国土交通省が6月に「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を公表したのを受けて、マンション管理センターは予備認定の基準見直し(項目追加)を検討してきましたが、2025年2月1日から新基準を適用することになりました。
基準に追加される項目は以下の通りです。
① 管理者の選任及び任期(規約案に任期2年以内、総会選任、暫定管理者は1年以内等の定め)
一度外部管理に移行すると、永遠に外部管理とならないよう期限等が定められます。
記載例
(管理者の選解任)
第○条 管理者は、総会の決議によって選任し、又は解任する。
(管理者の任期)
第〇条 管理者の任期は2年とする。
不適合例
第〇条 管理者は、第●●条第●項に定めるマンション管理業者又はその指名する者が務めるものとする。
第〇条 管理組合に次の管理者を置く。株式会社●●●●
② 監事の選任及び任期(規約案に総会で監事が選任され、任期が2年以内などの定め)
外部管理方式のマンションでは監事も、管理会社からの指名で選定されているケースもあるようです。監事の選任は総会決議により、組合員の総意で決めるよう記載します。
記載例
(監事の選解任)
第〇条 管理組合には監事を●名置く。
第○条 監事は、総会の決議によって選任し、又は解任する。
(監事の任期)
第〇条 監事の任期は2年とする。
不適合例
《監事が任意設置となっている例》
第〇条 管理組合には監事を若干名置くことができる。
③ 利益相反の制限(規約案に監理者及び監事の利益相反取引防止の規定があること)
外部管理方式でもっとも懸念されるのが、利益相反です。利益相反取引の防止策が明確に定められる必要があります。
管理規約記載例
《理事会をおく管理方式の例》
(利益相反取引の防止)
第○条 役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。
二 管理組合が役員以外の者との間において、管理組合と当該役員との利益が相反する取引をしようとするとき。
《理事会をおかない外部管理方式の例》
(利益相反取引の防止)
第○条 管理者及び監事は、次に掲げる場合には、総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 管理者又は監事が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。
二 管理組合が管理者又は監事以外の者との間において、管理組合と当該管理者又は監事との利益が相反する取引をしようとするとき。
④ 組合員の総会招集権(規約案に組合員の総会招集権が明記され、実質的に招集を困難とする規定がないこと)
組合員の総会招集権がないと、総会を開催するためには、5分の1以上の組合員の同意が必要等、総会開催のハードルが高くなってしまいます。それらを防止する目的で定められる条文です。
記載例
(組合員の総会招集権)
第○条 組合員が組合員総数の5分の1以上※及び第●条(※1)に定める議決権総数の5分の1以上(※2)に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
※1:標準管理規約では第46 条第1項
※2:組合員数又は議決権数の要件については5分の1より少ない数を含む。
不適合例
《5分の1よりも引き上げた議決要件が規定されている例》
第○条 組合員が組合員総数の3分の1以上及び第●条に定める議決権総数の3分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
《組合員が総会招集を行うことを実質困難にする手続き(印鑑登録証明書の添付)が規定されている例》
第〇条 組合員が組合総数の5分の1以上及び第●●条第●項に定める議決権総数の5 分の1 以上にあたる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、管理者は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
2 管理者は、前項の請求が適正になされていることを請求者全員の実印の押印(印鑑登録証明書を添付)により確認を行わなければならない。当該請求に伴う総会における意思表示についても同様とする。
⑤ 総会の議決事項(標準規約において総会議決事項とされるすべての事項が、規約案において総会秘訣事項になっていること)
重要な項目については、すべて総会の決議とするよう、外部管理の管理会社が勝手に物事を決めてしまわないように定められます。
記載例
(総会の議決事項)
第○条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
一 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止
二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
三 収支決算及び事業報告
四 収支予算及び事業計画
五 長期修繕計画の作成又は変更
六 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
七 修繕積立金の保管及び運用方法
八 適正化法第5条の3第1項に基づく管理計画の認定の申請、同法第5条の6第1項に基づく管理計画の認定の更新の申請及び同法第5条の7第1項に基づく管理計画の変更の認定の申請
九 第●条第●項(※1)に定める管理の実施
※1:標準管理規約では第21 条第2項
十 第●条第●項(※2)に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し
※2:標準管理規約では第28 条第1項
十一 区分所有法第57 条第2項及び●条第●項第●号(※3)の訴えの提起並びにこれらの訴えを提起すべき者の選任
※3:標準管理規約では第47 条第3項第三号
十二 建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
十三 円滑化法第102 条第1項に基づく除却の必要性に係る認定の申請
十四 区分所有法第62 条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108 条第1項の場合のマンション敷地売却
十五 第●条第●項及び第●項(※4)に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し
※4:標準管理規約では、第28 条第2項及び第3項
十六 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十七 その他管理組合の業務に関する重要事項
不適合例
《標準管理規約第47 条第3項から第5項に記載の特別決議(組合員総数及び議決権総数の4分の3以上又は5分の4以上で決する決議等)事項のみを総会議決事項としている例》
第〇条 次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25 条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
三 区分所有法第58 条第1項、第59 条第1項又は第60 条第1項の訴えの提起
四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
五 建替え決議
六 マンション敷地売却決議
七 その他総会において本項の方法により決議することとした事項
管理会社が外部管理を行う場合の注意点が、上記内容で決められました。管理会社には是非守ってもらいた項目です。
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