2022年7月25日の廣田信子さんの表題のブログを紹介します。
「名古屋市のマンション管理適正化の取組みから目が離せません。
まず、管理状況の届け出制度を規定した名古屋市のマンション管理条例案が、3月の市議会本会議で可決されました。政令指定都市で届け出を義務づける条例は初めてだといいます。届け出制度は10月1日に施行します。これによって、6戸以上の住戸を持つすべてのマンションには届出義務が生じます。
9月初旬に届け出書を郵送する方針だといいます。届け出は、郵送のほか、市ホームページに掲載する様式に入力し、添付ファイルとして電子ファイルで郵送してもらう形も想定しているといいます。
そして、何より、いいなと思ったのは、管理組合の届け出のインセンティブがしっかりしていることです。届け出開始前の9月末日までは、市の管理組合登録制度(任意制度)に登録していることを条件としますが、10月以降、届け出たマンションには、以下の3つのインセンティブが考えられています。
1.長期修繕計画未作成マンションへの長計作成支援
6月ごろの開始を想定。マンション管理士を派遣し(報酬は市が負担)公益財団法人マンション管理センターの「長期修繕計画作成・修繕積立金算出サービス」を利用した長計案の作成支援を行う。マンション管理士の方が間に入った、「長期修繕計画作成・修繕積立金算出サービス」の利用による長計は、妥当な選択だと思います。
2.修繕工事発注に係る市住宅供給公社の相談窓口設置
5月開始予定。完全予約制で、4月から受け付けを開始。毎週火曜日に1管理組合当たり2時間を限度に公社職員が対応する予定。発注業者のリストアップも検討しています。
名古屋市は市住宅供給公社がマンションの修繕に係わってきた実績がありますから。
3.住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」に対する市の利子補充を行う。
4月開始予定。修繕積立金不足で工事が実施できない築15年以上のマンションが対象。利子補充は1%。補給期間は10年。利子補充で実質無利子になる場合でも利用できる。ただし、長期修繕計画の見直しや修繕積立金の適正化を条件とする。
この3つを全面的に出しています。そして、新築マンションを分譲する分譲会社にも分譲前にあらかじめ届け出ることが定められています。
私は、8月に名古屋市でセミナーの予定があるので、名古屋市の計画が気になり、しっかり見ていました。で、私は、名古屋市のやり方を、管理組合の立場に立った温かい計画だと思いました。
まず、届け出制度を義務化して、届け出た管理組合に手厚いサポートを行うことを、明確にする。
それで、届け出た内容が不適切なマンション、届け出がないマンションに対して、管理不全マンション予備軍への対応に尽力できます。
長計の作成、修繕の段取り、資金的なサポート…これらがそろえば、これまでが不適切な管理だったマンションにも、「がんばれ」という応援メッセ─ジに思えます。
まずは、管理不全マンションをなくすために全力を尽くすという趣旨が伝わってきます。ともすれば、管理計画認定制度の認定を受けたマンションにインセンティブを与えて、それを促すという自治体の方針が多い中で、名古屋市は、管理不全の心配があるマンションに思いが向いて、しっかり計画されていると感じます。
届け出制度を義務化して、長計作成、修繕のサポート、金利のサポートという手厚いインセンティブで、適正管理を促す方式は素直にとてもいいと思いました。
東京都の昭和58年以前に新築された6戸以上の分譲マンションの届け出制度、豊島区や墨田区等の管理状況届け出制度等、届け出制度は他にもあり、また、増えていますが、名古屋市の規模で、すべてのマンションを把握して、問題があるマンションを全力でサポートしようという試みには、とても期待しています。
まずは、困っている、困っていることを認識していないマンションにきちんと対応することが重要です。それが、適正化法改正の趣旨ではないでしょうか。管理計画認定制度の認定を受けるかどうか…はその次の問題だと思うのです。」
今回のマンション管理適正化法改正の要点は、この記事にもあるように、管理不全マンションへの助言・指導・勧告により、管理不全マンションを減らすことです。このブログにある名古屋市の取組は確かに効果的だと思います。
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