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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

マンションの電気自動車充電器が「実質タダ」で設置できる?「2つの補助金」を使ったそのカラクリ 

更新日:2023年9月25日



 2023年2月17日の現代ビジネスオンラインの表題の記事を紹介します。


意外に進んでいないマンションへの充電設備の設置

 いま国や地方自治体は、脱炭素社会の実現に向けてマンションや戸建て住宅に補助金を交付して、電気自動車の充電器設置を増やすことに取り組んでいます。

 2020年10月に環境省が発表した「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組」により、日本は脱炭素社会に向けて、2050年までにCO2(二酸化炭素)を実質ゼロ排出にすることを目指すことになりました。これを踏まえ経済産業省が中心となり、関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。

 自動車・蓄電池産業の分野では、2035年までに「新車販売で電動車100%」を実現できるように包括的な措置が講じられることになりました。また、2030年までに「2040年の電動車の普及目標」を設定することになり、。それにより我が国のガソリン車は2030年半ば以降、生産されない可能性もあるといわれています。

 そこで冒頭のように、国や地方自治体が補助金を交付して、マンションや戸建て住宅への電気自動車の充電器設置を増やすことに力を入れているわけです。



 ところが、電気自動車の充電器設備は戸建て住宅に比べて、マンションなど集合住宅に設置されている割合が少ないことがわかってきました。


実際のEV購入者は戸建90%、マンション10%の割合

 どういうことなのでしょうか。背景として、経済産業省製造産業局 自動車課の平成29年の調査では、電気自動車試乗希望者の割合は戸建て住宅60%、集合住宅40%と住宅数とほぼ相関しているのに対し、実際のEV購入者は戸建て90%、集合住宅10%と大きな開きがあることが挙げられます。

その差を埋めるため、新築のマンションの場合には、最初から充電設備が設置されている場合が最近では多くなっていますし、既存のマンションにおいてもEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)に対応した充電設備を設置したマンションや設置を検討するマンションは増えています。

 充電設備の設置を促すため、国が高圧受電設備・設置工事費に対する補助もしています。2022年では、金額に上限はあるものの、国からの補助率は50%に上っています。 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/cev/cevr3/cevinfrastructure.html

 この補助には金額の上限がありますが、国と同様に地方自治体の補助も加わるので、管理組合の負担が少なく、設置しやすいものになっています。


東京都なら「消費税のみ」で設置することが可能?

ちなみに、工事補助額は工事項目ごとに補助上限額があり、審査の上決定されますが、東京都の補助率は50%なので、東京都補助50%、国からの補助50%で合わせて100%とすることもでき、東京都内のマンションの場合には原則、消費税だけを管理組合が負担するだけで設置ができることになります。

ところで電気自動車の充電器設備は、普通充電器と急速充電器があります。マンションの管理組合に充電器の設置を提案すると、ほとんどのマンションでは、急速充電器を希望されますが、急速充電器の設置は電気契約が「高圧受電契約」になる場合が多く、イニシャルコストやランニングコトストが高くなり、補助金だけで賄うことができなくなるので一般のマンションでは普通充電器の設置がほとんどです。

加えて、急速充電器は、100%の満充電ができないことや、車種によっては対応できないことがあるといわれていて、注意が必要です。 https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/review2017/html/h29_s6.pdf


なぜマンションへの充電器設置が遅れているのか

 いま国や地方自治体は、脱炭素社会の実現に向けてマンションや戸建て住宅に補助金を交付して、電気自動車の充電器設置を増やすことに取り組んでいます。ところが、戸建て住宅に比べて、マンションなど集合住宅に設置している割合が少ないことがわかってきました。

 なぜ、マンションの充電器設置が遅れているのでしょうか。

 それを体感いただくために、先日私が陪席したあるマンションの充電器設備導入について、臨時総会での理事と組合員の質疑応答をご紹介します。



質問:当マンションに電気自動車に乗っている居住者は一人もいないのになぜ設置し なければならないのか。

回答:充電器の設備が無いので電気自動車に乗っている居住者がいないのだ。充電器設備を導入すれば電気自動車を購入する居住者が増えるはずだ。

質問:充電設備は、これからまだ高性能の最新の機種が発売されるかもしれない、それまで待ったらどうか。

回答:工事業者に確認したところ、充電器設備は難しい構造の機械ではないのでこれ以上新しい性能があるものは出ないだろうといわれている。将来、補助金制度がなくなってしまう懸念もある。

質問:一部の電気自動車を購入する居住者だけの利便性だけで、他の多くの組合員にメリットがないだろう。

回答:このマンションに、充電器の設備があるということが、資産価値の向上にもつながり組合のメリットになる。

質問:設置される充電器は普通充電器なので満タンになるまで、8~9時間もかかるので不便ではないのか。

回答:一般的には、空っぽの状態で充電する人はほとんどいない、1/3位減ったところで充電する場合が多く、3~4時間位の利用が多い。

質問:当マンションの居住者以外に充電設備を利用させて、使用料を徴収して管理組合の収益に出来ないのか。

回答:国や地方自治体の補助金で設置するので、収益事業は行うことはできない。


 以上のように、マンションは「住人十色」、色々な考えの人が多く、補助金で管理組合の支出が軽減される条件であっても反対意見も多く、満場一致で採決されることはあまりないことも事実です。


