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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

“マンション第三者管理”方式はマンション管理の切り札となるか~時事解説

更新日:3月18日



 2024年1月6日のLIFUL HOME,S PRESSの表題の記事を紹介します。


コロナ禍の3年間で第三者委託が徐々に拡大 マンション老朽化&高齢化にも対応

 管理組合総会は多くのマンションで毎年1回開催される。マンションは管理状況によっては住み心地や資産価値に大きく影響する

 ここ数年、マンション管理業界でよく耳にするようになったマンション第三者管理方式。これは、マンション管理の担い手不足を解消する目的で、国交省が2011年に “居住している区分所有者に限る”としていたマンション管理組合の理事の要件を撤廃したことに端を発するが、当時は居住している区分所有者が主体的にマンション管理に取組むべきだし、そもそも第三者にマンション管理について責任が負えるのか(負わせて良いのか)、など批判する声も依然として大きく、第三者に管理を委託するケースは例外的なものであった。それが、2016年の「マンション標準管理規約」の改正の際に、管理組合員以外の外部の専門家に管理組合の運営を委託する旨を明記した条文(第35条)が追加されたことで、第三者管理が解禁されることとなった。


 マンション管理の“憲法”とも言われる標準管理規約の改正が行われた要因としては、上記の通りマンション管理の担い手不足という、解決が困難な課題が横たわっているからだが、その背景には分譲マンションの老朽化および住民の高齢化という避けては通れない問題もある。分譲マンションは複数世代にわたって居住を継続するのではなく、子ども世代が成人・独立したのちに親世代がそのまま住み続けるため高齢化が進みやすく、また二次流通によって新たな住民が管理組合に参画することになっても、これまでのコミュニティに馴染めず、管理組合の役員として管理に進んで取組もうという例が減少しているという実態もあり、結果的にマンション管理の実際の運営体制が機能不全に陥るケースが増加している。さらに、管理は事実上管理会社に一任と考える組合員が少なくないことも一因となっているようだ。

 こういったマンション管理における負の側面を解消するために導入されたのがこの“第三者管理方式”なのだが、理事や監事など主要なポストを外部の専門家に委託する方法、理事会はこれまで通り居住する区分所有者で構成し、オブザーバーとして外部の専門家を起用する方法、またマンション管理組合の総会を事実上仕切るため外部の専門家に依頼する方法など、第三者である専門家にどのように依頼するのかも管理組合ごとに異なるから、その要望に沿って対応する専門家を管理組合とマッチングすることも現段階ではハードルが高いとされる。

 外部の専門家に依頼することで、管理の適正化、区分所有者の負担軽減、時代に即した適切な管理方式の導入などメリットは数多いが、外部の専門家の信頼性をどのように担保するのか、また利益相反行為を行なった際はどのように対処するのかなど課題も散見される。担い手不足が顕在化するなかで、この“第三者管理方式”はマンション管理の切り札となるのか、そのために解決するべき課題は何か、マンション管理に詳しい専門家に意見を聞く。


「理事会制度」は令和の時代でなくなる? ~ 應田治彦氏

應田治彦氏:足立区の500戸超えのマンションの理事会役員を1期からずっと15年目で現在管理組合法人の代表理事(副理事長)。理事長は孤独で辛いよねでSNS上でのつながりから始めた理事長同士の情報交換を目的としたフォーラム「RJC48(マンション管理組合理事長勉強会)」代表


 第三者管理では管理のプロが区分所有法上の管理者を務める。素人オーナーが手弁当で理事をやる日本の方式は、外国では実は少数派で、私は毎月理事会に出席していると言って韓国で驚かれたことがある。理事会を残して「雇われ理事長」を「管理会社以外」が務める制度も可能だが、新築マンションで最近普及が急速に進んでいるのは理事会はなくして、管理会社が管理者も兼ねる方式だ。

