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執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

専有部分と共用部分

更新日:2021年11月29日



 マンションは専有部分と、区分所有が共同で使用する廊下や階段等の共有部分から構成されています。

 一棟の建物に構造上区分された数個の部分が存在し、それぞれ独立して住居・店舗・事務所などの用途に使用することのできる各部分を所有する権利のことを「区分所有権」といい、各部分を「専有部分」と呼びます。簡単に言えば「部屋の内側」が専有部分となります。


 「共用部分」は「専有部分以外の部分すべて」であり、これは原則としてマンションの区分所有者全員の共有です。また、この「共用部分」は、法定共有部分と規約共有部分に分類されます。


「法定共有部分」とは  「法定共用部分は、数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分」として定義されており、廊下・階段・ロビー・エントランス・エレベーターや、それぞれの部屋の外側の配線・配管などの建物附属物にあたります。これらの部分がなくては、各戸の部屋に行けませんし、配管等がなければ生活できません。マンションで生活するために必須の部分です。住戸内を貫通している排水竪管も法定共有部分になります。


「規約共有部分」とは  一方、規約共用部分とは規約により区分所有権の対象となりうる建物の部分です。管理人室・集会室等が対象となります。これらの共用部分は、共用部分である旨を登記しなければ第三者には対抗できません。

 規約共用部分は管理規約で共用部分と定めた部分なので、極端な話、管理人室や集会室は不要になれば規約を変更して、専有部分として売買することも可能です。


共有部分と専有部分の具体的な線引き

 それでは、専有部分と共用部分の間にある玄関や窓ガラス、壁、さらに専有部分に付属するバルコニーなどはどうでしょうか。

 まず、バルコニーやルーフバルコニーなどは完全に部屋の外ですから、共用部分になります。各部屋の住人が専用使用権にもとづいて使用できるものの、区分所有権の対象ではありません。これらの部分は専有使用権のある共用部分となります。

 共有部分のため、バルコニーなどの使用にあたっては管理規約や使用細則の規定に従わなければならないほか、緊急時の避難経路として他人の通行を妨げてはなりませんから、勝手に物を置いたりしてふさいでしまうことはできません。当然部屋等に改造することも出来ません。


 玄関ドアや窓ガラスは、その内側は専有部分とされますが、外側は共用部分です。玄関ドアの内側なら何かを貼ったり色を塗ったりすることは自由ですが、外側については、手を加えたり勝手に取り替えたりすることはできません。またガラスについても、シングルガラスを勝手にペアガラスやLow-Eガラスには変更できないので注意が必要です。網戸も本来は共用部分となります。

 窓の断熱性をアップさせるための、室内側に設置する樹脂サッシであれば、専有部となるため設置可能になります。


 ただし、玄関ドアの「鍵穴」は専有部分として扱われるため、区分所有者の責任でシリンダー交換などをすることができます。これは、入居者の入れ替わりにより、鍵の変更が頻繁に行われることを考慮してのことです。


壁や床・天井について

 マンション標準管理規約では、「天井・床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分」としています。住戸内の生活スペース「天井・壁・床に囲まれた空間」は専有部分です。しかし、隣戸との壁は「共有部分」とされていますので、2つの住戸を購入し、コンクリートの壁を撤去して、1つの住戸にするといったことはできません。一方で壁の表面部分は、専有部分ですので、壁紙の張替えや色塗りを行うことは可能です。


 床と天井に関しては配線や配管、床の下貼りなどの問題もあるため判断は難しいのですが、「壁紙や床材の張替えは自由、その下や内側のコンクリートを壊してはいけない」と覚えておきましょう。マンションの管理組合が修繕を施したり、使い方のルールを定めたりできる部分は、基本的に教養部分になります。マンション管理の基本として覚えておきましょう。



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