マンションの大規模修繕工事とは、足場を設置して、外壁等の修繕を行う工事であり、長期修繕計画に基づき、一般的には15年程度毎に行われる計画修繕工事です。工事を実施するために設置する足場工事が全体工事費の2割程度と高額であり、どうせ足場を組むのであればと、その周期にあわせて多くの工事を行うことで、単発で各工事を行うよりも割安に工事を実施できます。足場を設置する工事で優先されるのは、外壁やバルコニー内の工事であり、足場がなくても実施できる開放廊下側の床工事や1階廻りの工事は、逆に、大規模修繕工事に併せて実施しなくても問題ありません。多くは、どうせ工事をするのであれば、まとめて行うことで、騒音等のクレームを少なくすることや、工事費用を少なくする目的で実施されます。
一方。建築基準法で定義されている大規模修繕工事とは、主要構造部の内の1種類以上の過半(50%以上)を作り替える工事のことを言います。
建築基準法第2条には「大規模の修繕 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。」とあり「主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。」とあります。
つまり、構造上主要な柱・梁・壁・床・屋根・階段の部分の50%以上を構造体から撤去復旧するのが建築基準法上の大規模修繕工事であり、建築確認を受けてからの工事が必要となります。
マンションの大規模修繕工事は、一般的に主要構造部は手を加えず、マンション表面の化粧直しのため、確認申請等は不要ですが、鉄骨階段を付け替えるとか、耐震改修工事を行うのであれば、建築確認を受ける必要があります。
上記内容を伴わない一般のマンションの大規模修繕工事は、確認申請を提出する必要もなく、また施工監理についても、一級・二級の建築士でなくても、対応可能となります。確かに、一般的なマンションの大規模修繕工事であれば、法的には無資格者でも施工監理は可能ですが、マンションという多くの区分所有者の共有物の工事であり、ある程度の公益性もあるため、一級建築士等の建築士事務所に施工監理を委託することが一般的です。
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