 「理事のなり手」問題では、誰も理事になりたがらない問題も顕在化している。東京23区内のマンション価格は新築・中古ともわずか10年で約2倍に上昇した。購入者は必然的に高所得となり、本体価格と比例関係で設定されがちな高い管理費負担でも受容するから、割にあわない理事をする負担はなくしてくれという要求は特に築浅の組合で強い。マンションは人の入れ替わりが少ないため住民の高齢化が急速に進む問題と併せ、理事会制度による管理は急速に困難になっている。  私が代表の理事長の会(RJC48)には築浅/タワマンの理事長の所属が多いが、活動が活発な理事長ほど理事会方式はサステナブルでないという危機感を感じている。理事会活動には属人的な能力や、時に生活を犠牲にするほどの長時間の理事会への関与が求められるが、善政は基本的に一代限りで、代替わりして良好な管理状態が継続できる仕組みはない。平成の時代に住み込み管理人がなくなっていったように、令和の間に理事会という制度そのものがなくなるのではないか。

 決定・執行・監査のすべてを管理会社が行う「管理会社=管理者」の方式では、組合員の意向や利益をどう適切に管理に反映するかは極めて重要な問題で、そのガイドライン策定を国交省の作業部会が検討中だ。今まで何が良い管理なのかを定量的に評価する基準はなかったが、マンション管理適正評価制度や管理計画認定制度など、管理格付けの動きが進んでいてる。いずれも30年といった長期にマンションの財政基盤(積立金等)が維持されることが高評価に必須の条件となっているのも第三者管理への追い風となる。認定あるいは評価制度の5つ星などをずっと維持するといった持続可能性は本来会社組織としてあたる管理会社に有利な上に、管理適正化法の下での一定の行政からの監督も期待しやすい。

 「管理会社と別の雇われ理事長」や「監事の外注化」が必須だという指摘を、特に今まで理事会制度で理事会サポートをしてきた管理士等から聞くことは多い。 法務・財務・修繕の全方面に士業級の知識をもった個人などめったにいないから、超人理事長の個人技から、プロの個人技にとって代わっただけでは属人的なままで、10万棟を超えるマンションのスラム化を防止することは困難であろう。持続可能性のある相手にしか管理者は任せられない。監事に印鑑を持たせては?とか監事に個別の工事の可否を判定させては?といった国交省の作業部会での議題を見て疑問に思う点である。


専門家等第三者管理者方式の信頼性について ~ 瀬下義浩氏

瀬下義浩:一般社団法人日本マンション管理士会連合会 会長。マンション管理総研 代表なども務める。2022年国交省「マンション政策研究会」委員、2022年マンション管理業協会 管理適正評価運営委員会 オブザーバーを歴任。2020年からはマンション管理センター評議委員を務める。主な著書に『依頼が殺到するマンション管理士の仕事術』(住宅新報社)など


 管理会社の管理者管理物件が増えていることを受けて、2022年10月31日より国土交通省が開催している「今後のマンション政策のあり方検討会」から発展して、2023年10月26日より「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ(WG)」を開催している。大手デベロッパーが新築物件で「役員の負担がない」管理会社による管理者管理方式物件の販売が急増しているだけでなく、既存物件においても管理会社の管理者管理方式に急激に移行させている管理会社があり、前述の検討会でも問題になっている。問題点としては、既存物件においては管理者報酬を取らずに移行して、監事を置いていないことから、管理会社もしくは系列グループ会社が日常修繕などすべて無条件で実施しているという状況だ。

 新築物件においては、通常、管理会社にて組合口座の通帳だけを管理しているが、管理会社の本社で管理者管理部門を作って口座の印鑑も保管しているのがほとんど。これは既存物件の場合も同じだ。マンション管理適正化法施行規則(財産の分別管理)第87条第4項では「管理業者は、修繕積立金等金銭の保管口座等の印鑑等を管理してはならない。(抜粋)」と規定されている。本規定は管理業者を規制するものであって管理者を規制するものではないとする意見もあるが、前提は管理業者であって、通帳・印鑑等を同時保管する状況は、社会通念上、明らかに無理のある理論と判断する。

