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執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

一戸建てとは勝手が違う トラブル続出「高齢で集合住宅デビュー」の難しさ

更新日:2023年8月25日



 2022年9月1日のマネーポストwebの表題の記事を紹介します。


「日本は世界屈指の長寿国だが、社会問題化しているのが高齢者の一人暮らしの増加。内閣府がまとめた「令和3年版高齢社会白書」によれば、2015年には65才以上の人口のうち、男性の13.3%、女性の21.1%が一人暮らしをしており、今後この数字はさらに上昇すると予測されている。

 高齢者の一人暮らしには、病気や怪我、認知症の進行、特殊詐欺などの犯罪被害、強い孤独感など、さまざまなリスクが潜む。健康な子供がいれば同居するのが理想的かもしれないが、それが叶わぬことは多いもの。一戸建ての実家から生活をダウンサイジングさせるべくマンションに引っ越すケースもあるが、居住環境の急な変化がトラブルを生むこともある。


 東京都S区に住むMさん(50代/女性)は、神奈川県の実家に住む70代の父親に、数年前にマンションに引っ越してもらった。実家で長らく一人暮らしをしていた父親は、リタイア後にすっかり無気力になり、家の中も散らかり放題に。見かねたMさんは、実家の近所にマンションを借り、そこに父を移ってもらったが、70代にして集合住宅デビューした父親の振る舞いに頭を抱えてしまったという。

「引っ越してしばらくして父の新居を訪ねた時のことです。冬だったのですが、父は『とにかく暖かい』とご満悦。ボロボロの実家はすきま風が酷く、冬は暖房をつけっぱなしにしてもブルブル震えていましたが、『マンションはエアコン1つで常夏だぞ!』と、大満足の様子でした。ただ、気になったのは室内のインテリア。壁に掛けられている時計、カレンダー、絵などは、全て釘に引っ掛けられています。賃貸の部屋なのに、父親は30か所以上、壁に釘を打っていたんです。

 帰る時、管理人の方に挨拶すると、『Mさんの娘さんですか。ちょっとよろしいですか?』と言われました。話を聞くと、父は管理人のことを“便利屋さん”か何かと勘違いしており、『部屋の電球を交換してくれ』『荷物が届くけど、出かけるから受け取っておいてくれ』『部屋の前に古新聞を置いたので、早く持っていってくれ』などと、雑用を頼みつけているのだそう。言葉は丁寧でしたが、“迷惑している”ということで、顔から火が出ました。

 慌てて部屋に戻り、父に注意すると、悪びれもせずに『高い管理費を払ってるんだぞ!』と言うではありませんか。我が父親ながら呆れ果てました」(Mさん)


 東京都S区に住むSさん(50代/男性)は、“実家があまりに広すぎる”という贅沢な理由で、父親にマンションに引っ越してもらった。神奈川県の片田舎にある実家は平屋の一戸建てで、今風に言えば6SLDKの大豪邸。父親はピンピンしているが、さすがに掃除は行き届かず、便利な駅前のマンションに引っ越したのだ。しかしSさんの父親は、集合住宅のしきたりを何も理解していなかった。

「物置き部屋が何部屋もあって、隣の家まで数十メートル離れている家で生まれ育った父親は、“騒音”という概念が理解できませんでした。テレビのボリュームは常に最大ですし、早朝や深夜でもお構いなしに大きな足音で歩き回る。壁には実家から持ってきた、1時間毎にボーン、ボーンと大きな音がする振り子時計が掛けてあり、それだけでも大変な近所迷惑です。目覚まし時計もバカみたいに大きな音がするものを使っています。

 他にも、深夜に洗濯機を回したり、風呂場で大声で歌を歌ったり……管理会社から何度も手紙が届きましたが、父親は『隣の部屋の音なんて全然聞こえないぞ?』と言うばかり。“隣の部屋の音が聞こえない=こちらの音も隣には聞こえていないはず”という理屈のようです。それ以外にも、夏場に上半身裸でエレベーターに乗ったり、ポストに行くのが面倒で郵便物がどんどん溜まり、心配して警察がやって来たりと、トラブルの連続。せっかく実家問題が片付いたと思ったのに、完全に頭痛のタネです」(Sさん)


実際に“出て行け”と言われた人も

 実際に“最後通告”を受け、追い出される寸前になったのは、東京A区に住むNさん(40代/男性)の父親だ。

「父親は、現役時代はアクティブな人でしたが、リタイア後は一気に交友関係が狭まり、ほぼ引きこもり状態に。母とは死別していて、近所付き合いとはまるで縁がなく、実家に執着もないようなので、生活のダウンサイジングを図ってマンションに引っ越しました。しかし、引っ越したぐらいでは生活スタイルは変わらず、朝から晩までテレビの前に座っているような状態でした。

 そのうちベランダに来る小鳥に気付き、エサをあげるようになりました。エサを撒けば鳥が来る、鳥が来ればエサをあげるという作業を繰り返すうちに、やって来る鳥の数はどんどん増え、当然ながらそれがマンションで問題に。美観を損ねますし、ベランダには鳥の糞が散乱していて、不衛生の極みです。しかし父は何度注意されてもエサ撒きを止めず、ついに“法的手段に訴える”と通告されました」(Nさん)

 結局、父親は心身ともに問題があったので、老人ホームに入ることになったのだとか。Nさんは、住み慣れた戸建てからマンションに引っ越しさせたのは、「完全に余計なお世話だった」と振り返る。

「駅から遠い実家より、駅近のマンションの方が便利だろうと思いましたが、歩く機会がめっきり減って、足腰が一気に弱まりました。それがテレビ漬けの生活を招いた気もします。実家のあたりは緑も多く、小鳥のさえずりが聞こえることもありました。実家なら鳥のエサやりなどいくらでも出来たはず。寂しさを紛らわせてくれるのが小鳥だけだったと思うと、申し訳なさも募ります。

 70代後半になって、半世紀以上住んだ家を追い出し、押し付けがましく“こっちの方が便利だから”とマンションに引っ越しさせたのは子供のエゴでしたし、終活ブームに乗っかって、父親の思い入れのある物をどんどん処分したことも後悔しかありません」(Nさん)

 時には、何もしないのが正解というケースもあるということ。老親の処遇で悩んでいる人は、色々な可能性を検討したほうが良いようだ。」


 この記事にもある通り、マンションは多くの人が集まって住まうために、「住まい方のルール」に従うことが必要です。長年、一戸建ての住宅に住んでいる方は、この「住まい方のルール」がわからずトラブルになることも少なくありません。「住まい方のルール」はマンションの管理規約の中の「使用細則」に書かれていますので、是非内容を確認しておきましょう。またデベロッパーによっては入居時に配布される「住まいのしおり」等に記載されているケースもあります。

 私が会社員時代に体験したクレームでは、上階の方のドスドスという足音が気になるというクレームがありました。歩くときにカカトから歩くと、振動となり下階への騒音クレームになります。上階の方は、ただ歩いているだけと思っても、下階の方に迷惑をかけている訳です。つま先からスリ足のように歩くか、スリッパやルームシューズのような室内履きを履けば軽減できます。マンションで育った私の子供たちは、このすり足で歩く歩き方を自然に身につけています。


 マンションで生活するためには、このようなちょっとした心遣いが必要です。


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