前回の第1回理事会に続き、それ以降の理事会のお話です。通常の理事会では、以下に示すような内容の議題が報告され、討議されます。
管理費等の滞納状況報告
管理会社または会計担当理事から、管理費等の各戸の滞納状況を報告してもらいます。管理費等の支払いは、区分所有者の義務です。管理会社任せにせず、管理組合として真剣に取り組まなければなりません。
管理費の徴収に関して、管理会社の業務としては、管理委託契約書には、
① 滞納期間別の督促方法
② 督促を続ける期間
③ 督促を続けても回収できない場合の免責事項
が定められています。一般的には、支払期日より6か月間までは管理会社が、自宅訪問・督促状等の方法で督促を行いますが、それでも支払わない場合は、その後は管理組合の業務になります。
内容証明郵便による督促・支払い督促・少額訴訟等の法的措置の当事者は理事長になります。また管理費債権等の消滅時効は5年間のため、早めの対応が必要です。
保守点検報告
管理会社または修繕担当理事から、建物・設備の定期的な点検と不具合があった場合の報告をしてもらいます。また、その結果を協議し、必要に応じて、適切な処置を行います。
(1) 日常点検
主に管理員が行う点検です。日常清掃、建物・設備の見回り等が該当します。
(2) 法定点検
有資格者(専門業者)による法的に定められた点検です。
① 特殊建築物等定期調査(3年毎)
② 防火設備定期検査(年1回)
③ 建築設備定期検査(年1回)
④ 昇降設備定期検査(年1回)
⑤ 消防用設備等点検(機器点検6か月に1回・総合点検年1回)
⑥ 簡易専用水道管理状況検査(水質年1回・受水槽の清掃年1回)
などがあります。いずれの場合も、その結果を特定行政庁などに理事長名で報告する必要があります。
窓口業務報告
管理員または管理会社から、その月にあった出来事の報告があります。居住者の入退去、居住者からの苦情、投書箱の内容、敷地内の見回り状況、行政からの連絡事項、近隣町内会からの情報などが報告されます。居住者からの苦情に関しては、理事会として対応が必要なものについては、理事会内で協議し、対応方法を決定する必要があります。
理事会承認事項の確認
(1)専有部分のリフォーム申請
標準管理規約では「専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替えを行おうとするときは、あらかじめ理事長にその旨を申請し、書面による承諾を受けなければならない。その申請について、承認するとき、又は不承認としようとするときは、理事会の決議を経なければならない。」とされており、住戸内のリフォーム工事については理事会の承認が必要です。リビングの床をカーペットから防音性能のないフローリングに変更したために、クレームが発生した等のクレームを未然に防ぐために定められた項目になります。専門知識も必要とされる場合がありますので、理事の中に建築の専門家がいない場合には、外部の建築士等に内容を確認してもらうことも有効です。
使用する材料の性能だけでなく、工事時間やエレベーターの利用状況、騒音・臭気対策、近隣住戸への事前説明等も併せて確認する必要があります。
(2)トラブル対応の検討
管理員や管理会社等から上がってくる入居者のクレームについて、理事会として判断する必要があります。管理委託契約書には、入居者からのクレーム対応は、管理会社の業務には入っていません。管理会社はクレームを理事会に上げて、理事会が主体となって解決していく必要があります。理事会では、管理規約や使用細則と照らし合わせて、対策を一つ一つ考えていきます。新たにルール化が必要な項目については、次回総会で規約改正の必要も出てきます。
中には無理難題を言ってくる入居者もいますが、なんでもかんでも対応するのではなく、一般的な常識の範囲内で対応していく必要があります。
上下階の騒音問題等、個人間のトラブルも、理事会が仲介者となり、第三者的視点で、解決策を探ることは有効です。マンション管理士等を顧問として、トラブル解決のアドバイスを得る管理組合も増えてきています。
議事録の作成および入居者への配布
理事会が終わると、管理会社または書記担当理事が、理事会議事録を作成します。理事会議事録は、総会議事録に準じるのであれば、理事長および当日出席していた理事の2名が記名押印し、正式な議事録として保管されます。何か問題が起こった時には、過去の議事録が証拠となりますので、重要な文章です。また議事録は、理事会内だけで共有するのではなく、各住戸へ配布しましょう。議事録を全戸配布することで、今マンションで何が問題になっているのかが良くわかります。審議内容が透明化されることで、理事会への入居者の不満も軽減されます。
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