大規模修繕工事は一般的には出席組合員の過半数の普通決議で決定されますが、内容によっては特別決議の必要な項目もあります。
標準管理規約では、47条の3で「次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合 員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
一 規約の制定、変更又は廃止
二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)
三 区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起
四 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部 分の復旧
五 その他総会において本項の方法により決議することとした事項」
との項目があり、その中の「二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)」
ややこしいですが、要するに共用部分の変更で、形状や効用の著しい変更を伴うものは、特別決議が必要とのことです。
大規模修繕工事で考えた場合、塔屋等に設置されたマンションの館銘板の撤去や、機械式駐車場の解体、マンション外壁の色を全面に変更する場合等は特別決議が必要です。また、標準管理規約の解説では「集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。」との一文があります。
その他、共用部分の変更が専有部分の使用に「特別の影響」を与える時は、該当住戸の承諾が必要になります。例えば「その工事によって、専有部分への出入りが不自由になるとか、変更の結果、ある専有部分の採光・通風が悪くなるといった場合」が考えられます。そのような場合にはたとえ4分の3以上の特別決議があっても該当住戸の組合員の承諾がなければ、工事は実施できません。
尚、普通決議は委任状を含む出席組合員の過半数で決しますが、特別決議は組合員総数の4分の3以上の決議が必要です。出席組合員の4分の3以上ではないことにも気をつけてください。
Comments