マンション理事会の監事に就任すると、総会前に会計監査を行い記名押印する必要があります。
今回は、会計監査の具体的な方法について説明します。
監事の仕事は「収支報告書」と「貸借対照表」に記されている数字に元となる証憑があるか、その数字が同じかを確かめて、「帳簿がちゃんと作成されていることを確認」することです。
具体的には、
① 支出項目について請求書、領収書、契約書等の証憑と照合。
➡支出項目については1点・1点、何に使ったのか?理事会等の事前承認はあるのか?等の確認が必要です。
② 預金通帳、保険証券等の現物確認と名義人の確認。保管口座又は収納・保管口座の印鑑(キャッシュカードその他これらに類するものを含む)は管理組合が保管しているか?
管理組合が管理している通帳・有価証券がある場合、それらと印鑑は理事等で別々に保管しているか?
③ 会計年度期末における管理費等保管口座等の残高は貸借対照表の計上額と金融機関が発行する残高証明書(コピー不可)の額と一致しているか?
➡管理会社の社員が管理組合の預金を使い込み、その不正を隠すために、残高証明書を偽造するケースも過去にはありました。かならず原本を確認することが重要です。
上記3点が確認でき、実際の残高が確認できれば、初期の監査としては問題ないと思います。
過去の横領事例では、上記内容に加味して以下の項目のチェックも必要になります。
① 支出項目について、理事会承認の有無と、現物の確認。
➡管理会社社員が、管理費を流用して備品を購入し、転売していた件や、実態のない架空工事等を計上していたケースがあります。経費を支出する場合には理事会決議や、理事長の事前承認が必要です。不明な支出については、必ず理事長・管理会社担当双方に確認するようにしましょう。
② 未収金、未払金について、具体的な項目・金額の内容確認
➡実際は入金されていたにも関わらず、未収入金として処理され、預金を流用していたケースもあります。未収金が多額な場合や、前年からの未収金が処理されていない場合には、管理会社にヒアリングをおこなうことや、場合によっては、管理費滞納住戸への確認も必要です。
管理費や修繕積立金も自分のお金だと思って、分からなければ分かるまで、管理会社の担当者に確認して、納得してから監査の押印をするようにしてください。
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