 国交省のWGでは、このような問題をどのようにするかを討議している。確かに「役員のなり手不足」が問題起点となっていたが、新築においてはマンション価格の高騰で、共稼ぎのパワーカップルなどしか買えないという状況であり、とても管理組合の役員などはやっていられないという事情もある。

 私の方でも、管理会社管理者物件の監事を複数受けているが、管理運営の制御機能として的確に役割を果たしていると言える。組合口座印も預けており、日本マンション管理士会連合会の「管理組合損害補償金給付制度」を活用し、マンション管理士の横領・着服などの犯罪行為に対して、損害金を補償(限度3億円)される。これは日本で唯一の犯罪に対する補償制度だ。

 第三者管理者方式はこれからも増えていくと考えられているが、国交省のWGで重要とされるのが監事の存在だ。管理会社管理者物件では、基本的には組合員に監事をやってもらうこととし、組合員から監事が選任できない場合には、マンション管理士等の専門家を起用するべきと考える。


大手管理会社で対応分かれる第三者管理方式、新築マンションで購入者の評価高い ~ 伊集院悟氏

 新築分譲マンションで管理会社が管理者となる第三者管理方式を採用するケースが増えている。

 デベロッパー側からの要請でグループの管理会社が第三者管理方式で管理者となるケースと、管理会社側が新築マンションの管理を受託する際に同方式を提案するケースがある。デベロッパー側から要請するケースに関しては、新築分譲マンションの販売において、第三者管理方式が物件の魅力や訴求ポイントの1つになっていることが大きい。

 新築分譲マンションの販売現場で購入者に評価された点を聞くと、立地や交通アクセスの良さ、生活環境、価格と広さのバランスなどが必ず挙がってくるが、最近では第三者管理方式が入ってくることも多い。購入検討者は一般的にこの方式のことを知らないが、販売担当者が内容を説明すると、「面倒な管理組合の役員をやらなくて済むのならありがたい」と非常に評判が良いという。共働き世帯が増え、管理組合の活動に時間も労力もなかなか割けないという世帯が増えているなか、役員のなり手不足が大きな問題となっている。

 管理会社側の対応は大手の中でも、第三者管理方式に積極的な会社とそうではない会社に分かれる。積極的に展開する会社では、当初は中古マンションを中心に同方式の提案をしていたが、管理組合にとって現状を変えることはハードルが高く、新築マンションへの営業に切り替えたという。今では新築マンションの管理受託の約8割は同方式が採用されているというので、マンションが竣工する2、3年先には一気に同方式での管理件数が増えてくるのだろう。

 一方、第三者管理方式を行っていない大手管理会社のトップは「分譲マンションは所有者の資産ということを区分所有者にきちんと理解してもらい、管理組合が意思決定し管理会社がサポートするのが本来の形」と話し、「検討は慎重に進める必要がある」と語っていた。第三者管理方式で一番の課題となるのが、利益相反の問題だ。積極的に展開する管理会社では、修繕工事の見積もりなどは必ず複数取るほか、部署もしっかり分けるなど対応する。

 国土交通省は有識者らによる検討会で第三者管理方式のガイドライン作りを進めており、業務の執行状況をチェックする監事の設置を求める案などが出ているようだ。ある大手管理会社のトップは「まずは国交省のガイドラインを見てから検討する」としており、ガイドラインが整備され環境が整えば、一気に普及していく可能性が考えられる。」


 この記事にもある通り、2024年は第三者管理元年になるかもしれません。首都圏の億ションやタワーマンションでは分譲時から第三者管理が標準というマンションも増えてきており、ガイドラインが策定されれば、様子見をしていた管理会社も一気に第三者管理方式を採用してきそうな予感です。居住者が輪番制で理事を行うという組合は、もう過去の遺物という時代がくるのでしょうか?


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