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不動産ブームに沸く英国の田舎町 在宅勤務も後押し

更新日:2021年8月25日



 2021年7月18日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。


コロナ禍にもかかわらず、世界の住宅価格が高騰している。未曽有の金融緩和であふれたマネーが、株や住宅などの資産に流れ込んでいるからだ。一方で、賃金の伸びは鈍く、人々が安心して住める家が手に入りにくい問題も各国で生じている。


 ハチミツ色と称される黄色がかったれんがの壁の家が並んでいた。庭に咲くバラが夏の日差しを受けて輝いている。ロンドンから西へ車を走らせ約2時間。コッツウォルズは、古い街並みと自然豊かな景観が同居する英国の田舎町だ。

 そんな町に近年、住みたい人が増え、住宅価格が急騰している。

 「市場に出したそばから売れていく。いまは在庫切れの状態ですよ」。大手不動産会社「サビルズ」の地域担当、セバスチャン・ヒップウッドさんは話す。地域の住宅の平均相場は65万ポンド(約1億円)だが、直近で出した300万ポンド(約4・5億円)の家には国内外から70件の問い合わせがあり、2週間で買い手が決まった。

 居間や客間はもちろん、寝室六つに五つの浴室、書斎や納屋を備えた豪邸は、小川が流れて魚釣りもできる広大な庭がつく。「この金額ならロンドンでも豪邸に住めるが、部屋数も庭の広さも比べものにならないだろう」とヒップウッドさんは話す。

 購入者はロンドンの金融街シティーに勤める40代男性。4人家族で、子育て環境も良いからと引っ越してくるという。

 後押しするのが在宅勤務だ。コロナ禍対応で英政府が原則化し、特に金融街では出社日数を絞る働き方が定着した。週1~2日ほどの出社なら、約2時間でロンドンに出られるコッツウォルズも「通勤圏内」になる。

 家が職場になり、都心から郊外の広い家へこぞって住み替える現象は「レース・フォー・スペース(空間をめぐる競争)」と言われる。田舎町の住宅人気はこの10年ほど徐々に高まっていたが、コロナ禍で一気に広がった。


 戦後最悪の不況に陥ったコロナ禍だが、2008年のリーマンショック時と違い、住宅価格は上昇を続ける。

 国際通貨基金(IMF)の調べでは、世界の住宅価格はこの20年で7割ほど伸びている。大手不動産調査会社「ナイトフランク」のオリバー・ナイト氏は「中央銀行の金融緩和で住宅ローンが借りやすくなった影響や、株高で得た利益を不動産投資に回す動きが背景にある」と指摘する。

 英国の場合、コロナ後の経済対策で、政府が住宅購入に伴う課税を一時停止したことも追い風になった。英国住宅金融組合「ネーションワイド」が発表した6月の住宅価格平均は年率13・4%増で、04年11月以来の伸び率だった。

 英国に「プロパティー・ラダー(不動産のハシゴ)」という言葉がある。住宅は「一生に一度の買い物」とせず、売り買いを繰り返し、結婚や子育てなど人生のステージごとに必要な場所や大きさの家に住み替えながら人生設計する考え方だ。住宅は値上がりし続けることが前提で、膨らんだ資産でステップアップできる環境が可能にさせると考えられてきた。


 だが、住宅価格が高くなるにつれ、ハシゴに手が届かない問題が起きている。特にしわ寄せがいくのが若者だ。

 ロンドンの自治体に勤めるジャック・ショーさん(28)は現在親元で暮らす。恋人と家を探しているが、「職場に近いロンドンの物件は高くて買えない」と話す。金融機関に勤める恋人と合わせた収入は年7万ポンド(約1050万円)ほどで、国民平均より高い。予算を約40万ポンド(約6千万円)と定めたが、通勤に片道1時間20分ほどの町でないと、結婚や子育てに適した家は見つかりそうにない。「貯蓄もしているが、住宅価格はそれより速いペースで上がる。早く買わないと本当に手が届かなくなる怖さがある」

 住宅問題に取り組むNPO「プライスド・アウト」は政府に供給増を訴えるが、なかなか上向かない。アンヤ・マーティン理事長は「政府は買う際の補助金など需要サイドに手を差し伸べる傾向があるが、住宅供給が足りていないことが問題の根幹だ」と話す。


