結露対策には換気が有効と以前から言っていたのですが、ある人から以下のような意見をいただきました。
「冬場の北国は、連日雪が積もっていたり、雪が降っていることが多い。換気が重要というけれど、雪で湿度が100%近い外気を室内に入れたら、却って結露するんじゃないか。」
言われてみれば最もな意見だと思うかたもいらっしゃるかもしれませんが、昔習った理科の授業を思い出してください。
実験でビーカーに砂糖や塩を入れて、解けるかどうか試した折に、水温が低いときは、解ける量が少ないのに、アルコールランプで温める、すべて溶けたという実験をしたことがなかったですか。
実は、空気にも同じような性質があり、気温が低いときは、含まれる水蒸気が少なく、気温が高くなると含まれる水蒸気の量が多くなるという性質があります。
結露とは、暖かい部屋で空気中に含まれた水蒸気が、寒い部屋や、外気と直接接するアルミサッシやガラス面に触れた時に、急激に冷やされ、水蒸気として含み切れなかった水分が液体として出てくる現象です。
実は湿度には、絶対湿度と相対湿度という2つの湿度があります。一般的に天気予報で伝えられている湿度は、相対湿度というものです。
上の図で見れば、気温30度で50%の湿度でも、同じ水蒸気量で15度まで下がれば、湿度100%になってしまいます。
絶対湿度と相対湿度の相関を図にしたものが上記表になります。
そこで、最初の質問内容を考えてみましょう。
上記の表で、冬場の外気温が0度、湿度100%のときの水蒸気量は右下の4.9になります。この空気を取り込んで、室温22度まで温めると、この表では25%の相対湿度になることがわかります。
結果、冬場の雪国でも、換気は結露対策に有効となります。
唯一、換気が結露に悪影響を与えるのは夏型結露と言われる場合です。夏型結露とは外気が温高温多湿で、部屋内が低温な場合に起こる結露です。夏型結露は冬型の結露とは逆に、外気の空気中の水蒸気が、換気をすることで部屋内に流入し、部屋内の中で冷たい便器等の表面で水滴が発生する現象です。
春先等に、まれに暖かい日があると、冬の気候で冷やされたマンションの外壁に結露が発生し、大規模修繕施工中の時に、塗りたての塗料がすべて流される等の事故が発生することがありますが、これも夏型結露の一例です。雨が降った訳でもないのに、エントランスの床壁天井が水滴だらけになることもあります。
人間は温度の変化には敏感ですが、湿度の変化には気づきにくいものです。結露が気になる場合には、部屋の各所に温湿度計を設置することをお勧めします。
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