鉄筋コンクリートのマンションの構造としてはラーメン構造と壁式構造の2種類が一般的です。
ラーメン構造とは柱と壁で枠組みをつくり、その構造体の上に床や壁を張って建物をつくる構造です。ラーメン構造を採用すると、広い空間を作ることが可能で、マンションの場合は、住戸の中に余分な柱等が発生せず、後々のリフォーム工事がしやすくなるメリットがあります。また、建物の高層化にも対応できる構造形式です。
一方壁式構造は、5階程度までの低層マンションで採用される工法で柱や梁の代わりに耐力壁で建物をささえる工法です。耐震性が高く、また梁も室内に出ることがないので、各部屋はすっきりとしますが、住戸内の耐力壁は取り除くことが出来ず、後々のリフォーム工事はしにくい構造形式です。
高層のタワーマンションは別にして一般の分譲マンションは、柱梁によるラーメン構造と耐力壁を組み合わせた工法で建てられています。
バルコニーや開放廊下に面した部分は玄関ドアや窓等の開口部があるためにラーメン構造となっており、各住戸の間の界壁は耐力壁となって、垂直力と水平力を負担しています。
それでは地震の横揺れに強い方向と弱い方向とは、どのような状況でしょうか。マンションの間取り図を見た時に、一般的にはバルコニーが図面の下側に書かれていると思いますが、その状態で考えて左右の揺れには弱く、上下の揺れには強いのが、一般的なマンションの特徴です。上下方向には耐力壁があるため、変形も少なく地震時にも強いですが、左右方向は地震に耐えれても変形力が大きく、壁に亀裂が走ったり、玄関ドアが変形して開かなくなったりすることもあります。
マンションが大型で何棟かに分かれているときに、南向きの住棟と、西向き東向きの住棟では、地震の揺れ方向によって、建物の被害に差が出ることがあります。地震の横揺れが東西方向の場合には、南棟は被害が甚大になりますが、西棟・東棟は耐力壁のおかげで軽微な被害になります。
ただし実際の地震は、敷地に対して水平や垂直に揺れるわけではありません。斜め方向から揺れたり、垂直に揺れたりとさまざまな揺れ方をします。阪神大震災の調査で神戸に行ったときに感じたのは、周囲は何の被害もないのに、帯状にある一帯だけの被害が突出しているエリアが複数あったことです。活断層の存在や、地盤の特性等で、地震の被害も大きく変わるものだとつくづく感じました。
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