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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

地震保険の保険料改定!データが示すマンションの危険な実態

更新日:4月27日



 2022年10月4日のゴールドオンラインの表題の記事を紹介します。


地震保険の保険料がこの2022年10月から改定されました。これまで保険料は相次いで引上げされてきましたが、今回の改定では全国平均で0.7%の引き下げとなりました。地震保険はコストパフォーマンスがきわめて高い保険で、それが周知されてきたこともあり、付帯率もここ数年顕著に上昇し70%近くまでになっています。しかし、データをよくみると、マンションについては、危険な実態が浮かび上がります。


実はコストパフォーマンスがきわめて高い地震保険

 まず、地震保険の補償内容と、コストパフォーマンスの高さについて説明します。

地震保険の補償内容とは?

 地震保険の補償内容は、建物、家財それぞれについて損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階に分け、それに応じて保険金を受け取れるしくみになっています(【図表1】参照)。

 要注意なのが、建物については、建物が損壊した場合に「全損」「大半損」「小半損」「一部損」を判断する対象が、基礎、柱、壁、屋根等の基本的な構造部分に限られるということです。それらが無傷で、給排水管やエレベーター装置等のみが被害を受けた場合は対象外ということになります。


【図表1】地震保険の補償内容日本損害保険協会「地震保険特設サイト」より

保険料改定でわかった地震保険の驚くべきコストパフォーマンス

 2022年10月から地震保険の保険料が改定されています。都道府県・構造級別により異なりますが、全体としては引き下げられるケースが多くなっています(【図表2】の青字部分が引き下げ)。


【図表2】地震保険の年間保険料(保険金額100万円あたり)日本損害保険協会「備えて安心 地震保険の話」をもとに作成

 その理由として、損害保険料率算出機構は、耐震性の高い住宅が普及したこと等の引き下げ要因(全国平均-2.3%)が、全国的な地震の発生頻度の上昇による引き上げ要因(全国平均-1.6%)よりも上回ったことを指摘しています(損害保険料率算出機構「地震保険基準料率届出のご案内(2021年6月10日)」参照)。

 ここで注目すべきなのが、「全国的な地震の発生頻度の上昇」ということです。地震のリスクが高まっているにもかかわらず、保険料が引き下げられるケースが多いというのは、コストパフォーマンスが向上したという見方も可能です。

 それに加えて、地震保険は、以下の3つのしくみにより加入者の経済負担が抑えられており、その意味でも、きわめてコストパフォーマンスが高くなっています。

1.国が運営コストの一部を負担してくれている

2.保険料の割引制度が充実している

3.保険料について所得控除を受けられる

 第一に、地震保険は国と保険会社が共同で運営しており、国が運営コストの一部を負担しています。 第二に、保険料については、建物の免震・耐震性能に応じた割引制度があります。以下の通りです。

(1)免震建築物割引(50%):品確法に基づく免震建築物の場合

(2)耐震等級割引(10%~50%):品確法に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を有している場合

(3)耐震診断割引(10%):地方公共団体等による耐震診断・耐震改修の結果、建築基準法の耐震基準をみたす場合

(4)建築年割引(10%):1981年6月1日以降に新築された建物である場合

 第三に、「地震保険料控除」で税金が優遇されています。所得税については保険料の全額(最高5万円)、住民税については保険料の2分の1(最高2.5万円)を上限として、所得控除を受けることができます。

地震で被災した場合、衣食住にも仕事にも困窮するリスクがあります。そういうとき、何をおいても必要なのは、生活を立て直すためのお金です。地震保険に加入していれば、低いコストでリスクに備えることができます。


このままだと危険!地震保険付帯率が示すマンションのリスク

 このように、地震保険はきわめて有用でコストパフォーマンスに優れたものです。

とりわけ、マンションについては、多くの世帯が入居する建物であるため、建物が被災した場合に建物の修繕・再建の費用を賄う方法として、地震保険の有用性・重要性はきわめて高いといえます。 しかし、実際の付帯状況のデータをみると、危険な実態が浮かび上がります。

