マンションはエレベータもあり、また室内には階段もなく、高齢者には優しい住まいです。高齢化で車の運転も出来なくなってきてから、交通の便の良い街中や、病院の近くのマンションには、一戸建てから転居してくる人もいます。また、マンションの高経年化に伴い、入居者の高齢化も急速に進んでいます。
このような背景の中、管理組合にとっても、マンションの高齢者対策は避けて通れない重要なテーマです。
建物・設備改修での高齢者対応
① 玄関の階段部分や駐車場からの出入り口にスロープを設置
まずはバリアフリー対応です。段差の解消は車椅子だけでなく、引越し等の大型荷物の運搬や、バギーカーの出入りも楽になります。エントランス出入口からエレベーター乗場、各玄関までの間に、車椅子で通れない段差がないか確認しましょう。
② 階段に手すりに設置
階段部分には手すりを設置します。最近の手すりは樹脂製でずっと繋がった、切れ目のない製品もあります。
③ 階段部分の色変え
段差部分のつまずき事故を防ぐ目的で、階段の段差部分はあえて色変えを行います。
④ エレベーターの高齢化対応
車椅子でも操作しやすいように、スイッチの位置を低くしたり、カゴ内正面に鏡を設置して、振り返らなくても、車椅子のまま出入りが出来るようにします。スイッチや操作盤の位置を低くすることで、小さな子供も操作しやすくなります。
⑤ 引戸の採用
出入り口のドアを開き戸から引戸に変更することで、車椅子でも利用しやすくなります。
運営サービスによる高齢化対応
① サロン会の運営
引きこもりがちの高齢者も気軽に参加できる場として、サロンを集会室等で定期的に開催します。お茶会だけでなく、趣味の会、体操教室、カラオケ大会、講演会、展覧会等、色々な趣向で開催すればより活性化するでしょう。サロンの運営主体は理事会の下部組織である委員会や自治会、老人会、住民有志等が行います。高齢者に対しては、直接訪問するなどして、顔見知りになりながら、根気よく誘う等が必要です。
② 高齢者の見守り
一人暮らしの高齢者や介護を抱える高齢夫婦等に定期的に、声掛け、訪問して、孤独死や認知症、介護孤立を防ぎます。地区の民生委員や訪問介護事業者との連携も重要です。定期的な声掛けは、管理員さんに依頼してもいいでしょう。
③ 助け合いサービス
ゴミ出し、家具の移動、電球交換等、高齢者の困っていることを、管理組合としてサポートする体制も必要です。管理会社や自治体とも連携し、場合によっては買い物代行やコミュニティタクシーの運行等も行なってもらえる会社等との連携も有効です。
まとめ
高齢者対応の進んだマンションは、マンションの魅力アップにも繋がり、資産価値の向上にも役立ちます。また高齢者に優しい施設は、子供を含め高齢者以外のすべての人々にとっても優しいユニバーサルデザインマンションとなります。「子ども叱るないつか来た道、年寄り笑うないつか行く道」という言葉もあります。高齢者に優しいマンションは、いつか自分も高齢化したときに、快適な住まいになるということを肝に銘じて、真剣に取り組むべきテーマだと思います。
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