
2022年3月15日のスマートフラッシュの表題の記事を紹介します。
「「東京五輪後に首都圏の不動産価格は暴落する」
こんな臆測が長くマスコミを賑わせていたが、閉幕から半年を経てもなおマンション価格は高騰が続く。不動産経済研究所は2月24日、2021年に全国で販売された新築マンションの平均価格が5115万円と、5年連続で過去最高を更新したと発表。そのうち、首都圏で売り出された新築マンションの平均価格は6260万円と、バブル期の1990年を超えた。いずれも、1973年の調査開始以来の最高値だ。
「1964年(昭和39年)の東京五輪後の日本経済は、『昭和40年不況』と呼ばれました。高度経済成長期のなか、五輪に備えて首都高速やモノレール建設などの大型投資をどんどんやった反動が翌年に来たわけです。でも、今の日本は成熟国で経済のパイが大きいので、五輪開催のための投資程度で、その後の景気が大きく動くことはありません」(不動産コンサルタント・さくら事務所会長の長嶋修氏)
さらに、不動産業界には「コロナ暴落」説も流布したが、現実は違った。
「価格ばかりではありません。発売月の契約率は6年ぶりに7割を超え、人気物件はすぐに完売する状態です。発売戸数も増えています。去年1年間の首都圏新築マンションの発売戸数は3万3636戸ですが、これは、コロナ前の2019年よりも多い水準です。背景には、在宅勤務で家にいる時間が増え、いい部屋に住みたいという要望が高まったということもあるでしょう」(住宅評論家・櫻井幸雄氏)
現在、ロシアによるウクライナ侵攻が世界経済を揺るがしているが、マンション価格は今後も高止まりが続くと櫻井氏は予測する。
「紛争の成り行き次第では、不安心理からマンションの買い手が減り、価格が下がる可能性もありますが、そうなればデベロッパー側が売り控えるわけで、目に見えた値下がりは起きないでしょう」
■決定的要因は超低金利
それにしても、ここまで高騰している理由はなんなのか。経済アナリストの森永康平氏が分析する。
「ひとつは、市街地の再開発が一巡して広い建設用地の出物が少なくなったこと。セメントや鉄板などの原材料価格が値上がりして、建設コストがかさむ面もあります。もうひとつ、コロナ禍で建設労働者が仕事に出てこれず、開発にブレーキがかかった点も挙げられます」
そして、なにより異次元の金融緩和による超低金利が、マンション価格高騰の決定的な要因だと、長嶋氏は言う。
「今、変動金利の住宅ローンでいちばん安い『auじぶん銀行』は年利0.289%です。30年ローンにすれば、1億円を借りても毎月の返済は元利合わせて25万円くらいですむ。バブル経済下では、住宅ローン金利が年7〜8%でしたから、1億円を借りれば毎月の返済は60万円を超えました。結局、購入の決め手は超低金利なんです」
現在、都心部はいっそうの高値がついている。
「中央、千代田、港、新宿、渋谷、目黒、品川の都心7区では、2013年と比較してマンション価格は約2倍になっています。それに対して神奈川、埼玉、千葉は1.4〜1.5倍くらいの値上がりです。神奈川などでも駅前や利便性の高いところは、都心並みに上がっている物件もありますが、郊外に行くほど上昇率はマイルドです。キーワードは『都心』『駅前・駅近』『大規模』『タワー』。1990年代のバブル経済下では、ほぼ全国で上昇しましたが、現在は “局地的なバブル” といえます」(住宅ジャーナリスト・榊淳司氏)
さらに特筆すべきは、1億円を超える「億ション」の販売戸数が2760戸と、前年の1.5倍に急増したことだ。いったい誰が買っているのか。
「株で大儲けした人が、資金の一部を不動産投資に回しています。投資家のほか、値上がりを期待する富裕層や中国人、欧米人などが億超え物件でも買っています。東京のマンション価格は、欧米や上海などに比べると割安なんです。加えて、世帯年収が1200万〜1500万円の共働きの『パワーカップル』が積極的に買っている。彼らは1億円の物件は無理でも、7000万〜8000万円の湾岸のマンションなどを買っています」(櫻井氏)
■高いときに買うな、若手は賃貸で
しかし、高値のマンションは普通のサラリーマンには縁遠い話。「今は買うな」と主張するのは榊氏だ。
「サラリーマンの平均年収を450万円とすると、首都圏の平均価格6260万円の物件は年収の14倍になる計算です。ローン返済の安全圏は年収の5倍といわれているので、普通のサラリーマンは買えない金額です。しかも、サラリーマンの所得は増えるどころか減る一方。消費税や各種の税金、社会保険料などは上がっているので可処分所得は大幅に縮小しています。
マンション価格はそろそろ天井に近づいていますが、すぐには下がらず、2〜3年かけて徐々に下がっていくでしょう。郊外なら5年後には、今の半額になる可能性もあります。人口が減少する日本では、遅かれ早かれ不動産価格も下落する。30代などの若手は、賃貸で我慢したほうがいい」
森永氏も同調する。
「4月からの値上げを発表した企業が多いように、原材料価格の高騰はこれからもマンション価格に反映されるでしょう。わざわざ今年買う必要はありません。ただ、コロナ禍による物価高や供給制約は徐々に解消されていくので、そのタイミングで購入を検討するのはありだと思います」
目先のバブルに惑わされず、じっくり値下がりを待つべきだ。」
ネットでも今後マンションは値下がりするという意見と、まだまだ値上がりするという正反対の意見が出ています。値上がりは、鉄筋や木材等の資材の高騰により、まだまだ建築費が上がることと、世界的に見た場合の日本の不動産の割安感を根拠に、値下がり派は、年収との乖離から、買いたくても買えない層が増えてきていることと金利上昇により月々の返済額が上がることを理由にしています。高松でも3LDKのファミリーマンションの価格が以前は2500万程度だったのが3000万程度と、年収の5倍を超えるようになり、売れ行きに陰りが見られます。
ウクライナ情勢も含め、今後どのように市場が動くのかは、誰もわかりません。個人的には、日本もインフレ局面になってきており、日銀がゼロ金利政策を止めた時が、マンション販売局面の転換期かと思いますが、政府の景気浮揚対策の目玉は、住宅施策であり、どちらに転ぶのかは全く分からない状況です。
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