今回はマンション管理士という職業のお話です。私が名刺をお渡しして、マンション管理士事務所という名前を見たときに、「具体的に、どのようなお仕事ですか?」と聞かれることが良くあります。
この資格は2001年に出来た「マンション管理適正化法」に定められた国家資格です。ウィキペディアには「マンション管理士は、専門知識をもってマンション管理組合の運営、大規模修繕等を含む建物構造上の技術的問題、その他マンションの維持・管理に関して、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者などの相談に応じ、適切な助言や指導、援助等のコンサルティング業務を行う。マンション管理のスペシャリストとして、主に管理組合の立場でマンション管理に関する様々な問題の解決をサポートする。」と書かれています。
管理組合の味方である専門家
重要なのは、管理組合の立場でアドバイスを行うことです。管理会社は管理委託契約に基づいて業務を遂行します。当然会社ですから利益も上げなければなりません。場面によっては、管理組合と利害がぶつかるケースも出てくることがあるかと思います。マンション管理士は、あくまでも管理組合側の視点を持った第三者の専門家として、マンション管理がスムーズに進むようにサポートします。
具体的な業務
具体的な仕事としては、理事会の運営をアドバイスしたり、長期修繕計画などの内容を見直したりするほか、大規模修繕工事のコンサルタントやマンションの設備の定期点検や設備改修の費用など工事費や施工内容の妥当性をチェックすることです。その他にも、最新の情報を反映した管理規約の改正をお手伝いしたり、管理委託契約見直しによる管理費の引き下げ交渉やリプレース(管理会社変更)のお手伝いをするケースもあります。
最近は、高齢化で理事のなり手のいないマンションやリゾートマンション等で、理事長代行(一般的には管理者代行・第三者管理業務という)業務を行うマンション管理士事務所もあります。第三者管理とは理事会の業務すべてをマンション管理士が行うということです。
管理組合とは顧問契約を結んだり、または個別の案件についてスポットでコンサルティング契約を結んで仕事をします。
香川県の状況
香川県には「香川県マンション管理士会」というマンション管理士の協会があり会員は現在8名です。まだまだ知名度も低く、マンション管理士を専業としている人も少数です。また、香川県、高松市等の行政との連携も取れておらず、老朽化マンションや管理不全になっているマンションの対応等、課題も多くある状況です。
マンション管理士の今後
マンション管理士の問題点は「名称独占」はあるが「業務独占」がないことです。マンション管理士の資格を持っていない人がマンション管理士という名称は使えませんが、マンション管理士以外の人が管理組合のコンサルタントを行うことは可能です。このため、得意分野とのダブル資格をもったマンション管理士事務所がそれぞれ適切なアドバイスを行うという傾向が今後強くなってくるように思います。
例えば「弁護士事務所+マンション管理士事務所」。この組み合わせであれば、法的アドバイスや訴訟まで幅広く対応できます。また「一級建築士事務所+マンション管理士事務所」であれば、大規模修繕工事を含めた建物ハードの維持修繕が得意なマンション管理士事務所としての役割が期待できます。
マンション管理士事務所が増えるに従い、それぞれの事務所がより得意分野に特化した事務所になっていくように思います。
もっとマンション管理士事務所が身近になり、マンションで困ったことがあれば、より気軽にマンション管理士に相談できるようになればと思います。
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