建設・建築業界で働く人々と工事現場周辺で生活する人々を健康被害から守るため、厚生労働省が定める「石綿障害予防規則」、通称「石綿則」。
平成17年に制定されて以降改正を重ね、昨年(2022年4月1日以降)からはすべての建築物、特定の工作物の一定規模以上の解体や改修工事について、石綿の有無の「事前調査結果の報告」が義務化されました。そして2023年10月1日からは、この調査を「有資格者が行う」ことが義務付けられることになりました。
建築物石綿含有建材調査者の種類
□一般建築物石綿含有建材調査者
全ての建築物の調査をおこなう資格
□一戸建て等石綿含有建材調査者
一戸建て住宅および共同住宅の内部に限った調査(共有部分は除く)を行う資格
□特定建築物石綿含有建材調査者
一般建築物石綿含有建材調査者の講習内容に加えて、実地研修や、口述試験を追加したもので、全ての建築物の調査を行う資格
「石綿事前調査報告」が必要な工事
「該当する工事」とは、以下の4つです。
建築物の解体工事(解体作業対象の床面積の合計80 ㎡以上)
建築物の改修工事(請負金額100万円以上(税込))
工作物の解体・改修工事(請負金額100万円以上(税込))
鋼製の船舶の解体・改修工事(総トン数20トン以上)
マンションの大規模修繕工事も石綿事前調査報告が必要な工事となります。2020年あたりから、大気汚染防止法や労働安全衛生法で、マンションの外壁塗材に含まれる石綿(アスベスト)を、飛散性アスベストとして扱うことで、塗材のアスベストの含有量調査については一般的に行われるようになってきましたが、今後は有資格者が、塗材以外の建材についても調査を行うことが義務化されます。
この調査者の資格試験取得のための講習は、どこも満員の盛況だそうです。新しい役所の天下り先?と勘ぐりたくなる状況です。
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