マンションの地震保険の付帯状況

 どういうことか、問題は、マンションという建物の特殊性にあります。

マンションには「専有部分」(各居室)と「共用部分」(エントランス、ロビー、廊下、階段、エレベーター等)があります。

 専有部分は各居室の所有者が個別に火災保険・地震保険に加入すれば足りますが、共用部分については管理組合の所有にかかるので、専有部分とは別に管理組合名義で火災保険・地震保険に加入する必要があるのです。

 ところが、2020年時点での地震保険の付帯率が全国平均で約68%であるのに対し(損害保険協会「火災保険・地震保険の概況」P.48参照)、共用部分については約46%にとどまっています(損害保険協会「地震保険のチラシ【マンション共用部分編】」参照」)。

 専有部分については、現状では専有部分のみに着目した有効なデータはありませんが、全国平均に準じるものと考えられます。したがって、共用部分の地震保険付帯率は専用部分に比べてまだまだ低いとみられます。

マンションの地震保険は共用部分こそ肝要

 これは大変危険なことです。なぜなら、共用部分はマンションの基礎、柱、壁、屋根等、マンションの根幹となる部分を多く含むからです。

 先述した通り、地震保険においては、建物が損壊した場合に「全損」「大半損」「小半損」「一部損」を判断する対象が、基礎、柱、壁、屋根等の基本的な構造部分に限られます。したがって、専有部分に火災保険がかかっているだけだと、不十分です。

 建物に限っていえば、地震保険は、専有部分よりも圧倒的に共用部分のほうが大事なのです。

また、もしもマンションの基本的な構造部分が地震等の被害に遭ったら、修繕積立金では賄いきれないリスクがあります。

 現に、国土交通省「平成30年(2018年)度マンション総合調査」の結果によれば、修繕積立金が計画よりも不足している管理組合が34.8%もあります(同調査報告書P.9参照)。

 しかも、そもそも長期修繕計画は地震被害を想定して立てられるものではありませんし、昨今のような資材高騰のリスクの可能性をも加味すると、修繕積立金が不足するケースはさらに多くなるものと想定されます。

 したがって、マンションで共用部分について地震保険に加入していないのは、それ自体、きわめて大きなリスクを負っているということです。

 日本列島は地震の巣であり、大地震はいつどこで起きてもおかしくありません。未加入の場合は、今すぐ加入することをおすすめします。」


 この記事では、マンション共用部にも地震保険の加入を勧めていますが、私の意見は反対です。

 会社員時代にも、阪神大震災・東日本大震災・熊本地震と多くの地震に遭遇し、被災したマンションの調査等も行いましたが、新耐震のマンションであれば、被害は軽微であり、一部損(保険金額の5%が受け取れる)がせいぜいです。一部損の評価ももらえず、一切地震保険が下りなかったマンションもあります。

 東日本大震災時の宮城県内のマンション1460棟の調査では無被害が738棟(49.5%)・軽微が531棟(37%)・小破が175棟(12.3%)・中破が15棟(1.1%)・大破が1棟(0.1%)という結果でした。新耐震に限ると無被害51.1%・軽微37%・小破10.9%・中破1%・大破0%となっています。88%が無被害か軽微な損傷になっています。

 実際に現地に行くと、廊下側やバルコニー側の壁は、ひび割れが入り大きく破損しているのですが、これらの部分は構造体(主要構造部)ではなく、あくまで梁や柱にひび割れ等が発生していなければ保険金は支払われません。火災保険に特約で地震保険をかけるくらいなら、その分を修繕積立金として積み立てておくことのほうがよっぽどいいと思います。

 一方、専有部の地震保険は必要だと思います。コンクリートの修繕費用は、共用部の保険や修繕積立金で修理しますが、部屋内のボードやクロスの破れは、専有部の地震保険で修理する必要があります。個人で掛ける火災保険には、地震特約もセットで加入するようにしましょう。


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