2022年3月23日の財経新聞の表題の記事を紹介します。
「建設業の倒産が今後増加に転じる兆しがあると東京商工リサーチがレポートを公表した。2018年からの景気後退とオリンピック需要一巡、その後のコロナ禍で商談、工事などに遅れが生じ業績は芳しくなかったものの政府の支援策が奏功し、21年も建設業の倒産は歴史的な低水準となっている。しかし、経済活動が徐々に再開される中、資材価格高騰や人手不足の深刻化などで収益が圧迫されてきているようだ。大手ゼネコン4社も22年3月期業績予想で減益を見込むなど、建設業界も厳しい経営局面に向かっているようだ。
3月6日、東京商工リサーチが「倒産増の兆し、建設業のコロナ破たんがジワリ増加」というレポートを公表した。レポートによれば、政府のコロナ支援策が奏功し、「21年の建設業の倒産は1065件(前年比14.5%減)と過去30年で最少だった。だが、法的手続き準備中などを含む『新型コロナ関連破たん』はジワリと増加」、「工期の長期化やずれ込みに加え、資材高騰や人手不足、支援効果の薄れなど複層的に絡み合い、小康状態の倒産が反転する兆しも見え始めた」模様だ。ゼネコン4社(鹿島建設、大林組、大成建設、清水建設)も22年3月期連結の業績予想で4社とも減益を見込んでいる。4社とも増収・減益見込みで、背景は資材価格の高騰や受注競合などによる収益の圧迫のようだ。
小康状態であった建設業のコロナ破たんは本年2月に23件と最多を記録、背景はコロナ禍での工事中止の増加、経済再開に伴う鋼材など建設資材や燃料の高騰、人手不足などである。建設業のコロナ破たんを分野別に見ると、「建築工事」が66件で最も多く、全318件中の20.7%を占めている。背景としては、コロナ禍で分譲マンション開発が鈍化、これに資材高騰などによる収益圧迫が加わる。次いで「建築リフォーム工事」の35件、同11.0%、「内装工事」32件、同10.0%と続いている。建築工事の落ち込みに付随し付帯工事業者の破たんも出てきているようだ。
個人相手の小規模事業者は経営体力に乏しく、コロナ禍での工事中止や減少で資金ショートとなるケースが増えてきている。コロナ破たん318社のうち資本金1000万円未満は191社と6割を占め小規模事業者が多数派だ。レポートは「価格転嫁は出来ても上昇する人件費などの自己負担分は重く圧し掛かり、ジワジワと破たんを押し上げている」、小規模事業者の「息切れが鮮明になってきた」と分析している。」
コロナ過のゼロゼロ融資の恩恵もあり、生き延びてきた建設業界ですが、記事にもある通り建設資材の高騰と人手不足、それに伴う人件費高騰の影響もあり、工事費のアップを認めてもらえにくい下請け企業は倒産の危機にあります。大規模修繕工事等の工事発注に関しては、企業の与信調査が、今後ますます重要になってきます。
Comments