2022年6月16日のダイヤモンドオンラインの表題の記事を紹介します。
「物価が高騰している。コロナ禍でコンテナ船の輸送費が高騰したところに、ロシアのウクライナへの侵攻があり、さまざまなものが値上がりしている。円安もかなり進行したので、これから本格化するかもしれないインフレに対抗する手段を持ち合わせていないと、家計も法人もインフレ貧乏になりかねない。その方策の一つは、「最もインフレするもの」に資産を移すことである。詳しくお伝えしよう。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)
物価上昇と円安が続く日本さらなるインフレ懸念も
2012年、民主党政権からアベノミクスに移行する際の経済政策の最大の目的は「デフレ脱却」だった。このため、アベノミクスの3本の矢の一つは金融緩和だった。お金を多めに刷ることで物価を上げようというものだ。しかし、インフレターゲットの2%に届かずに10年近くが過ぎた。
そんな折、22年4月に消費者物価指数(総合)は2.5%となり、2%を初めて上回った。これが金融緩和によるものならば、金融は引き締められるのだが、原材料費などコストの上昇が原因で発生する「コストプッシュインフレ」なので、金融政策は現状維持となっている。
現在の先進国のインフレ率が8%前後であることから、各国の中央銀行は利上げでインフレ率を抑えようとしている。日本では金融政策を変えないことが明言されたために、海外との金利差から円安が進行した。円安は資源や農産物を輸入に頼る日本では、インフレの要因となるため、さらなるインフレが懸念されている。
歴史上、金融緩和は「資産インフレ」を起こす?
アベノミクス以降、日本の中で最も値上がりしたものの一つは不動産である。法人ではオフィス、個人では自宅ということになる。自宅の中でも、特にマンション価格は右肩上がりだった。なぜなら、金融緩和は金利の低下を促し、金融機関は積極的に担保の取れる不動産に金を貸し出すことになるからだ。
過去を調べれば、金融緩和が資産インフレを起こしていることに気づく。そこで、2013年に出版した拙著『マンションを今すぐ買いなさい』では、「2年後に25%上がる」と明記した。これは、過去の金融緩和で起こった資産インフレと同じ数字である。
マンションを早く買った人ほど「もうかった」といえるワケ
国土交通省は中古マンションの成約事例から不動産価格指数を発表している。東京都のマンション価格は、この9年で7割以上値上がりしている。金利が下がったことによって、2割程度価格が上がっても月の返済額は変わらない。東京では家賃が上がったこともあり、実質の値上がりはそれほどでもないが、早めに買っていた人ほど、資産インフレの波に乗ってもうかったことになる。
21年の首都圏のマンション平均価格は6260万円だった(不動産経済研究所調べ)。9年前の12年は4540万円で、新築マンションは38%も値上がりしている。しかし、一言で首都圏といっても、立地は悪化している。先ほどの不動産価格指数は指数というだけあって、立地を補正して「同じ立地だったら」という前提で計算されている。それだけではない。新築の専有面積も、9年間で70.4平方メートルから66.9平方メートルに約5%小さくなった。
つまり、この9年間で新築マンションの立地は悪くなり、面積は小さくなったわけだ。特にこの1年の悪化は目立つ。筆者が独自に作成している新築価格のインデックスは、昨年中古価格のインデックスに抜かれている。これは、中古のほうが新築より立地がいいことを意味する。
マンション価格の高騰で「この価格ではマンションは買えない」と言う人が増えた。そんな嘆きに関係なく、マンション価格は少なくともあと3年間は上がると筆者は考えている。現状の金融政策を維持すると明言している黒田日銀総裁の任期があと1年あり、その時点で仕入れた高値の土地は、その2年後の25年以降に供給されることになるからだ。年率8%の上昇が続くとすれば、25年の首都圏の新築マンション価格は7800万円になり、都区部の価格は9983万円、つまりざっと1億円になっている。
今はマンションが高いが…値下がりする要素は何一つない?
今が高いといっても、今のところ値下がりする要素は何一つない状況にある。資材価格は上がり、円安になり、ゼネコンの働き方改革で工期は延びている。不動産価格は需給バランスの影響をほとんど受けず、ローンが組めるかどうかで決まる。つまり、金融緩和により借り入れをしやすい状態が続くのであれば、価格は上がるのだ。自宅は今買えるものを買うしかない。買えるものというならば、面積を小さくしてでも買っておかないと、1年後はそれすらも買えなくなると思わないといけない。
首都圏の平均価格8000万円時代が到来したときには、供給戸数は2.5万戸と今の4分の3ほどに減少すると筆者は見ている。価格と供給戸数には逆相関の関係があり、これらを掛け合わせた市場取引規模は常にほぼ一定だからだ。こうして、新築は21世紀初頭の10万戸近く供給されていた時代の4分の1に減少する。
新築の供給減少はマンション全体の需給をひっ迫させる。不動産価格は需給の緩和で価格が下がることはあまりないが、ひっ迫では上がりやすい特徴がある。5年後には、今まで以上に価格が高値で安定しやすい状態になると考えたほうがいい。
個人だけでなく、法人も不動産という資産を持つ時代は既に到来している。会社の代表はインフレ対策、円安対策を考えていることだろうが、その際に不動産の所有は有効な手段だと気づいている人も多い。特に、事業承継の際に株価が高いことが問題になる方は、不動産で株価を下げるしか有効な手段がないことも知っているはずだ。
また、労働力不足で採用に苦しんでいる企業も多い。そこでも不動産を社宅活用することで雇用を確保している企業がある。社宅であれば市場家賃の2割以下の家賃負担にすることができるし、年収の代わりになる。不動産には、以下の3つの特徴がある。
(1)借り入れがしやすい (2)市場価値と相続時の価値が大きく異なる (3)利回りを生む
そこに資産価値の上昇が付いてくれば、最強のインフレ対策になるというものだ。個人も法人も、待ったなしの状況に当面変わりはないのではないだろうか。」
インフレ時には、お金の価値が下がり、物の価値が上がります。預貯金を銀行に預けておくよりも、土地や建物を買った方がインフレ時には有利と言われています。最近の首都圏のマンション市況はかつてのバブルの時期を思い出します。後から出てくるマンションの方が価格が高くなり、早く買わないと一生家は持てないとあせったのもでした。最近の円安も加わり、日本のマンションは世界から見ると割安です。ニューヨークではマンハッタンの家賃の中央値が月50万円と言っていました。しかし過去にバブルを経験した世代としては、この記事を信じて、早くマンションを買ったほうが良いとは、なかなか言いにくい状況です。
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