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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

マンション維持の「金食い虫」、エレベーター保守管理にご用心

更新日:2021年8月27日



 2018年5月23日のダイヤモンドオンラインの株式会社シーピーアイ代表取締役須藤桂一さんの表題のブログを紹介します。


エレベーターはマンションの“金食い虫”ネットには替え歌「談合3兄弟」も

 かつて「だんご3兄弟」という歌がはやったが、ネットにはこの問題を揶揄するかのような、「談合3兄弟」なる、その替え歌がある。いわく、

「事前調整 談合 談合 ルール違反だ 談合 談合 しかしやりたい 談合 談合 談合3兄弟 今回指名 T○ T○ 次に指名は H○ H○ それどころじゃない M○ M○ 談合3兄弟 だんごー」

 正確にいうと兄弟はあと2人、F○、O○を加えて5兄弟だ。これらの会社は、互いに他社のエレベーター保守はやらない。そして、なぜだかほぼ同じような料金で保守を請け負っている。


本当に妥当なのか検討したいメーカーによるエレベーターの保守管理

 多くの方がエレベーターの保守はメーカーが行うのが当然だとお考えのようだが、それは、エレベーター会社による宣伝努力のたまものだ。自動車で考えれば、メーカーでなければ安全な法定点検や保守はできないなんて誰も信じていないだろうが、エレベーターではなぜか、そう信じられているようだ。

 しかし、現実は自動車と同じだ。世の中には「独立系」といわれる保守会社が数百社存在する。以前は独立系の会社にメーカーが部品を供給しないとか、しても故意に納期を遅らせるといった嫌がらせが横行していた。

 そんな中、人命保護のために迅速なメンテナンスを要するケースで、部品が速やかに供給されないという事態が起こってしまい、裁判にまで発展してメーカー側が敗訴。さすがに独占、寡占を防ごうとする流れには逆らえず、部品供給に関する不利はなくなっている。つまり、あえて高い保守料金を払い続けてメーカーにおつきあいする必要は全くないのだ。

 しかしそれは、メーカーにとっては大きな既得権益の喪失につながることなので、少なくとも互いのシェアは奪い合うことはせず、保守費用は同じように高止まりしている。歩調を合わせてメーカーによるメンテナンスの安全性神話を強調してゆこうという“暗黙の了解”が存在するというのが現実だ。


独立系は危険というフェイクニュース、エレベーターは最も安全な“乗り物”

 時々起こるエレベーターの人身事故も彼らの主張に戦略的に取り入れられ、「人命に関わるエレベーターの保守はやっぱりメーカーでなくては」という空気を生み出しているが、それはやはり空気でしかなく事実ではない。

 実はエレベーターにおける人身事故のほとんどのケースは、本来人が乗るエレベーターではなく、荷物を乗せる「簡易エレベーター」で起こっている。それに人が乗り込んで事故になったものや、その保守点検中のエレベーターシャフトに点検員が落下したといったものだ。

 一般的なエレベーターでの人身事故は非常に珍しい。記憶に新しいところでは、2006年に東京都港区では高校生の、2012年には金沢市でホテル従業員の命が奪われるという重大事故があった。いずれもすでに日本から撤退したシンドラー社製のエレベーターで起こったもので、どちらのケースも、扉が開いたままでエレベーターが上昇しだして挟まれるというものだった。調査の結果、エレベーターの機械そのものの構造上の問題が原因だった。マンションのエレベーターは、年間数千人が被害者となる自動車事故などとは比較にならないほど安全なものなのだ。

 「エレベーターはメンテナンスを間違えれば人命に関わることもある」と言われると、人間心理としては不安になるのも当然だ。しかも、日本のエレベーターは建築基準法で、使用する材質、強度などが厳しく規定されていて、機械的、電気的な2重4系統の落下防止装置、安全装置が義務づけられている。

 設置に際しては、「確認申請」「工事完了検査」など工事の各段階で行政の検査を受ける制度も確立し、つまり、保守するのがメーカーであろうがなかろうが、そうそう事故が起こるような「やわ」なものではない。

