2013年9月11日付けで国土交通省は、「マンション標準管理委託契約書」を改定しました。「担い手確保・働き方改革、居住者の高齢化・感染症のまん延等、近年のマンション管理業を取り巻く環境の変化を踏まえ、「マンション標準管理委託契約書」及び「マンション標準管理委託契約書コメント」を改訂しましたので、公表します。」 とあります。
主な改定は以下の3点です。
○書面の電子化及びIT総会・理事会等DXへの対応
・書面の電子化やITを活用した説明等を可能とする規定等の整備
・理事会・総会をWEB会議で開催する場合の機器の調達、貸与及び設置に関する業務範囲や費用負担の明確化
○担い手確保・働き方改革に関する対応
(カスタマーハラスメント、管理員・清掃員の休暇取得等)
・カスタマーハラスメントへの対応に関する規定等の整備
・管理員・清掃員の計画的な休暇、やむを得ず勤務できない場合の休暇、勤務時間外の対応の明確化
○マンション管理業の事業環境の変化(居住者の高齢化、感染症のまん延等)への対応
・マンション内で、感染症の流行により組合員等の共同生活に影響を及ぼすおそれがある場合や、組合員等に認知症の兆候 がみられ、管理事務の適正な遂行等に影響を及ぼすおそれがあると認められる場合等に、協議により相手方への通知事項 の対象としうることや、通知を受けた際の対応をコメントに記載
・孤立死(孤独死)等、専有部分における事件・事故の際の対応についてコメントに記載
〇その他
・(逗子のマンション法面崩落事案を踏まえ)管理業者の受託する管理業務の範囲が明確に規定されるよう、契約締結に際 し、その内容を双方が明示的に確認すべきことをコメントに記載
・個人情報保護等に関する規定の充実
・宅地建物取引業者等への提供・開示事項の拡充(長期修繕計画等の写しの提供、点検・検査・調査の有無、管理員業務や 清掃の内容等の開示)
今回の改正で私が特に重要だと思ったのは、カスタマーハラスメントの対応と管理員の年間5日間の有給取得です。
特にカスタマーハラスメントにはコメントで「いわゆるカスタマーハラスメントは、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該 クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・ 態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境 が害されるもの」と定義されており(「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」 (厚生労働省))、これは第1項第4号の「管理事務の適正な遂行に著しく有害な行 為」に該当し、組合員等が、管理業者の使用人等に対し、本契約に定めのない行為や 法令、管理規約、使用細則又は総会決 議等(以下「法令等」という。)に違反する行為を強要すること、侮辱や人格を否定する発言をすること、文書の掲示や投函、インターネットへの投稿等による誹謗中傷を行うこと、執拗なつきまといや長時間の拘束を行うこと、執拗な架電、文書等による連絡を行うこと、緊急でないにもかかわらず 休日や深夜に呼び出しを行うことなどが含まれる。なお、管理組合の役員も管理組合 の組合員であるため、当然に本条の「組合員等」に含まれることに留意すること。また、カスタマーハラスメントが発生した場合又は疑われる場合には、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を参考とし、企業として毅然と対応すること。」と記載されています。
会社員時代にも、入居者の中にいるモンスタークレーマーから、休日・夜間かかわらず、電話でマンションの自宅まで呼びつけられ、何時間も叱責され、退職したフロントマンの話は良く聞きました。度をすぎた要求に対しては、企業としても社員を守るために、毅然とした態度をとることが重要です。
また管理員さんの有給取得についても、相談会での相談も増えてきています。相談があった際には、管理員さんも労働者なので当然休む権利はあります。休む管理員さんを責めるのではなく、管理員さんが休む日には、管理会社に交代の管理員を派遣するように要請しましょう。と回答しています。
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