの区分所有者は管理組合への加入が義務付けられています。管理組合の実務は組合員から選出された理事会が行います。

 大規模修繕の業者選定や修繕計画の立案や修正も、理事会やその下部組織として結成される修繕委員会の業務になります。管理組合は、マンションの維持管理には必要不可欠なのです。

【義務3】マンション設備の維持・管理

 マンション管理適正化法は、マンションの維持や管理について定めた法律です。2020年6月に改正された第5条には、管理組合の努力という項目があります。その項目では、従来の条文にもあった「マンションの適正な管理」に加えて「国及び地方公共団体が講ずるマンションの管理の適正化の推進に関する施策への協力」も努力義務として記載されています。国の法令や地方自治体の施策を守るよう明文化され、努力義務が強化されたといえるでしょう。

 また何年に一度という具体的な修繕義務はなくとも、マンションの維持管理に必要なコスト面の判断は、管理組合が行わなければなりません。重要な内容については、管理組合の最高意思決定機関であるマンション総会で決議を取るので、組合員一人ひとりが判断の義務を負っているといえます。


大規模修繕は義務ではないが維持管理のために必要

 賃貸マンションとは異なり、分譲マンションは大規模修繕の実施義務を負っていません。しかしタイル外壁の調査報告や、管理組合への加入、マンションの適正な管理など、多くの義務が課せられています。

 分譲マンションの義務を果たすのと、大規模修繕の実施は、共に安全で快適なマンションでの暮らしへと結びついていくもの。義務はなくても、マンションの将来を考えるのであれば、大規模修繕の実施は検討すべき事案となるでしょう。」


 この記事にも書かれているように、マンションの大規模修繕工事を実施しなくても罰則はありません。ただし、管理組合には善管注意義務があり、適切な修繕をせずにいた場合、それが原因で、例えばタイルが落下して通行人がケガをした場合等は、管理組合(=入居者全員)の責任になります。また、管理組合には、マンションの資産価値を守る義務があり、適切な修繕で美観を保つことと、バリューアップ工事を行って、少しでも最新のマンションに近づける必要があります。また、マンション購入時に渡される長期修繕計画には12年~14年毎に大規模修繕工事を実施する前提で修繕積立金が積み立てられており、修繕工事を実施しないのであれば、修繕積立金は不要ということになります。

 マンションの入居者の中には、大規模修繕工事は不要という方が稀にいらっしゃいますが、上記の内容をご理解いただき適切な時期に適切な修繕を実施することで、資産価値の向上とマンションの高耐久化をはかることが重要です。


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