ベルリン「上限」模索

 ドイツでも不動産価格の高騰は問題になっている。連邦統計局によると、住宅価格は今年1~3月期に前年同期比で9・4%上昇した。特に都市部の値上がりが顕著で、首都ベルリンの住宅価格や家賃は、08年比で2倍以上の水準だ。一部の市民からは「都市部に住めなくなる」と不満が渦巻く。

ベルリン市(州に相当)は20年2月、「家賃上限法」を施行。14年以降にできた物件を除き、19年6月時点にさかのぼって5年間、家賃の引き上げを禁じた。築年数に応じた家賃上限も設定。賃貸住宅に住む人が8割以上を占めるベルリンで、特に中低所得者を守る狙いだった。

 だが、連邦憲法裁は4月、この法律を無効と判断した。すでに全国的に家賃抑制を狙った法があり、州が独自の規制を課す権限はないとの理由だ。

 この判断理由とは別に、不動産業者らからは上限法に批判が多かった。行政が無理に価格を抑え込めば、投資意欲がそがれて住宅供給が増えず、問題解消につながらないとの見方だ。人口377万人のベルリンでは年約4万人ペースで人口が増え、そもそも住宅供給が追いついていない。

ifo経済研究所は直近のリポートで「供給減で低所得者が手頃な価格の住宅を見つける機会が減った」と指摘。一方で富裕層は恩恵を受けるため、法律は本来の目的とは正反対の効果をもたらしたとした。問題解決には新規の住宅建設のほか、公共交通機関を充実させて都心へのアクセスを良くする必要があると提言している。

 各国とも価格安定に躍起だ。ニュージーランドは18年、市場の高騰を冷ます狙いで外国人による住宅購入を禁止した。さらに今年に入り、投資家優遇につながる税制措置を厳しくした。一方、スウェーデンでは、価格上限を撤廃して供給増を狙った政府案が価格高騰を増長すると批判を浴び、政権が退陣に追い込まれる事態に発展した。


マンション高騰の日本

 世界の主要国と比べると、日本の住宅価格はそこまでの値上がりではない。それでも、住宅販売は堅調で、都心のマンションの高騰がめだつ。

 不動産経済研究所によると、4月に東京23区で売り出された新築マンションの1戸あたりの平均価格は1億180万円。前年同月比43・0%増で、バブル期以降で過去2番目の高水準だ。

 価格を押し上げたのが、千代田区で160戸ほどが発売された大型の高級マンション。1戸あたりの平均価格は2億円を超す。この物件だけでなく、23区で4月に売り出された1068戸のうち1億円以上の物件は305戸。4分の1以上は「億ション」だった。

  国土交通省によると、10年を100とした不動産価格指数で、今年3月マンションの指数(速報値)は160・0。価格は10年強で1・6倍になった。戸建て住宅の指数は103・9でマンション価格の高騰が目を引く。


 高額マンションが次々と売りに出るのは、富裕層の購買意欲が高いためだ。コロナ禍で、外食や旅行を自粛していたことに加え、株価の高騰などで余った資金が住宅に流れている。利回りがいいとして、海外の投資家からの需要もなお根強い。

 ただ、厚生労働省によると、高齢者世帯を除いた1世帯あたりの平均所得は659万円(18年)で、10年前から5%しか増えていない。一般のサラリーマンにとって、都心の新築マンションは手を出しにくい状況だ。

 一時は、東京五輪・パラリンピックの後に価格が落ちるのではという見方もあったが、「都心の好立地であれば、当面は値崩れはしそうにない」(大手不動産)。マンション適地は限定的で、土地や建築資材も高騰しており、上昇傾向が今後も続く可能性がある。


 住宅価格は市場の原理に委ねられるべきだと思う。だが、若者が不安を抱える社会ならば、それは「市場の失敗」ではないか。行政がどこまで介入するかは難しい問題だが、政策を通じた知恵を絞る時だ。


 韓国でも都市部でのマンション価格高騰で、若者が家が買えない等、世界中でマンションが高騰しています。世界の情勢からすると、日本の住宅はまだ安いのかもしれません。ある業界関係者から聞いた話では、マンション業界でも建築費の高騰が止まらず、今から土地を買って事業化しようとしているマンションの販売価格が高すぎて、実需として売れるのか不安だという話も聞いています。

 高松市でも現在4棟のタワーマンションが建築中です。市場に対して供給過剰の状況だと思います。2年後のマンション業界に不安を覚える状況です。

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