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不動産IDとは



 不動産IDとは、1つの不動産に関するさまざまな情報を紐付けるための固有番号のことです。 1つの不動産には登記情報や設計図、修繕履歴情報、インフラの整備状況、都市計画情報等のさまざまな情報が存在しています。 これらの情報は、現在、別々のデータベース上に存在しており、紐付けられていません。 各情報は分散して存在するため、不動産取引に必要な情報入手に手間や時間がかかっている状況です。この情報を一元化して、不動産取引の手間軽減と活性化をはかろうというのが「不動産ID」です。

 ところが、昨年、中古住宅の売買取引を透明化する官民プロジェクトが10年以上も迷走しているという記事が日経新聞(2021年11月28日)に出ました。

 記事の内容によると、不動産業界がオープンな情報システムによって既得権を脅かされると警戒しており、建物や土地を登記簿の番号で管理する「不動産ID」構想も骨抜きの様相を呈しているようです。閉鎖的な不動産業界においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)の機会損失は膨らむばかりだという内容でした。


 国土交通省が9月に立ち上げた不動産IDの官民検討会。初回会合の資料には「各情報保有主体・活用主体がどのように情報を連携させるかについては、各主体の発意・主体間の交渉に委ねる」と記載されているようで、要約すると「不動産IDをつくっても、その先の個々のデータ連携にまで国は口を出さない」という事になっています。


 実は不動産IDの構想は、2008年の国交省研究会の提言にさかのぼります。このときは個人のプライバシー保護などを理由に不動産業界が賛同しませんでした。都市計画や防災といった行政情報と、不動産業界の業者間データベース「レインズ」を連携させる「不動産総合データベース」も初歩的な試験運用をしただけで立ち消えになっています。

 中古住宅の取引データベースとして国交省が手本にしてきたのが米国の「MLS」というシステムです。全米の約600の民間データベースで構成され、売り出された物件は不動産業者との契約から原則24~48時間以内に掲載されるルールとなっています。過去の成約価格やリフォーム履歴、税金関係の公的情報も網羅され、掲載ルール違反には除名など厳しい罰則があります。

 一方、日本のレインズの仕組みは、売主と一対一の専任契約をした不動産会社は5~7日以内にレインズに物件情報を登録する義務があるが、違反が少なくありません。自社で買主も見つけ、売主と買主それぞれから仲介手数料が取れる「両手取引」につなげる方法を取りたがる事業者が多く、利益相反関係も条件付きで許されているような状況となっています。また、成約データを報告する流れも明確に決まっている訳ではない為、データの欠落、取引の透明度が低いといった状況となっています。

 両手取引は不動産会社の実入りが大きく、高く売りたい売主と安く買いたい買主との利益相反がかねて指摘されてきました。09年に当時の民主党政権が政策集で原則禁止を打ち出したものの、業界の猛反発で撤回した経緯があります。レインズに登録しても他社から物件内覧の依頼があると「先客と商談中」と噓をついて断る囲い込み行為は絶えず、ルール違反の処分も甘い状況です。


 不動産の共通IDはいわば不動産版のマイナンバーのようなものといえます。採用されれば便利になることが解っているのに、既得権益のある不動産業界が、反対しており、採用に至っていません。マイナンバーカードが便利なことが解っていながら、プライバシーを問題に反対している状況と非常によく似た状況だと思います。



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