今回のお話は分譲マンションと賃貸マンションの違いについてのお話です。
あるマンション管理士の方とお話した折に、その方が管理組合で最初に話すのが、この話ということでした。相談に来られる入居者の方が一番におっしゃるのが「管理会社は何もしてくれない」という言葉だと。
しかし、話を聞いていくと、入居者の方が誤解されているケースが多いというお話です。
管理会社は「マンション管理委託契約」に基づいて仕事をしている
まずは管理会社と管理組合との契約「マンション管理委託契約書」を見てください。
管理会社は委託契約に基づいた業務しか基本的に行いません。「マンション管理委託契約」に記載されている業務は主に以下の4つです。
① 事務管理業務(管理費徴収等の会計業務・理事会、総会運営補助等)
② 管理員業務
③ 清掃業務
④ 建物設備管理業務
これを見ると解るかと思いますが、入居者間のトラブル仲裁等は、管理会社の委託業務外になっています。入居者から生活騒音が煩い等のクレームが発生しても、管理会社としては、基本的に騒音注意の掲示をするぐらいで、あとは理事会に報告して、理事会に判断してもらうケースが多いです。
また、給湯器が壊れた場合も、トイレが詰まった場合も、修理の依頼等は入居者が行わなければなりません。賃貸マンションの不動産会社のように、何でもやってくれるわけではないのです。
マンションの運営主体は管理組合
そこで重要になってくるのが管理組合です。実際には理事会が主体性をもって意思決定を行い。ルール化が必要な項目であれば年に1回の総会で決定し、管理規約や使用細則の改定を行います。分譲マンションの主役は、区分所有者であり、管理組合であり、理事会の皆さんです。
「管理会社は何もしてくれない」という言葉は、すべて管理会社がやってくれるという前提条件から出た言葉でしょうが、実際の管理会社担当者は10件程度のマンションを受け持っています。すべてのマンションの不満や苦情に、真剣に対応するためには、とても手が廻りません。また、自分が更に忙しくなる、新しい試みを提案することにも消極的です。管理会社としては、従来と同じように、何の問題もなく、つつがなく、1年が終るのが最も良いと本当に思っています。
自分達のマンションを住みよくするためには、自分達で行動する。新しいイベントも管理組合が主体となって実施する。うまく行っているマンションには、必ずキーマンが存在し、前向きに色々とチャレンジしています。常に、よりよくなるために工夫・努力しています。
自分達のマンションは自分達で真剣に考えなければならない。そう気づいた管理組合は、間違いなく良い管理組合になるでしょう。
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