日本の削減目標を達成するため、家庭のCO2排出量の目安として、2013年度のCO2排出量(2.08億トン)を2030年には排出量(0.7億トン)とマイナス66%の削減が求められています。
これらの具体的な施策として省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)が定められ、平成27年には建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)が制定されました。
建築基準法の現行法では、中規模(300㎡以上)の非住宅の新築、増改築を行う建築主に対して省エネ基準への適合義務を課していますが、改正法では300㎡未満の小規模住宅も含めすべての建築物が届出適合の対象となります。
また1年間に一定戸数以上の住宅を供給する企業に対しても、建売戸建住宅、注文戸建住宅、賃貸アパートに加え、分譲マンションでもトップランナー制度により、断熱性に優れた住宅を供給する義務が定められました。
その他、建築物の販売又は賃貸を行う事業者に対して、その販売又は賃貸を行う建築物について、エネルギー消費性能の表示に努めなければならないと定められました。
住宅性能表示制度についても、断熱性能について従来最高等級であった「等級4」を上回る「等級5」「等級6」「等級7」が創設され、また新たに生活時の使用エネルギー量を評価する「一次エネルギー消費量等級」が定められました。
これらの等級を満足した建物に対して、非住宅建築物でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を、住宅系建築物でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ホーム)を定めておりZEH(ゼッチ)マンション等も建設・販売されています。
ZEHマンションは、1年間で消費するエネルギーの量を実質ゼロにする(もしくはゼロに近づける)集合住宅を指します。具体的には、マンションの断熱性・省エネ性能を高めつつ、太陽光発電などで再生可能エネルギーを創ることによって、エネルギー消費量の実質ゼロを目指します。
また、建築物の様々な側面において適切な環境性能や省エネ性能を計画し実現するための総合的な評価手法として、CASBEE(キャスビー:建築環境総合性能評価システム)が日本で開発されています。 CASBEEとは建築物を環境性能で格付けする手法で、省エネや省資源・リサイクル性能といった環境負荷削減の側面はもとより、室内の快適性、地域の自然環境や景観への配慮といった環境品質・性能向上の側面も含めた、建築物の環境性能を総合的に評価するシステムです。
世界の情勢や国の流れの中で、建物を含む法規制も変ってきています。省エネ・長寿命化をキーワードに、建物の改修についても取り組む必要がありそうです。
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