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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

修繕費用が足りない場合の対処方法

更新日:2021年1月25日



 修繕積立金が潤沢にあれば別ですが、大規模修繕工事をしたくても、予算が足りないケースも多くあります。また、貴重な修繕積立金は大事に使いたいものです。


 今回は大規模修繕費用が足りない場合の対処方法の説明です。


対策1:修繕時期を延ばす

 修繕の実施時期は12~14年が一般的ですが、必ずこの時期に行う必要があるものではありません。塗料の劣化を考えて最長築18年程度でも、実施可能です。

 大規模修繕工事の期間が12年毎であれば、築36年までに3回の大規模修繕工事が必要ですが、18年毎であれば2回の大規模修繕工事となり、修繕費用を減らすことも可能です。

 また50戸程度のマンションであれば、標準的な修繕積立金を徴収していれば、年間500万程度の修繕積立金が溜まります。12年毎から18年毎に6年延ばせば、3000万円余分に修繕積立金が溜まることになります。


対策2:競争見積もりを実施する

 責任施工方式や管理会社主導方式では、競争原理が働かず、工事費が高額になりがちです。設計監理方式を採用して、数社の施工会社から見積もりを徴収することで、1割程度は減額できると思います。


対策3:施工部位を見直す

 大規模修繕工事では、足場をかけて建物全体の修繕を行います。足場の必要のない工事は、大規模修繕工事と別で行っても問題ありません。たとえば駐車場のアスファルト舗装のやり替え等であれば、大規模修繕工事とは別に、お金が溜まってから実施しても問題ありません。

 また、タイルの修繕工事や、サッシ廻りのシール打ち換え等の工事も、開放廊下内の内壁であれば、実施しなくても、タイルが落下して通行人にケガをさせたり、雨水が室内に侵入して漏水したりのおそれは少ないです。屋上の防水工事についても、全面やり替えを行うのか、部分補修で済ますのかで、金額は大きく変わってきます。


対策4:分離発注を行う

 インターホンの交換工事とか、エントランス家具の張り替え工事とか、他の大規模修繕工事と、あまり取り合いのない工事であれば、管理組合の直発注とすることで、2割程度のコストダウンが可能です。手間暇はかかりますが、それ以上のコストダウン効果があります。


対策5:施工時期の調整

 大規模修繕工事は一般的に春工事(5月~8月)と秋工事(9月~12月)が多く、1月~4月は職人さんも仕事が少ない時期になっています。大規模修繕工事の工期を、この1月~4月の時期に設定すれば、工事費の低減に役立ちます。


対策6:近隣のマンションと共同で実施する

 大規模団地等で、マンションが複数棟ある場合は、各マンションの大規模修繕工事を同時に発注することで、工事金額を減額することが可能です。施工業者は、1棟づつ施工することで、同じ足場を転用できますし、職人も少人数で、繰り返し作業を行うことで、施工効率があがり、コスト削減が期待できます。現場監督も効率的に配置でき、工事費の総額が大きいため、値引き率も高くなります。近隣で同じような時期に出来たマンションがあるときは、近隣の管理組合とも協業することで、安く発注できるケースもあると思います。


 上記のような対策をとっても修繕積立金が不足する場合は、以下の2つの検討が必要になります。


対策7:区分所有者から一時金を徴収する

 不足部分を各居住者の専有面積割合で案分して、一時金として徴収する方法ですが、高齢の年金暮らしの方等もいらっしゃるケースでは、なかなか難しい方法です。


対策8:借入をおこない大規模修繕工事を実施する

 北海道では、大規模修繕工事のほとんどは借入金で行うと聞いたことがあります。

 先に工事を実施して、その後に借入金を返済しますから、修繕積立金を大幅に増額しないと、結局次の大規模修繕工事も借り入れが発生する可能性が高いです。借入先として住宅支援機構や、三菱電機クレジット等が対応可能です。


 どちらにしても、管理会社の言うことを鵜呑みにせず、設計事務所や大規模修繕工事コンサルタントに依頼して、管理組合が主体的に対応していくことが重要です。


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