一般社団法人日本建設業連合会は2022年8月に「建設工事を発注する民間事業者・施主の皆さまに対するお願い」という文章を出しました。建設資材の高騰を受け、既に契約済で工事中の物件についても、請負金額の増額を求めるお願いです。
民間建設工事標準請負契約約款には
第30条5(工事又は工期の変更) 受注者は、・・・正当な理由があるときは、発注者に対して、その理由を明示して、必要と認められる工期の延長を請求することが出来る。
第31条(請負代金額の変更) 発注者又は受注者は、次の各号のいずれかに該当するときは、・・・その理由を明示して必要と認められる請負代金額の変更を求めることができる。
五 契約期間内に・・・経済事情の激変等によって、請負代金があきらかに適当でないと認められるとき。
六 長期に渡る契約で・・・物価、賃金等の変動によって、この契約を締結した時から一年を経過した後の工事部分に対する請負代金相当額が適当でないと認められるとき。
という条文があります。
また裏面には建設資材の値上がり状況として、2021年1月に比較して2022年7月で、建築部門の資材の平均値上がり率は25%アップしており、材料個別で見ても、鉄筋73%アップ、鉄骨65%アップ、コンクリート型枠合板85%アップ、杉無垢柱85%アップ、アスファルト86%アップなど、軒並み価格がアップしている状況です。
建築工事全体で見た場合では、工事費に占める材料代の割合を50~60%と仮定すると、工事費全体では、ここ18か月で13~15%アップしていることになっています。
一般的に建設工事は請負工事のため、受注して以降に、設計変更等がない場合は、受注したゼネコンは利益を削ってでも工事を完成していましたが、急激な材料価格のアップについていけない状況です。しかも、この資料には手間代(人件費)のアップは見込まれていません。
大規模修繕工事は、新築工事に比べて工期も短く、また工事費に占める材料代の比率も少ないので、新築工事ほど急激な価格アップはおきていませんが、今後人件費もアップしてくることを考えると、最低でも従来よりも20%程度の工事費アップは覚悟しておいたほうがよさそうです。
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