マンションに充電器設置を行う手続き上の難しさ

 まず、EV車の購入を検討しているマンション居住者が、充電器の設置を理事会に提案して、理事会がまずはマンションで利用を希望している人がどのくらいいるのか、アンケート調査することから始まります。

 アンケート結果をもとに判断して、理事会で設置することの合意が取れれば、今度は設置場所の選定、工事業者の選定を行うことになります。その確認が終わって予算計上と、充電器の設置は「共用部分の変更」にあたるので、総会に上程して合意形成を諮るなど、設置までの手続きに時間がかかることになるのです。

 また、使用料の徴収や使用するにあたって細かいルール(使用細則)を策定して総会決議得なければなりません。

 このように、手続きや決めねばならない作業が多い中で、そのうちに理事の任期が過ぎて次の役員に詳しい引継ぎもできないままフェイドアウトしてしまうというケースが多く、マンションへの充電器設置が遅れている原因になっていると考えられます。


課題だった「使用料徴収問題」は解決!

 さらにまた、マンションの場合には充電器使用料を利用者から徴収しなければならないので、その徴収方法も問題になります。

 結論から言うと充電の際の電気の使用量によって課金しなければなりません。最近は、管理会社と管理委託契約を結ぶ際、基本的に「マンション内での現金の受け取りや管理をしない」ことを条件にしていることがほとんどなので、管理員に使用料の取り扱いをお願いすることができなくなり、足枷が生じることになります。

 管理費と一緒に引き落とすにも利用料金が確認できなければそれもできません。  さらに、居住者や近隣住戸の人が無断で充電器を操作して電気を不正に充電することや、子供のいたずらを防止しなければなりません。

 以上のように課金の問題や不正使用の対策が必要で、導入を躊躇するマンションも多かったのですが、最近では、スマホのアプリで充電器を予約して利用時間に応じて金額を計算、利用料金を利用者のクレジットカードで決済するシステムを開発した充電器設置業者が登場し、この懸案事項を一気に解決しました。

 また、このような業者は補助金の申請手続きまで行ってくれるので、管理会社も管理組合もラクラクで最近はこのようなシステムで運用しているマンションが増えてきました。

 このような取り組みを通して、たとえば災害時にマンションが停電になった時に、電気自動車に「給電器」という装置を使えば、投光器やスマホの充電などに使う100ボルトの電気に変換できることから、いざというときのために電気自動車の充電器を設置して居住者に電気自動車の購入を促す取り組みをしているマンションもあります。


常に情報のアップデートが必要

 以上のように、解決されつつある課題もありますが、基本的にはやはりまだ、マンションへの充電器設置には全体として腰が重いというのが現状のようです。

 それは、街中に走っているのはまだガソリン車が多くガソリン車が十数年後に発売されなくなるという実感がないからでしょうか。それとも、自分は電気自動車を持っていないから関係ないという気持ちなのでしょうか。

 いずれにしても、2035年には我が国の電気自動車の新車の販売は100%を目指しているので、将来を見据えた管理組合運営を考えればマンション全体の問題として考えるべき大きな問題です。

 最近では、契約条件で多くの縛りはありますが、無料で充電器を設置する業者もあります。業者選定は、条件など契約内容などを慎重に確認してください。今後、電気自動車や充電器の性能、設置業者の新しいサービスなど大きく変化することも予測されています。マンション管理に意識を高く持って常に最新の情報を更新していただければと思います。

 地方自治体によっては、条例で新築マンションには必ず電気自動車の充電器を設置することを義務づけるという検討をしている地方自治体もあるそうです。時代遅れにならないようにグレードアップも大切ですが、それにはマンションの管理組合運営は丁寧に行うことが求められます。

 このような共用部分の変更は、いきなり総会に諮るのでなく事前にアンケート調査を実施したり、説明を何回も行うなど丁寧な管理組合運営が求められます。  皆様のマンションが地域で一番住みやすいマンションになりますように。」


 記事にもあるように、電気自動車の普及自体に疑問を持っておられる方や、車を持っていない方、駐車場を利用していない方にとっては、わざわざ修繕積立金を使って、電気自動車用の充電設備を付けることへの反対も考えらえます。

 宅配ロッカーのないマンションへの、宅配ロッカー設置と同じような感じです。しかし、新築マンションでは宅配ロッカーも電気自動車用充電設備の設置も、もはや当たり前になっています。ただし、利用する人と利用しない人の不公平感もあるので、電気自動車充電設備の駐車場代は他の駐車場よりも少し高く設定して、設置費用の回収に努める等、設置利用については、ある程度の受益者負担も考える必要があるのかもしれません。


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