
2024年12月21日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。
「管理組合の運営を管理会社に委託する分譲マンションについて、国土交通省は20日、事業者が自社やグループ内の企業に清掃や修繕などの業務を発注する際、住民や所有者への事前説明を義務づける方針を示した。住民らが割高な費用負担を迫られる例があり、改善をめざす。
同日の有識者会議にとりまとめ案を示し、承認された。パブリックコメントを経て、来年の通常国会に提出する予定の改正マンション管理適正化法案に盛り込む。
役員のなり手がなく、理事会の役割を管理会社に委ねる「第三者管理方式」のマンションが増えている。住民の負担が減る一方、管理会社が清掃業務などを相場より高い金額で自社グループに発注し、住民がチェックできないケースも目立つ。
とりまとめ案では、「マンション管理の主体は住民や所有者から構成される管理組合であり、管理者の選任や業務の監督を適正に行うことができる環境整備が重要だ」と明記。その上で、管理会社が利益相反のおそれが高い行為を行おうとする際には住民らへの事前説明を義務づけるべきだ、とした。
第三者管理に対応する規定は現行法にない。国交省は6月、業務を監視する「監事」を管理組合に設置するよう管理指針を改定。より実効性を高めるため、法改正に踏み切る。
とりまとめ案では、マンションの適正管理についても検討した。管理水準の高いマンションの資産価値を評価するため、修繕積立金の額や修繕工事の履歴などを公表する仕組みづくりを検討すべきだとした。(益田暢子)
■他社から半額提示に動揺
神奈川県内にある大規模マンション。新築時から管理組合で住民らによる理事会をつくらず、管理会社が担う第三者管理方式だ。
この管理会社は、清掃やエレベーター点検といった保守業務などを自社に発注している。住民の80代男性が、清掃業務について別の総合管理会社に見積もりをとると、今の費用の半額だった。「住民のためたカネが、管理会社にむしり取られるのでは」と男性は不安を口にする。
法改正による事前説明の義務づけに対し、男性は「一歩前進」と言う。だが、「管理会社は情報提供に消極的で、どこまでしっかりチェックできるかは不透明」とも感じる。
第三者管理は広がっている。マンション管理業協会の調査では、第三者管理を受託する管理会社は今年113社あり、4年前の82社から増えた。
国交省が昨年2~3月に第三者管理を受託している管理会社45社に実施した調査では、45%が大規模修繕工事などを自社と関係する会社が「受注している場合がある」と答えた。
こうしたことから管理会社へのチェックを義務づけるなど、強制力のある制度を求める声が上がっていた。管理業界の関係者は、「一部で利益追求のため自社グループへの発注を繰り返している管理会社もあり、仕組みが不十分だと感じている」と明かす。(片田貴也)」
管理会社が外部管理者になる場合にどうしても問題になるのが、記事にあるような利益相反の問題です。今回の記事は、自社グループへの発注について書かれていますが、一般の企業に発注する場合にも、発注先の企業から紹介料をバックさせているケースは多くあります。この紹介料も、結局は管理組合のお金であり、利益相反は許されないことになります。もし紹介料が必要であるならば「下請け業者への正味の発注金額+管理会社が受け取る事務手数料」と明示して、管理組合から事前に了解を受けるようにあらためるべきだと思います。管理会社の紹介料ビジネスは、そろそろ終わりにするべきだと思います。
Comments