 しかも、建築基準法は、エレベーターについて、年に1度の有資格者による法定点検を定めており、安全確保に不安はない。もちろん、だからといって保守点検を依頼する会社が「どこでもよく、安ければ安いほどいい」とは言えない現状はある。

 特に独立系保守会社は“玉石混交”で、明らかに実力不足と思われる会社もあるので注意したい。トラブルの際に「速やかに駆けつけられるか」、あるいは「遠隔監視でどのくらい対応できるのか」など、しっかりと保守の業務内容を確認して決めるべきだろう。

 メーカー系でも独立系の見積もりをぶつければ、価格を下げてくる場合があるので、管理組合として容認範囲にあるなら、メーカー系を拒む理由はない。


避けて通れないエレベーターリニューアル賢く乗り越えてマンションの資産価値を高める

 マンション管理組合にとってエレベーターは機械式駐車場の次に大きな「金食い虫」だ。しかも、機械式駐車場のように、予算が立たないので平置きにしましょうという選択肢はない。25~30年目には何らかの方法でリニューアルする必要のある装置なのだ。5階建てでも完全に入れ替え(全撤去または凖撤去)れば1000万円以上、主要部品交換(制御リニューアル)で済ます方法でも500万円以上はかかり、工期も全撤去または凖撤去なら数週間、制御リニューアルでも数日かかるが、避けては通れない工事なので、長期修繕計画の中にきちんと組み込んでおかなければならないものだ。

まずは、総会資料などから、エレベーターのリニューアルがどのように計画されているかを確かめてみよう。そして現在の修繕積立金の額と、年間の積立金収入、大規模修繕の時期と、エレベーターリニューアルの時期をみれば、十分な資金があるのか、積立金の値上げや一時金の拠出、あるいは借り入れの必要が生じるのかは想像がつく。


 問題なければ、計画通りに実施すればいいだけのことだが、そのような資金に恵まれたマンションはそう多くないというのが私の予想だ。それではどう対応したらいいのか?

 まずは自宅マンションのエレベーターの製造会社と保守会社を確認してみるといい。多くは製造メーカーがそのまま保守も引き受けているケースだと思われる。あなたが理事会のメンバーか理事長なら、管理会社抜きの場で理事会を開き意見を出し合ってみるといい。あなたが理事会の役員でないなら、一番親しい理事会メンバーに話してみることだ。

 同じ問題意識を持つ(管理会社の言いなりにならない)理事会メンバーがいれば、エレベーター保守会社の見直し、さらには、管理費・修繕積立金予算全体の見直しのために、管理会社の変更も視野に入れての対策が取れるはずだ。

 早めにこれらの対策を取って、積立金に余裕を持たせることができれば、大規模修繕工事とのタイミング調整や予算の振り分けをすることによって、この25~30年期を乗り越えることができるはずだ。

 しかし、もし理事会に聞く耳を持つ人が全くおらず、管理組合が管理会社の言いなりで、自分が口を出すこともできそうにないマンションなら、その時期を迎える前に売却を考えてもいいほど、深刻な問題であることは知っておいていただきたい。」


 この替え歌で歌われているのは、東芝エレベータ・三菱エレベータ・日立エレベータです。あとの2社はフジテックとオーチス(パナソニック)です。確かに、日本のエレベーター製造メーカーは、この5社しかなく、談合されると価格は下げようがありません。

 私が住んでいるマンションの他の棟でもエレベーターの交換工事があり、1棟は上記の中の1社が工事を請負ましたが、もう1棟は独立系のメーカーであるSECが工事を実施しました。また、私が組合顧問しているマンションはエレベーターの保守を、メーカーのフルメンテナンス契約ではなく、独立系メーカーのPOG契約で維持管理費を安く抑えています。


 管理組合も以前に比べて独立系のエレベータ会社への拒否反応も少なってきたように思います。

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