2023年1月30日の廣田信子さんの表題のブログを紹介します。
「管理計画認定第1号の板橋区の築48年のマンションが、約30年後には、築80年でマンションを解体することを前提に、マンションの解体費用もカバーできるように、マンションの「終活」を見据えた計画を総会で承認した。
という話について書きました。
このマンションが、旧耐震のマンションで耐震改修工事はしないことを前提に築80年と寿命を決めたということには、驚きました。しかし、その話を聞いて、私は、昨年1月に旭川市のセミナー時に聞いて感動した話が頭を過ぎりました。
その話、旭川市の築26年、60戸のマンション ロピア条通り管理組合の佐々木理事長の記事がマンション管理センター通信1月号に掲載されていて、とてもうれしかったです。
ロピア条通り管理組合は、理事5名、監事2名で、毎月の理事会出席率はほぼ100%。定期総会の出席率も90%以上と、組合運営に関心がある方が多いマンションです。
佐々木さんが理事長になられて3年後、2019年10月に自主管理に移行して経費の削減を図っています。
管理費は、約100円/平米・月
修繕積立金は、約200円/平米・月
駐車場使用料は5,000円/台・月
に抑えています。
一方、旭川市内には、おおよそ220棟の分譲マンションがあり、その1/3以上が築35年以上です。その中には、一度も大規模修繕工事を実施したことがないなど、管理不全マンションも出てきており、マンションを手放すこともできず、途方に暮れているという話も多く聞きます。
将来マンションの終末期に建替えや取り壊しの時期が到来し、管理組合は、大きな試練に立たされることが予想されるため、今からその準備をしておくことが現在入居している者の責任ではないかと考え、佐々木理事長は、理事会便りでこのことを皆さんに伝えました。
これから先の管理組合の在りようとして、「子育て世代」が安心して購入でき、また、自主管理の継続を目的として、現在の修繕積立金の中から毎月2,000円/戸を50年間にわたり、解体費用ととして積み立てていきたいと呼び掛けました。
解体費用の相場は、現在、1平米当たり2万円と言われています。延べ床面積5,576平米のマンションの解体だと、おおよそ、1億1千万円となります。
これに対する50年の積立金は、7,200万円、解体費用に及ばないものの原資として意味がある金額になります。
定期総会で、承認を得て、修繕積立金とは 別口座を設けて解体費用を積み立てることとしました。過去2年間、議論を重ねてきたことと、毎月広報してきたことで、反対意見はなく承認を受け役員一同、大いに意を強くしたと言います。
2021年に実施したアンケート調査では、「終の住まい」と考える入居者が7割近くを占め、マンションに愛着を持っています。50年後はどんな時代になるか想像もつきませんが、マンションが終末期を迎えた時は、管理組合が路頭に迷うことなく、整然と解体できることを願っています。
旭川市は、北海道第2の都市とはいえ、人口減が顕著な地方都市です。当マンションでは、経済的に建替えが難しいことから解体の準備を開始することを選択しました。
いつか解体を迎えるその時まで、できるだけ建物の長寿命化を図り、日常の設備点検を実施し、綿密な長期修繕計画を立てて、「100年住み続けられるマンション」を目指していきます。
道管連(北海道管理組合連合会)旭川支部で活動されている佐々木さんは、他の管理組合からの相談も受けています。でも、自分たちのマンションを何とかしようという管理組合は少ないと感じていることと思います。頑張って管理をしている築26年のマンションで、解体積立金を積み立てて、50年後の解体に備える。
50年後のマンションに思いをはせ、今から、その時に困らないように準備をして、100年住み続けられるマンションを目指す…それを区分所有者の賛成を得てなし遂げたマンションです。
その思いを感じて、胸が熱くなります。その思いが、区分所有者を動かしたのだと思います。」
築26年のマンションで、将来のマンション解体までのことを考えて、解体準備金を積み立てるという内容は驚きです。記事によると解体費用は60戸のマンションで1億1千万円。戸当たり185万円。解体の年数を前もって決めているのであれば、大規模修繕工事が1回少なくなるので、最後の15年間の修繕積立金は解体費用にあてることが出来ます。大規模修繕工事の費用がだいたい戸当たり120万円なので、ほぼ解体費用が賄えるようにも思えます。これからも、このようなマンションが増えてくるのではないでしょうか。
Comments