2021年9月28日、国土交通省がマンションの長期修繕計画作成や修繕積立金に関するガイドラインの改訂版を公表しました。主な改定点は以下の2点です。
計画期間は30年以上となっているか 今回の改訂では、長期修繕計画の期間を「30年以上で大規模修繕工事が2回以上含まれる」期間としました。従来は「中古マンションは25年以上・新築は30年以上」となっていたため、25年で長期修繕計画を立てているマンションも少なくないはずです。外壁の塗装や屋上防水などを行う大規模修繕工事の周期は一般的に12~15 年程度とされています。30年以上の計画であればこれらの工事が2回含まれることになります。30年であれば、エレベーターの改修も検討に入ってくると思われます。計画期間が30年以上であれば、これら多額の工事費を見込んだ厳しめの計画となります。 修繕積立金の目安
長期修繕計画の改訂とともに、修繕積立金額の目安も見直されて高くなりました。具体的には以下の金額になります。
修繕積立金は平成23年(2011年)に策定されたましたが、築古のマンションの増加や工事費の高騰等の社会情勢の変化を踏まえ、今回、再度の改訂が行われました。従来の目安は以下の通りです。
この二つの表を見比べてみると、15階建て未満で延床面積5000㎡の場合で1㎡あたりの修繕積立金は218円(165円~250円)が335円(235円~430円)に、平均で117円のアップに、延床面積5000㎡~1万㎡のマンションで1㎡あたりの修繕積立金は202円(140円~265円)が252円(170円~320円)に、平均で50円のアップに、延床面積1万㎡超のマンションで1㎡あたりの修繕積立金は178円(135円~220円)が271円(200円~330円)に、平均で97円のアップになっています。
今までの基準では月々170円の修繕積立金で大丈夫だと思っていたものが、新しいガイドラインに照らし合わせると、100円以上値上げしないと、満足しないことになります。この基準は「管理計画認定制度」の基準ともリンクしており、管理組合は再度の値上げ検討が必要となります。
廣田信子さんのマンションブログでも「そもそも、修繕積立金の徴収額は、少し足りないぐらいの計画である方が、折々の理事会に、大事に使おうと言う意識を持たせることができ、実際には、適切な競争原理を働かせて、計画よりも安く実行できるはず、という考えで、今まで、やってきています。 また、バリューアップ等の改良工事の実行決議案は、「一時金の徴収や、徴収額の値上げの上であっても賛成する。」と言うぐらいの方が、住民の真の必要性が確認できるという考えでいます。
長期修繕計画と修繕積立金の徴収額は、マンションごとの判断で問題ないように思います。 むしろ、高めに積み上げさせておいて、それを使わせようと言う、コンサルや施工業者、ひいては(悪質な場合の)管理会社の営利の思惑の対象になってしまうことを懸念します。
“バリューアップ”や“安全安心”は、聞こえは良いですが、工事費用にキリがないことを自覚することも大事です。」
と意見を述べられています。私も廣田さんの考えに賛成です。
もう決定してしまったので遅いですが、上記のような正論があることも覚えておきたいと思います。
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