2021年3月4日の朝日新聞デジタルに表題の記事がありましたので、紹介します。
「マンションの大規模修繕は12年ごとが一般的だが、最長18年ごとで済む修繕サービスが普及し始めた。安全を保ちつつ回数を減らせれば、住民が負担する月々の修繕積立金の負担を軽くすることが可能という。
大規模な修繕は、足場を組んで防水工事や軀体(くたい)の補修、塗装などを行う。不動産管理会社の東急コミュニティーはこのほど、仕様や工法などを工夫することで、最長18年に1回で済む修繕サービスを発表した。マンションの建て替えを判断する目安は、築60年。この間に行う大規模な修繕工事を4回から3回に減らせるという。新築だけでなく既存のマンションでも対応できる。まずは首都圏で管理するマンションで始め、全国に広げていく計画だ。
「最長18年」のサービスは、同業の野村不動産パートナーズが先立つ2017年に始めている。首都圏の新築分譲では、その8~9割に採用している。
不動産コンサルティングを行う「さくら事務所」に所属するマンション管理コンサルタント、土屋輝之さんによると、周期を延ばすことは技術的にはそれ以前から可能だったが、「12年」を常識とする業界の慣習が根強く、採用がなかなか進まなかった。しかし、大規模修繕の工事コストが14年ごろから跳ね上がった。積み立てられた修繕の費用が十分でない例も目立ち始め、対応策として「最長18年」への注目が集まるようになった。
土屋さんによると、築60年までの複数の大規模修繕の総費用は14%ほど減らせるケースが多い。その数字を総戸数100戸のマンションに当てはめると、住民の修繕積立金の負担は60年間で1戸あたり220万~250万円程度の軽減になるという。
「修繕の費用は削減できるが、18年間ほったらかしで良いわけではない。こまめなメンテナンスが資産価値の維持という点で重要なことは変わらない」。土屋さんは、そうも話す。」
感想
私もかねてから12年周期の大規模修繕工事は短いと思っていました。実際に築12年のマンションを見に行っても、まだ大規模修繕工事は実施しなくてもいいのではないか?と思ってしまいます。特に屋上防水等を、防水保障が切れるからと、大規模修繕工事のたびに全面やり替えするのは、非常にもったいないです。
しかし、国交省の「大規模修繕作成計画ガイドライン」では、大規模修繕工事の周期は12年毎と定められており、ほとんどのマンションの長期修繕計画では12年毎に大規模修繕工事が実施される計画になっています。また、タイル張りの建物の場合、特殊建築物定期調査の「全面打診調査」により、10年に1度(2年間の猶予あり)は外壁の落下して事故の危険のある部分のタイルの浮きをすべて調べなければならないとされています。調査のためには足場をかけなければいけないので、その点検に併せて、12年周期で大規模修繕工事を行っているのが現状です。
現状は大規模修繕工事を12年で計画していても、15年目前後で工事を行っているのがほとんどだと思います。私の住んでいるマンションは18年目に大規模修繕工事を実施しましたが、吹付塗装部分の劣化・色落ち・チョ-キング現象が酷く、もう少し早くやったほうが良かったと思ったくらいです。
品確法の保証期限の切れる築10年前に、タイルの打診調査は実施し、その他不具合が少ないのであれば、築15年を目途に大規模修繕を実施するのが、今私の考えるベストな周期です。また長期修繕計画については、2回の大規模修繕が含まれる40年周期で作るのが良いと思います。
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